イントロダクション
HAPPY!
いっちーです!
今回取材したのは、小学生と中学生の姉妹がそれぞれ本を作り、文学フリマで販売するという挑戦をした岩谷さん親子。
前編では、岩谷さん姉妹それぞれにお話をうかがいます!
中学生の岩谷來実(いわやくるみ)さんが書いた『小雨の降る、あの冬』は、今を生きる中学生のいじめや孤立、孤独といった心境をリアルに描いた作品です。
その描写力や、物事をとらえる視点は、とても中学生が書いたとは思えないほどのクオリティ!
小学生の岩谷來果(いわやらいか)さんが描いたのは、なんと “ガチャガチャ”の本。
ガチャガチャへの愛から始まった、岩谷さんの絵と本づくりについてたっぷり聞きました!
それじゃ~いってみよー!
A:岩谷來実(いわやくるみ)さん

Chapter01 児童文学から難解な小説まで――広がり続ける岩谷來実さんの読書世界
本を読むのが好きになったのは、いつごろですか。
小学4年生のときに学校の友達から『噂のあいつは家庭科部!』という本を借りて、本を読むことが好きになりました。でも、そのときからたくさん読んでいたわけではなくて、普通に遊びもするし本も読むといった感じでした。
そのあと小学6年生でまた読書にハマってそこから今もずっと好きですね。中学1年生のときには、年間でたぶん60冊くらい読んでいます。

市宮 早記作/作
立樹 まや/絵
(ポプラ社)
ほかにもどんなジャンルや作品が好きですか。
小学6年生のときに『みんな蛍を殺したかった』という作品から木爾チレンさんの作品が好きになりました。
あとはくじら先生の作品も好きで、初めて読んだ後にファンレターを送ったくらいです。
ジャンルとしては難しい本が好きで、読んでいてたまに理解できないくらいがいいなという感じです。



『成人式の二次会はデスゲームです』くじら/著(スターツ出版 アンチブルー)
Chapter02 物語を書く楽しさとの出会いは、友達の「書いてみなよ」から――岩谷來実さんの創作の原点
物語を書くようになったのは、いつごろからなのでしょう。
小学4年生のときです。
“自主学習”という、夏休みの自由研究のような、本当に自由になんでもやっていい時間があって。調べ学習をしている人もいましたが、私はそこで創作をメインにやっていました。
そのころ、『噂のあいつは家庭科部!』を勧めてくれた友達から「書いてみなよ」と言われて、一緒に書いたのが最初ですね。
その最初に作った物語は、どんな作品でしたか。
絵本のような作品です。下書きを紙に書いてそれを画用紙に書き写すような形で作りました。
先生に見せたら、“すごいじゃん”とすごく褒めてもらえて、“自分は作品が書けるんだ”と思いましたね。そこから、SFショートストーリーをいろいろ書くようになりました。
物語のアイデアは、どんなときに思いつきますか。
学校にいるときや、外に出ているときが多いです。
最近だと、お風呂に入ってるとき一人もあれば、学校で大勢で話しているときも思いつくことがあります。急に思いついて、授業中にメモを取ってしまうこともありますね。
また、最近、電車の中で男性同士が取っ組み合いになるようなトラブルがあって、それを見たとき“あ、小説にしよう”と思ってしまいました。そういう小さな出来事から、アイデアが生まれることもありますね。
Chapter03 中学生の今だから書けること――『小雨の降る、あの冬』に込めた思い

今作『小雨の降る、あの冬』を書こうと思ったきっかけを教えてください。
もともとは、“素顔”というテーマで作品を書く公募がきっかけでした。
私自身、人に、“自分が思っていることや考えていることを伝えたい”“自分の思いを知ってほしい”という気持ちが強かったんです。
それに、今の自分、中学生の自分にしか書けない思いもあるので、それなら今のうちに作品として完成させて、形にしたいと思って書きました。
作っていて、どんなことが大変でしたか。
文字数がなかなか増えないことです。
“2時間くらい頑張ったのに、まだ5000字なんだ”ということが結構あって、プロの作家さんのすごさに打ちのめされました。
最初に完成させたときは5000字ほどで、全4章のうち2つを書いて、“これでいい”と思っていました。でも、文学フリマに出ることが決まって、“5000字では全然足りない。これでは手に取ってもらえない”と思ったんです。それでさらに5000字ほど追加しました。
また、その時期は学校の定期テストとも重なっていたので、勉強をしながら文章を書くのも大変でしたね。
1万字をきちんと書き切ったのは、たぶんこの作品が初めてです。こうしてちゃんとした完成形になって、よかったです。
今作で、読んでほしいポイントを教えてください。
私は、言葉にすると、きれいではなくなってしまうと思うときがあります。
たとえば、“天気雨”ってあるじゃないですか。小さいころは、その仕組みを知らないので、すごくきれいに見える。でも、理科などで知ってしまうと、“なんだ、普通のことか……”と思って、以前ほどきれいに見えなくなる。そういう“知れば知るほど、きれいではなくなっていく感覚”を作品には込めました。
最後のほうには、“好き”という言葉についても書いています。大好きな親友がいて、その子にLINEで“好きだよ”“大好きだよ”と言うことがあるんです。でも、“好き”って、みんなが使っている、使い古された言葉でもあるじゃないですか。だから、本当に大切な気持ちほど、言葉にすると軽くなってしまうように感じることがあって。そういうところが、私には不思議に感じられます。
そういった違和感を読んでもらえるとうれしいです。
今作はいじめも登場するなかなかつらい話ではあるんですが、作品に描かれたことは、実体験なのでしょうか。
小さな揉めごとがあるくらいで、私自身が直接的につらい目に遭っているわけではありません。でも、今の中学生の空気を直に感じているので、そこから友達とした話だったり、自分の体験や考えたことを一部使ったり、本を読んだり、想像したりして書きました。
これから作ってみたい作品はありますか。
まずは『小雨の降る、あの冬』の表紙をデジタルで描きたいです。裏表紙はデジタルですが、表紙はアナログで描いたので、描き直したいと思っています。
それから、この作品をもう一度改稿したいです。読んで感想を書いてくださった方が、“みんなが集合したあと、どうなるのかが気になる”と書いていて、“これは書かなきゃ”と思いました。長編にする勢いで頑張ろうと思います。
あとは、もう一つ新しい作品を絶対に作ろうとも思っています。
Chapter04 本は、自分の思いを載せる手紙――岩谷來実さんから創作する人へのメッセージ
将来、やってみたいことはありますか。やはり小説家を目指されるのでしょうか。
将来的にはいろいろやりたいです。
もちろん小説家にもなりたいですが、デザイナーもやりたいななんて思っているんですよ。私は基本的に“楽しいことを全部やろう”というスタンスで、今回は小説を選んだという感じなんです。今後も小説は書きたいときに書くと思います。
近い将来で言うと、高校は美術系へ行こうかなと思っています。
岩谷來実さんにとって、本はどんな存在ですか。
本は、“手紙のように、自分の思いを載せたいだけ載せられるもの”だと思っています。あとは、“読者の心の支えになるもの”です。
自分の本がそうなれているかは分かりませんが、なっていたらいいなと思います。私はいろいろな本を読んできて、本の面白さに触れることで、気持ちが回復するというか、支えられたことが結構ありました。そういう本を、自分でも作りたいです。
また、本は、“人生の糧になった”と思えるような、たくさんの言葉をもらえるものだとも思っているので、これからもたくさん読んでいきたいですね。
これから本を作ってみたい人に、メッセージをお願いします。
私は本を書くとき、だいたいノートに、とりあえず殴り書きをしています。そういう小さなものを、どんどん大きくしていくことが本当に楽しいので、その過程も含めて、すべてを楽しんでほしいです。
また、実際に自分で書いてみると、“意外と書けるんだな”と思いました。みんなも、まだ書いていないだけで、やってみたら意外と書けるんじゃないかなと思います。
B:岩谷來果(いわやらいか)さん

Chapter05 ゆるっと始まった“好き”――絵とガチャガチャに夢中になるまで
絵はいつごろから描いていましたか。
3歳くらいから、姉の影響もあって絵を描いていました。
お父さんの会社でホワイトボードに動物の絵を描いたり、友達が手紙に絵を描いてくれて「これに塗り絵して」と言ってくれたりして、そういった感じで絵を描いてきました。
絵を好きになったきっかけはありますか。
特に“これ”というきっかけがあるというよりは、ゆるっと始めて、そこからずっと好きという感じです。姉の影響で描いたり、塗り絵をしたり、大きな紙に絵を描いたりしながら、自然と好きになっていきました。
あ、でも大きな絵を描いたこともあります。150cmくらいの大きな紙に描いて、それを4等分くらいに切って、図工のマットにしていたことがあって。学校でそれに色を塗っていたのも楽しかったので、きっかけの一つだと思います。
これまで見てきて素敵と思った絵があったら教えてください。
絵ではないんですが、やっぱり、トイズスピリッツさんのガチャのデザインが一番好きです。
発想がすごく面白いですし、かわいいんです。
紙袋なども色味が素敵で、第1弾、第2弾と、それぞれ違う種類があるところも好きです。



ガチャガチャを好きになったのは、いつごろですか。
小学2年生くらいのときですね。
バレエの習い事が終わったあと、すぐにガチャガチャをしに行くみたいな感じで過ごしていて、小学3年生くらいからは、コレクションもするようになりました。
そうしたら、お父さんが「そんなに好きなら、今度ガチャをやりに行こうか」と言ってくれて、休日に家族でやりに行くようになりました。それもきっかけですね。
今、好きなガチャはありますか。
今というより、ずっとなのですが、トイズスピリッツさんの『むにゅムニュ!フルーツパウチマスコット』シリーズが一番好きです。小さいころから変わらず好きで、触り心地やパッケージのデザインも気に入っています。


Chapter06 自由研究から“作品”へ――ガチャガチャを描き始めたきっかけ
作品として絵を描くようになったのは、いつごろですか。
作品として絵を描くようになったのは、小学3年生のときに取り組んだ、ガチャガチャの自由研究が最初です。
ガチャガチャの会社の社長さんにインタビューして、会社の歴史や社員さんの人数などを質問し、それをまとめました。


なぜガチャガチャの絵を描こうと思ったんですか。
もともとは、本にしたり、たくさんガチャガチャの絵を描く予定はなかったんです。ただ自由研究として描いていました。
そしたら「絵がかわいいね」と周りから言われて。お母さんとお父さんからも「ガチャガチャの絵、いいんじゃない」と言われて、そこからよくガチャガチャの絵を描くことになりました。
周りでは絵を描く人はいても、ガチャガチャを描く人はなかなかいないと思います。他の子とは違う絵を描くことで不安を感じたりはしていないですか。
学校では漫画・イラストクラブに入っているんですが、女の子の絵などを描いている人が多いですね。
私だけガチャガチャの絵を描いていて“変なのかな”と思うこともあったんですが、それをお父さんに聞いたら、「人と違ってもいいんじゃない」と言われて、今では自信になっています。
Chapter07 鮭とばも今川焼も描き込んで――こだわりを詰めたガチャガチャの本
ガチャガチャの本を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
文学フリマに出ると決まったのはいいものの、“自分は出すものがあるかな”と思っていました。
そのときに“自由研究で作ったガチャガチャの絵を本にすればいいんじゃない”という話になったのがきっかけです。
実際にどのように制作していったのでしょう。
絵はこの子に描いてもらって、それを入稿や印刷に出すための作業は、一人で進めるのは難しいので、私たち親や会社に来ていたインターン生に手伝ってもらいました。みんなで編集会議のような形で話し合いながら作っていきましたね。
ガチャガチャの本で、見てほしいところはありますか。
鮭とばがかわいくて、たくさん描きました。キラキラのペンを使って表現したところもあるので、そこも見てほしいです。

あとは、今川焼も描くのが結構大変でした。
パッケージだけではなく、中の部分も描いていて、生地のふわふわした感じを色鉛筆で表現したので、そこも見てほしいです。

これから作ってみたい作品はありますか。
実は今も、ガチャガチャについての新しい作品を作っているんです。


Chapter08 “好き”はいつか何かにつながる――絵を描きたい人へのメッセージ
岩谷來果さんにとって、絵はどんなものですか。
私にとって絵は“自分が伝えたいものや、そのときに描きたいものを、自分が使いたい色や好きな色で形に表すもの”だと思っています。
自分が好きなものを描いていれば、いつかそれが自分だけに描ける絵になると思っているんです。
これから絵に挑戦したいと思っている人に、伝えたいことはありますか。
“自分の好きなものを大切にしてほしい”です。
私は絵を描くのも好きでしたが、ガチャガチャが好き”という気持ちからたくさん絵を描くことにつながりました。ガチャガチャと絵は、もともと別のものかもしれません。でも、それがつながって、こうして取材を受けることにもなりました。だから、“好き”という気持ちは大切にしてほしいです。
後編『小学生と中学生の姉妹が本を作って、文学フリマで販売!?【後編】――家族で挑んだ文学フリマと、姉妹の「作りたい」を支えた両親の思いは』コチラ!
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