イントロダクション
HAPPY!
“本”と“ことば”がなによりだいすき、いっちーです!
今回の本の挑戦者は前回登場したキャンドルライトブックスから出版されている『かわよこ食堂〜眠る前の思い出ご飯〜』でデビューした作家・またり鈴春さん。
本作は、“あの世”にある食堂を舞台に、亡くなった人々の思い出のご飯と、それぞれの幸せを描いた物語です。切ないだけではなく、個性的なキャラクターたちの掛け合いや、ふっと笑える場面、思い切ったファンタジー要素も詰まっています。
今回は、またりさんが本と出会い、何度も挫折しながらデビューするまでの道のりや、本作が生まれた背景、物語に込めた挑戦をインタビュー!
後半では、作品を読んだからこそ気になった“なぜ?”を、ネタバレありでたっぷり深掘りしちゃいます!
それじゃ~いってみよー!
前回のキャンドルライトブックスの記事はコチラ
Chapter01 本を読むことから、物語を書くことへ――またり鈴春さんが作家になるまで
① 物語との出会い
本との出会い/小学生のころ夢中になった作品/再び読書に夢中になったきっかけ
まずはまたり鈴春さんの、本との出会いから教えてください。
きっかけは母です。母がよく本を読む人で、その姿を見て、“本って面白いのかな”と思い、私も読み始めました。
ただ中学・高校では部活動に励んでいたのもあって、その間は読書からぱったり離れていましたね。大学生になって時間ができてから、また読むようになりました。
小学生のころはよく本を読まれていたんですね。どんな作品に夢中になって読んでいたのでしょう。
江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズに、ものすごくハマりました。
明智小五郎と、その弟子である小林少年が登場するのですが、私は小林少年がすごく格好よく見えて、夢中でシリーズ作品を読みました。
特に『黄金豹』が好きでしたね。表紙に大きく描かれた豹が好きすぎて、運動会で使うゼッケンにも、自分で豹を描いたほどです。それくらい江戸川乱歩の作品にのめり込んでいました。
そこから中学・高校で一度読書から離れたあと、再び夢中になったきっかけは何だったのでしょう。
大学生のときに、図書館で西尾維新さんの本を読んで、また夢中になりました。
なかでも“零崎”が登場するシリーズに惹かれましたね。それに表現方法にも魅了されました。
一見すると難しそうな文章なのに、すらすら読めるんです。使われている言葉や登場人物の名前もすべておしゃれで、あるページでは、ひとつの言葉だけで1ページが埋まっていたこともありました。
それを見て、“こういう小説もあっていいんだ”と、小説の自由さを初めて感じましたし、この作品が、書くことにも興味を持つようになったきっかけでした。
② “読む人”から“書く人”へ
小説を書き始めたきっかけ/最初に書いた物語/創作に影響を受けた作品
西尾維新さんの作品と出会ったことで、書くことに興味を持ったとのことですが、実際に書き始めたのも、そのころなのでしょうか。
そうですね。ちょうどそのころ、“私もこんなおしゃれな小説を書いてみたい”と思い、書き始めました。そのころから“あわよくばデビューしたい”という気持ちもありましたね。
最初は、どのような物語を書いていたのでしょう。
少し薄暗い雰囲気の、誰も救われないような物語を書いていました。それを公募に出していたのですが、結果は撃沈でした……。
救われない物語!? 『かわよこ食堂』からは想像できない作風ですね……。
創作するうえで、影響を受けてきた作品にはどのようなものがあるのでしょうか。
小学生のころ、唯一集めていた漫画が『赤ずきんチャチャ』でした。ギャグ満載の少女漫画です。
私は小説を書くときに、ところどころ“クスッと笑える場面を入れたい”と思うのですが、それは『赤ずきんチャチャ』の影響だと感じています。
たしかに、またりさんの作品には、暗くなりそうなところで突然笑えるシーンやセリフが入ってくることがあります。それが物語の読み心地を軽くしてくれていると感じました。
ほかにも、どんな作品に影響を受けてこられましたか。
アニメでは、『夏目友人帳』『モノノ怪』『蟲師』の3作品から、本当に影響を受けました。
どれも少し切ないけれど、それだけではなく、ほっこりする部分もあって、どこか心に残るんです。こうした作品を見て、“ヒューマンドラマっていいな”と思いました。
③ デビューまでに重ねたこと
デビューまでに書いてきた作品/ペンネームの由来/再びデビューを目指したきっかけ/デビューのために挑戦したこと
書き始めてから『かわよこ食堂〜眠る前の思い出ご飯〜』でデビューするまで、どのような作品を書かれてきたのでしょう。
学生同士の恋愛小説を多く書いてきました。
最初は、西尾維新さんの作品のような小説を書きたいと思い、公募に何度か出したのですが、箸にも棒にも引っかかりませんでした。
そこで自信をなくして、“作家になるのは、自分にとって大きすぎる夢かもしれない”と思ったんです。だから“まったり楽しく書こう”と気持ちを切り替え、そこからは恋愛小説に没頭しました。
まったり楽しく……。あっ! もしかして、“またり鈴春”さんのペンネームの由来って……!
そうです。この“まったり楽しんで書こう”と思ったことが、ペンネームの由来です。
一度は諦めかけたデビューを、再び目指すようになったきっかけは何だったのでしょう。
投稿サイトに作品を載せているうちに、読者の方がついてくださったり、ランキングに載ったりするようになったことですね。応募したWebコンテストで最終選考に残ったこともあり、“やっぱりデビューしたい”という夢が、自分の中でもう一度出てきたんです。
そこからデビューに向けて、どのような挑戦を重ねてこられたのでしょう。
その後も2年間落ち続けたことで“恋愛小説が自分には合っていないのかもしれない”と考え、そこからさまざまなジャンルに挑戦するようになりました。
また、それまでは一つの投稿サイトだけに作品を載せていましたが、複数のサイトへ投稿したり、いろいろなコンテストに応募したりするようになりました。一人でも多くの方の目に留まればいいなと思い、作品を届ける場所を広げていったんです。
その結果、デビューにつながったんですね!
④ 自分の本が生まれた日
完成した本が届いたときの気持ち/書店で自分の本を見たときのこと
初めて完成した本が手元に届いたとき、どのような気持ちになりましたか。
今回が初めての書籍化だったので、分からないことばかりで、ずっと不安だったんです。
そのため、完成した本が自宅に届いたときは、喜びよりも先に安心しましたね。“ちゃんと本になったんだ”という喜びも確かにありましたが、それ以上に、本を出すことは責任を伴う仕事なのだと強く実感しました。
実際に、書店でご自身の本が並んでいるところを見に行かれたりしましたか。
書店さんへのご挨拶で、足を運ばせていただきました。ただ、目の前に自分の本があるのが、最初は見るに見られなかったんです。
そこにあることは分かっているのに、視界の端に入るだけで緊張してしまって、直視できませんでした。怖いもの見たさのような感覚で、すごくそわそわしていましたね。
でも最近になって、ようやく“自分の本が本当に書店に並んでいて、誰かの手に届いているんだ”と受け止められるようになりました。そこでやっと、デビューしたことを実感しています。
Chapter02 思い出のご飯を、あの世の食堂で――『かわよこ食堂』の誕生と物語に込めた挑戦
⑤ この物語が生まれるまで
食べ物をテーマにした理由/“あの世の食堂”という舞台の原点
『かわよこ食堂〜眠る前の思い出ご飯〜』は、どのようなきっかけから生まれたのでしょう。
あるとき、主人から「本当に食べることが好きだね」と言われたんです。
そのときに、食べることへの思いを小説へ活かせないかと考え、食べ物をテーマにした物語を書こうと思いました。
また、ちょうどそのころに祖父を亡くしました。亡くなる前の祖父は何でも好きに食べられる状態ではなかったので、“あの世で好きなものを食べられたらいいな”と思ったんです。
そこから、“あの世”と“食堂”を組み合わせた物語もいいなと考えたことが、『かわよこ食堂』の始まりです。
⑥ 作品に込めた挑戦
多様なジャンルを取り入れた理由/今作で挑戦したこと/短編集と長編をつなぐ構成/物語を一つにまとめる難しさ
本作には切ない場面だけでなく、クスッと笑える場面など、さまざまなジャンルの要素が含まれていますよね。これまで多様なジャンルを書いてきた経験も影響しているのでしょうか。
それもあると思います。ずっとしんみりしたままの物語にはしたくなくて、読者が一呼吸置けるような、“ふふっと笑える場面”も入れたいと考えていました。その結果、さまざまなジャンルの要素が自然と入っていったのだと思います。
今作では、どんなことに挑戦されましたか。
今作は、それぞれの短編でぶつっと終わる形ではなく、すべての話がつながり、“この先はどうなるんだろう”と、思わずページをめくりたくなるような“引き”を作りたかったんです。
一話ずつ読める短編集でありながら、全体を通して一つの大きな物語になる構成に挑戦しました。
短編同士をつなげていくのはなかなか大変そうですね……。
それぞれの短編と“引き”をうまく結びつけ、一つの物語にすることが難しかったです。どれだけ涙を誘う短編ができても、物語全体の流れへうまく結びつけられなければ、その話を使うことはできませんでした。
さまざまなジャンルの要素を入れたからこそ、それらを一つの物語にギュッとまとめる作業が大変でしたね。
⑦ 物語の中で見てほしいところ
注目してほしいキャラクター/作者自身の忘れられないご飯
物語の中で、特に注目してほしいところを教えてください。
まずは、キャラクターです。
舞台があの世なので、“現実の世界では想像できないような、個性的なキャラクターを作りたい”と考えました。
特に門番と配達屋が登場する場面は、物語の雰囲気が明るくなるように意識しています。二人には、場面を切り替える役割を持たせました。
また、ヨミ子(書影に写っている女の子)の明るさや包容力にも注目してほしいです。
お客さんが押し寄せて忙しくなっても、“儲け時”とポジティブに捉えますし、食堂の店主だけあって肝が据わっていて、簡単なことでは動じません。小柄だけれど、強くて優しい。そんなところを意識して作ったキャラクターなので、ぜひ見てほしいです。
あとは、主人公・日戸平真です。最初から最後まで頑張り続けているので、ぜひ応援しながら読んであげてほしいと思います。
『かわよこ食堂』で“思い出のご飯”を描かれたまたりさん自身の、忘れられないご飯を教えてください。
二つあります。
まず、久しぶりに徹夜をして作業したときに飲んだブラックコーヒーが、強烈な思い出として残っています(笑)
それはたしかに思い出に残りますね(笑)
もう一つは、家族全員で暮らしていたころに囲んだご飯です。
年末年始には、家族みんなでおせちの準備をしていました。朝から祖父と父がブリなどを買いに行き、祖母と母がつゆを作り、姉と私は家の掃除をする。それぞれが役割を担い、最後に一つのおせちが完成するんです。
その毎年の作業が好きでしたし、とても思い出に残っています。
今はもう同じ形ではできないからこそ、余計に懐かしく、“もう一度やりたいな”と思います。
Chapter03 読後に残った“なぜ?”をひも解く――『かわよこ食堂』を深掘り(ネタバレあり)
※この先は一部ネタバレを含む内容があります。
読後の上、閲覧することをお勧めします。
来訪型にしなかった理由/サブストーリーの役割/ヨミ子の過去と表記の秘密/ファンタジー要素/ラストに込めた思い
本作は、かわよこ食堂を訪れた人の話を一話ずつ聞いていく、いわゆる“来訪型”の物語にもできたと思います。しかし、実際には主人公がさまざまな場所へ足を運び、物語が展開していきます。あえて単純な来訪型の構成にしなかったのはなぜでしょうか。
日戸平真が自分の足で動いた結果として、自分の幸せを見つけることができた、という“良い意味での因果応報”を書きたかったからです。
食堂を訪れたお客さんの話を聞く中で、主人公が自分の幸せを見つける展開でもよかったのですが、それでは少し“棚ぼた”のように感じられると思いました。
日戸平は、生前に麻希へ思いを告げられなかった後悔を抱えたまま、あの世へ来ています。その後悔を挽回するために、自分の足でさまざまな場所へ向かい、泥臭く努力してもらいたいと考えました。そうして行動する中で、“自分にとっての幸せとは何か”を見つけてもらいたかったんです。
お話をうかがったことで、来訪型にしなかった理由がつながりました。今作は、訪れた人ではなく主人公を軸にした物語だからこそ、日戸平自身に動いてもらう必要があったのですね。また、食堂の外へ出ることで、亡くなった人と残された人、両方の視点が描かれています。その間にある距離や寂しさも含めて、面白い構成だと感じました。
そうですね。食堂を訪れる人たちの物語としても、主人公が主体となって動く物語としても、残された人たちの物語としても、いろいろな面から読んでいただけたらと思っています。
今作はメインとなるお話はもちろん、サブキャラクターのお話も面白いですよね。クレーマーのおじいちゃんのお話や、門番がヨミ子さんに好意を寄せているような描写、あずきと主人公が少しずつ信頼関係を築いていく様子など、本筋以外にも気になるお話がたくさんありました。こうしたサブキャラクターのお話も丁寧に描いたのには、どのような理由があるのでしょうか。
この物語は、最後に登場人物たちが集まり、大団円を迎える形でまとまります。ただ、その結末に説得力を持たせるためには、キャラクター同士の絆を深める必要があると考えました。
絆が生まれるためには、まずお互いのことを知らなければなりません。そこで、キャラクター同士の関係を掘り下げ、絆を作っていくために、サブストーリーを書きました。
たとえば、主人公と門番は、それまでいがみ合っていましたが、クレーマーのおじいちゃんを一緒に撃退したことで、少し仲間意識が芽生えます。そうした出来事を通して、少しずつ絆を積み重ねていきました。
流されていったおじいちゃんは強烈で印象的なキャラクターだったので、絶対にあとで再登場すると思っていたんです。でも、それきり出てこなかったので、キャラクター同士の関係を描くための役割を果たして、本当に流されていってしまったんですね……。
そうですね。私も“かわいそうに”と思いながら書いていました……。
ヨミ子さんは物語の中心にいる人物でありながら、その過去については多くが描かれていません。ヨミ子さんの過去をあえて描かなかったのには、何か理由があるのでしょうか。
ヨミ子には、まだ乗り越えられていない壁と、彼女なりの過去があります。その過去を掘り下げ、葛藤しながら前へ進んでいくところまで描こうとすると、かなりのページ数になると思いました。
また、あずきがあの世に紛れ込んできた理由も、実はヨミ子と関係しています。もし続刊を出せるなら、ヨミ子の過去だけでなく、ヨミ子とあずきの関係性など、それらの謎も明らかにしたいと思っています。
ヨミ子さんが名前を口にするときだけ、あずきや主人公の恋人の名前などがカタカナで表記されていますよね。こちらには何か理由があるのでしょうか。
ヨミ子は明るくて前向きです。自分自身も亡くなっているのですが、死への悲しみをあまり見せません。そのため、“ヨミ子は亡くなっていて普通の人ではないという印象が薄れてしまう”と思いました。
そこで、彼女が名前をカタカナで呼ぶことによって、“この人は生きている人ではない” “どこか特別で異質な存在である”というニュアンスを表現しています。
犬を猫に変えてしまう展開や、あずきが炎を吐く場面など、本作には思い切ったファンタジー要素も登場します。シリアスな物語を壊すことなく、思わず吹き出してしまう面白さにつながっていますが、こうした要素を取り入れたのには、何か理由があるのでしょうか。
ファンタジー要素を入れることで、“あの世”という非日常の世界観を、読者の方に楽しんでいただきたいと思いました。
あとは、私自身の欲でもあるのですが、いつかコミカライズやアニメなどで映像化されたときに、ちょっとした演出の見せ場になればいいなと。頭の中でキャラが動く場面を想像し、私自身も楽しみながらファンタジー要素を取り入れました。
ラストでは、よくある“ほっこりする涙もの”として着地するのではなく、“約束が人を縛ってしまう”という決して明るくない物事の側面まで描かれていますよね。
好きだからこそ自分のものでいてほしい。でも、相手の幸せを考えれば手放さなければならない。そのもどかしさが、私は本作で一番心を動かされた部分でした。この展開には、どのような意図があったのでしょうか。
このラストの展開には、日戸平の人柄が強く表れています。
初めて下界へ降りたとき、日戸平は自分を失って悲しんでいる麻希を見て、“自分のことは忘れてほしい”と思うんです。
でも、麻希から名前を呼ばれた瞬間、考えが一気に変わり、“もう一度会いたい”と思うようになります。
この場面からも分かるように、日戸平って欲に忠実な、人間らしい主人公なんですよね。
人間って、必ずしも過ちや迷いがあり、完全無欠ではない。だから、その後の話がスムーズに着地してしまうと、日戸平の人間っぽさが霞んでしまうと思ったんです。そのため、“自分の交わした約束が麻希を縛ってしまう” “だから約束は交わすべきではなかった”という、人間らしい葛藤を見せる展開にしました。
日戸平の気持ちは、物語の中で何度も揺れ動きます。その姿を身近に感じながら、“この人は最後にどのような幸せを見つけるのだろう”と、想像しながら読んでいただけたらと思っています。
Chapter04 書くことに抗うのを諦めて、これからもまったり楽しく――読者と創作者、キャンドルライトブックスへのメッセージ
これから読む人へ/すでに読んだ人へ/これからの本の挑戦者たちへ/キャンドルライトブックスへの思い
これから『かわよこ食堂〜眠る前の思い出ご飯〜』を読む人へ、メッセージをお願いします。
まだ読まれていない方から “絶対に泣く作品だ” “心の準備をしておかないと” という反応をいただくことがあります。
でも、『かわよこ食堂』に詰まっているのは、泣ける場面だけではありません。動物に癒やされたり、お腹が空いたり、ふっと笑えたりと、一つの物語の中に色んなシーンがあります。
そのため少し疲れたときや、動物に癒やされたいとき、そしてお腹が空いたときなど、様々な場面で気軽に手に取っていただけたらと思います。
すでに『かわよこ食堂〜眠る前の思い出ご飯〜』を読み終えた方たちへ、メッセージをお願いします。
まずは、この作品を手に取ってくださり、本当にありがとうございます。
物語を読んだことで、何か救われる部分があったら嬉しいです。そして、自分にとっての幸せを改めて見つけ、大切にしていただけたらと思います。
私は書籍化作業を終えたあと、離れて暮らす祖母と食事に行きました。祖母は、小さいころに親代わりのように育ててくれた人です。でも最近、あまり会えていないことに気づいたんです。
自分にも祖母にも、時間には限りがあります。自分の大切にしてきたものが、ずっと同じ形で続くわけではありません。
この本が、“そういえば、自分にとっての幸せはこうだったな”と、ふと思い出すきっかけになればうれしいです。そして、見つけた幸せを大切にしてほしいと思います。
これから本を書きたい人や、デビューを目指している人、へ、メッセージをお願いします。
私は、本を出したいと思って物語を書き始めてから、デビューするまでに何度か筆を折っています。“絶対にデビューできないし、本にもならない”と思い、実際に書くことをぱったりやめた時期もありました。
だけどそのころ、私生活で落ち込むことが何度か重なり、“何か息抜きをしなければ”と思って始めたことが、また小説を書くことだったんです。あれほど挫折を味わい、筆を折ったというのに、また書き始めてしまったんです。
だから、もし“小説を書くのが苦しい” “もうやめたい”と思いながらも、結局書いてしまう方には、“諦めるのも一つの手”だと伝えたいです。
まさか“諦める”とおっしゃられるとは……意外で驚きました。
あっ、いえ、書くことを諦めるのではなく、“書くことに抗うのを諦める”という意味です。
というのも書いている人は、離れようとしても、結局また戻ってきてしまう人が多いと思うんです。
私も一度離れたことで、“自分はやっぱりここなんだ” “書くことが楽しいんだ” と、改めて気づくことができました。書くことは、もう体の一部なのだと思います。
だから無理をせず、楽しみながら、自分なりのペースで続けてください。私もまだまだこれからなので、一緒に頑張りましょう。
最後に、キャンドルライトブックスへの思いを聞かせてください。
デビュー前で無名だった私の作風を受け入れ、こうして物語を形にする機会をくださったことに、本当に感謝しています。
やり取りをする中で、“自分が思い描いた物語を、どこまで出していいのだろう”という不安もありました。それでも受け止めてくださったことで、『かわよこ食堂』を自分らしく作ることができたと思っています。
私は、キャンドルライトブックスの“少し不思議で、すごくやさしい”というコンセプトが大好きです。心にぽわっと響いてくるこのレーベルの魅力を、たくさんの人へ届けたいと思っています。
一人でも多くの方にキャンドルライトブックスを知っていただき、広がっていくことを願っています。そのときに、私の作品が少しでも貢献できたなら、とても名誉なことだと思います。
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書籍情報

https://books.shufunotomo.co.jp/book/b10169427.html (主婦の友社 作品ページ)
前回のキャンドルライトブックスの記事はコチラ
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一冊目の本との出会いも、久しぶりのチャレンジにもぜひ当店をご利用ください。
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ライター紹介

いっちー
平成10年、四国の田舎で生まれ育ち、京都芸術大学文芸表現学科で文章や創作について学ぶ。
月に10冊、年間で100冊以上読み、取材相手には長文の感想を送りつけるなど、本についてアツいヤツ。
わかさ生活のオウンドメディアDEKIRU! では
『「本」の挑戦者たち』
『UNDERUMBLE!』(音楽記事)
『言の葉を紡ぎし者たち』
『若きアートの炎』
『パピー/盲導犬の物語』の連載を担当している。
いつか自分の本を出すことが夢。
記事サムネイル作成
屋号:prism Art & Design
氏名:小林茜
ポートフォリオ:https://fori.io/prism


