各界の第一線で「未知なる領域」に挑み続ける方々の思考を紐解くインタビュー連載『挑戦の人間学』。結果だけではなく、そこに至るまでの葛藤や、言葉にできない過程に光を当てます。
今回は、大手企業のサラリーマンから芸能界へ転身後、名古屋を拠点に活動する5人組エンターテインメントグループ『でらっくす・ボーイズ』として活躍する田村侑久さんにインタビューさせていただきました。
『BOYS AND MEN』のメンバーとして15年間にわたり走り続け、2026年8月には新たな会社を立ち上げ、『でらっくす・ボーイズ』としての挑戦を宣言した田村さん。インタビューでは「心で動くこと」を大切にしながら愚直に突き進む田村さんの「挑戦」について伺いました。
プロフィール
田村 侑久(たむら ゆきひさ)

誕生日:1990年10月17日
出身地:愛知県
身長:177cm
血液型:O型
特技:チラシ配り、鼻で風船を膨らます
趣味:チラシ配り、ダーツ、フットサル、ピアノ、ビリヤード、ゲーム、愛犬と遊ぶ、釣り
X:https://x.com/BOYMEN_tamura
Instagram:@boymen_tamura
「俺の居場所は他にもあるんじゃないか」。言い訳を重ねた3年間と、背中を押してくれた熱量
——田村さんのご活躍を見ていて印象的なのが「熱量」です。「挑戦」を積み重ねるために「熱量」は不可欠だと思うのですが、どのようにモチベーションを高く保ち続けているのでしょうか。
どうしてそんなに元気でい続けられているのか、ということですよね(笑)。俺、裏でもこんな感じで、本当に変わらないんですよ。考える前に脊髄反射で動いているんです。
むしろ中学生の頃のほうがやんちゃで、当時の同級生からは「落ち着いた」と言われるくらいでした。みんなに認めてもらいたくて悪目立ちをしていたし、通信簿は体育以外オール1だったし……(笑)。
でも、学生時代から「ひとつのことをやり遂げるまで頑張る」といった空気感は好きでした。文化祭のような感じで「みんなで一生懸命作って、最後には泣ける!」みたいな動きが好きで。
——まさに青春ですね。その原点はどこにあるのでしょうか?
昔からそうなのですが……。学生時代に取り組んでいたボランティアの目的が、「子どもの夢を叶えること」だったんです。
小学校に通う子どもたちから募集した「100キロ歩く旅をしたい」「お菓子の家を作りたい」といった夢をどうやって叶えるか、子どもも大人も真剣に話して、一緒に挑戦する。そんな日々を過ごしていました。

——お話を聞くと「挑戦すること」へのハードルがいい意味で低いのかなと感じました。芸能界への転身も、そういった個性が後押ししてくれたのでしょうか。
それが、芸能界に入るまでは3年かかったんですよ。
高校卒業後、大手企業のサラリーマンになったのですが、研修を終えて「あなたの職場はここです」と工場に配属されたときに「俺は40年後にこの景色を見て『人生やり切ったな』と思えるか?」とハッとしたんです。
環境にも恵まれてとてもいい職場だったのですが、一度そう感じてしまうと「俺の居場所は他にももっとあるんじゃないか」という考えが拭えなかった。
そうして、うっすらと抱いていた芸能界への憧れもあり、オーディションを受け始めたのですが、3年間言い訳を続けて会社をやめることができずにいました。
——その根底にはどのような想いがあったのでしょうか。
やっぱり、一歩踏み出す勇気を持つのって、難しいじゃないですか。
自分でもわかっていたんですよ。中高時代に特別目立っていたわけでもないし、「もしやめたとして、ここより上のレベルの企業には入れないな」って。オーディションにはすぐに合格したので環境が整っていたにもかかわらず、なかなか踏ん切りがつかなかったんです。
「お金を貯めてから東京に行こう」「演技や歌のレッスンを受けてからにしよう」「今は仕事がちょっと忙しいからできないだろう」……。そうやって言い訳を重ね続けていたものの、結局お金も貯まらないし、ただ悩み続けるだけの3年間を過ごしました。

芸能生活15周年の再点火。ぬるま湯から脱した先にあった「1年でやり切れなければ辞める」覚悟
——その日々から抜け出すためには、大きな覚悟が必要だったのではないかと想像しました。
同じことを思い続けたまま3年も過ぎると、だんだんと「『俺の居場所はここじゃない』と思ったことさえ、もう気の迷いなんじゃないか」「このまま会社を辞めずに逃げ続けるんだろうな」と思えてくるんですよね。それで、最後にもう一回だけ、名古屋にある事務所を調べることにしたんです。
そこで知ったのが、名古屋を拠点に活動するBOYS AND MEN(ボイメン)でした。
もともとモデルを志望していたこともあって、モデルとして活動しているメンバーがいると知り、試しにブログを読んでみたら、週に1回劇場公演をしていると書いてあったんです。それで「いったん会いに行ってみるか!」と足を運んだのがはじまりでした。

行ってみたら、歌もダンスも演技も本当に下手で。正直にいうと「俺、これを見るためにお金を払ったの!?」と思うくらい、本当にひどかったんですよ(笑)。……でも気づいたら、最後には号泣していたんですよね。
なんていうか、「僕たちは何もできないけど、一生懸命頑張っています!」という想いが伝わってきたんです。そのむしゃらな姿を見て「俺、何してんだろう」と思ったんですよ。「あの子たちは頑張って劇場に立っているのに、俺、このままじゃダメだ!」って。それで次の日、会社に行って「辞めます!」と宣言しました。
——背中を押してくれたのが、BOYS AND MENのメンバーの姿勢だった、と。
一度腹を括ったらもう揺らがなくて、母に「会社を辞めることにしたから」と伝えたら、泣きながら怒られましたね。
最終的に「家族と縁を切ってもいいくらいの覚悟があるならいい」と言われたので「わかった!じゃあそうする!」と電話を切って、人一倍厳しかった父には内緒で芸能活動を進めることにしました。その代わりに、胸を張って堂々と「芸能の仕事をしている」と言えるようになるまで諦めないこと、そして両親からお金を借りないことを決めました。

——そうして無事デビューを果たし、今年4月で芸能生活15周年を迎えましたが、現在も「熱量」を高く活動し続けられている秘訣を教えてください。
よく「全力」「頑張っている」と言っていただくことも多いのですが……。実は昨年、自分でもわかるくらいモチベーションが落ちていたんですよ。ファンの方に褒めてもらっても「俺、全力になれてねえんだよな」と素直に喜べなかったりもして。
——そうだったのですね。
皆さんもあるあるだと思うんですけど、大人になってある程度のお給料をもらって、同じ作業を続けていると「まあ、生活できているし、それはそれでいいか」と思えてくるじゃないですか。
——いわゆる「ぬるま湯状態」というか、これまでの田村さんにあった「熱量」が、うまく発揮できないような感覚だったのでしょうか。
そうですね。生活が可もなく不可もない状態で進んでいく……。そんな日々が続いていると自覚したとき「このままだと俺、終わるな」と思ったんです。
「燃えていない自分だったらこの業界にいる意味がない。それだったらいっそのこと、引退してやりたいことに方向転換したほうがいいんじゃないか」と本気で考えました。
そんななか昨年(2025年)に15周年記念ZEPPツアーが終わったり、メンバーの辻本達規の結婚発表などが重なったりして「俺、ここでもう一回自分自身を燃やさないとダメだ!」と気づいたんです。
ちょうど年の切り替えだったこともあって「2026年の1年間は全力でやり切って、それができなかったら辞めよう」と決意しました。「たった1年間全力で取り組めないやつが、これから何十年間も走れるやつにはなれない。とにかくやれることを全部やってやろう」。そう思ったんです。実際に今年は昨年以上にイベントを企画して全国に行ったり、ファンツアーを開催したりと、積極的に動いています。
チラシ配りに込めた「会いに来てほしい」という想い。泥臭く地道な広報活動へのこだわり
——今年8月に新会社を立ち上げ、『でらっくす・ボーイズ』としての挑戦を発表されました。2026年は大きな節目だと思いますが、今年新たに始めた挑戦にはどのようなものがありますか?
それでいうと、もう全部が新しい挑戦ですね。2027年3月31日までは、『BOYS AND MEN』から『でらっくす・ボーイズ』へ活動を移行する期間なのですが、『でらっくす・ボーイズ』としての活動は、スケジュール調整や進行なども「まずは自分たちで経験してみたい!」と、ほとんどのことをメンバー自身で担当しているんです。

それぞれ役割を決めているのですが、何よりも大事なことは「会いに来てもらうこと」。BOYS AND MENとしての活動のときから「チラシ配り」を特技としていたので「広報担当」として動いています。
——アイドルというと、最近ではSNSに力を入れて「バズ」を狙う動きもあるように思います。そのなかでなぜ「会うこと」にこだわるのでしょうか。
僕たちは大手アイドルみたいに手厚いサポートを受けられたり、顔がかっこよかったり、パフォーマンスが特別上手かったりするわけではない。「遠くから見られるだけでもありがたい」と思ってもらう存在というよりも「あいつらを見ているとなんか元気が出るんだよなあ」と感じてもらってなんぼだと考えているんです。そのためにはまず「対面で会ってもらう」ことが必要だな、と。
「1か月に1回は会える」「1週間に1回は地元に来てくれる」と思ってもらえる動きを意識的にやらないと、ファンは増えていかない。そう考えて、拠点である名古屋だけではなく、福岡・大阪・東京にも足を運ぶようにしています。実際に動き始めたことで、離れたファンの方が戻ってくれていることも実感していますね。……田村推しは移動が増えて大変だと思うんですけど!みんなに感謝しています。

——ファンへの深い感謝が伝わってきます。お話を聞いていると、エンターテイナーとしての熱量と覚悟を強く感じます。
ありがとうございます。でも僕自身はというと「エンターテイナーとして接したい」という気持ちはあんまりないんです。なんというか、シンプルに「目の前にいるこの人に好きになってもらいたい!」という想いで動いているんですよね。
チラシ配りのときもそう。これまで目の前でチラシをビリビリ破られるといった悔しい思いをすることも多くありましたが「でもこれが大手アイドルグループだったら、そうはならないだろうな。これは俺の力不足や!」と踏ん張ってきました。とにかく僕たちのことを知ってもらって、「ちょっと会いに行ってみるか」と思ってもらいたい。その一心で必死に配り続けていました。
——環境のせいにせずに自分の夢に向かって全力で突き進む姿が魅力のひとつなのだなと思いました。
無理矢理にでもそうやって意識を切り替えないと、この業界でやっていけないと思うんです。チラシを破られたときには悲しかったけれど「お兄さんチラシ破れちゃいましたね。破れちゃったやつは回収していきますんで、新しいのもう一枚どうぞ!」と配ったこともあります(笑)。
計算ではなく感情を大切に。「“頭”で動くのではなく、“心”で動く」生き方の美学

——強い信念と行動力が、今後どのように磨かれていくのか楽しみになりました。田村さんが挑戦するにあたって大切にしている「美学」のようなものはありますか?
「“頭”で動くのではなく、“心”で動くこと」です。
「この人はこういう感じだから、こうやってうまいこと言おう」と計算するのではなく、心でぶつかって「一緒にやっていきましょう!」と言いたい。タレントという立場だと、ひとつの仕事を受けるまでにプロデューサーやマネジメントなどいろんな人が関わるじゃないですか。でも、一人ひとりの「気持ち」を知ることは難しい。自分たちで会社を立ち上げた今、関わる方やすでにお世話になっている方の「想い」を聞くこともしやすくなったので、より理想の姿に近づけていると感じています。
それはファンの皆さまに対してもそう。特典会でも、「とりあえず『ありがとう』って言ってあげよう」「喜ぶことを言ってあげよう」と頭で考えるのではなくて、心の底からちゃんと「ありがとう」と伝えたり、洋服やネイルが変わったことに気づいて感じたことを言えたりする人間であり続けようと決めています。
——「“頭”で動くのではなく、“心”で動くこと」……。とても素敵だなと感じる一方で、特に仕事だと“頭”で動いたほうが疲れないし、消耗しないのではないかと思ってしまう自分もいます。
そうですよね。僕はもう「慣れ」だと思っているんです。昔、ブログで「小さな幸せ」を書いていたことがあったんですよ。「雨が降ると思っていたけれど降らなかったこと」とか「喉が渇いたタイミングで自動販売機を見つけられたこと」とか、本当にシンプルな内容なんですけど……(笑)。

小さなことに感謝していくって、一見すると偽善的かもしれないけれど、それを続けていったらいずれ本物になると、友人に教えてもらったんです。
生き方についても同じで、最初はいろんなことを考えてしまうかもしれないし、「疲れるだろう」「無駄かもしれない」といった想いがよぎることもあると思います。でも、常日頃から前向きなことを積み重ねていけば、今はそうじゃなくても、いずれそういう人間になれると思うんですよね。
——「こうありたい」という小さな決意の積み重ねが、田村さんの朗らかさや芯の強さを作り出しているのですね。その姿が、また誰かの挑戦の背中を押す素敵な循環を生んでいるのだと感じます。
もう本当に、どんなことも「やるか、やらないか」ですよね。 『でらっくす・ボーイズ』としての活動も、周りの方々に助けてもらいながら「やりたい!」と心から思ったことを実現しやすくなったので、いろんなことに挑戦していきたいなと思っています。
大事なのは「メンバー全員で地元に貢献しつつ、みんなにとって身近な存在でい続ける」こと。そう考えると、「挑戦」といっても新しいものばかりではなくて、「“続けていく”という挑戦」もあるんだな、と感じていますね。
まずは2027年5月1日にでらっくす・ボーイズの旗揚げ単独ライブとしてダイアモンドホールに立つことを決めたので、中長期での目標も立てながら、日々さまざまな挑戦をしていきたいです。
でらっくす・ボーイズからのおしらせ
12月にでらっくす・ボーイズ 1stシングルリリース
詳細はこちら:https://dxboys.bitfan.id/contents/447958
2027年5月1日に旗揚げ単独ライブ開催決定
【日程】2027年5月1日(土)
【場所】ダイアモンドホール
〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄2丁目1−9 雲竜フレックスビル西館 5F
詳細はこちら:https://dxboys.bitfan.id/contents/447959
執筆:高城 つかさ
撮影:小泉 佳
撮影場所:WeWork 丸の内北口