各界の第⼀線で「未知なる領域」に挑み続ける方々の思考を紐解くインタビュー連載『挑戦の人間学』。結果だけではなく、そこに⾄るまでの葛藤や、⾔葉にできない過程に光を当てます。
今回は、6人組メインボーカル&ダンスグループ『Lienel』に所属しながら、ドラマやバラエティに出演するなど、幅広く活動している近藤 駿太さんにインタビュー。
小学生の頃から野球に打ち込み、その野球で得た経験が現在のグループ活動にも還元されているという、近藤さん。6月3日にメジャーデビューを控え、今後さらなる活躍が期待されているなかで、本インタビューでは、近藤さんの「情熱の源泉」と「挑戦」を深く掘り下げます。
プロフィール

近藤 駿太(こんどう しゅんた)
2005年9月18日北海道生まれ。
「EBiDAN AUDITION 2022」を経て、2023年6人組メインボーカル&ダンスグループ『Lienel(リエネル)』としてデビュー。EBiDAN全部乗せグループで話題に。
Lienel 5th Live Tour 2026 「Osyan」は、東名阪の全公演がSOLD OUT。ツアーファイナルはデビューの地、パシフィコ横浜での公演を控える。
2026年6月3日リリースのシングル「メロ・コレクション」にてUNIVERSAL MUSICよりメジャーデビュー。
Lienel公式サイト:https://lienel.jp/
Lienel公式Instagram:https://www.instagram.com/lienel_official/
Lienel公式TikTok:https://www.tiktok.com/@lienel_official
Lienel公式YouTube:https://www.youtube.com/@LienelOfficial
Lienel公式X(旧Twitter):https://x.com/Lienel_official
生まれたときからのファイターズファン。父から受け継いだ「野球のDNA」
——SNSやブログに北海道日本ハムファイターズの観戦記録や試合予想などを書くほどの野球マニアな近藤さんですが、野球を好きになったきっかけは何だったのでしょうか。
野球ファンである父親の影響です。僕はファイターズが移転したばかり(※2004年に移転)の2005年生まれなのですが、物心付く前からユニフォームを着ていたくらい、生まれたときからファイターズファンなんです。
——近藤さん自身も小学3年生から野球を始められたのだとか。
はい。ちょうどその頃の記憶が野球に関する一番古いものですね。
もともと父がずっと「子どもが生まれたら野球を習わせたい!」と考えていたらしく、幼い頃から近所の公園でキャッチボールをして育ってきました。ですが、敷地内にあるグラウンドは少年野球団など限られた人しか使えない決まりになっていたので、グラウンドの隣でキャッチボールをするしかなく、横目に見ながら「僕もこのグラウンドを使いたい!」と思ったんです。それがきっかけで野球チームに入ることを決めたのが、小学3年生のときでした。
——どのポジションを担当することになったんですか?
最初に任せてもらったのがピッチャーで、小学5年生くらいまで続けていたんですけど、途中で肘を痛めてしまって……。ちょうどセカンドのポジションが空いたので、それから卒業までの2年間はセカンドを守っていました。
中学校に進学してからは、野球部とクラブチームの両方に入って、平日は野球部、土日はクラブチームと週7日野球漬けの毎日を送りました。
——熱心ですね。なかでも印象的に残っている出来事はありますか?
今でも覚えているのが、中学校に入ったときに「やっぱりピッチャーをやりたい!」と思って、監督にアピールしようとして失敗したことです。
外野練習(※広い外野エリアから内野にボールを戻す守備練習)をしたときに、外野から球を投げつつ「僕、投げられますよ〜!」とチラチラ監督の様子をうかがっていたら、ピッチャーとしての熱意は伝わらず、むしろ「外野もいけるじゃん!」と意図しない方向へと話が進んでしまって……(笑)。そこからはずっと外野を担当していました。アピール作戦は失敗しましたが、いい経験でしたね。

——野球を続けてきたなかで、「一番自分を成長させてくれた」と感じた出来事を教えてください。
クラブチームの体験入部で、重たいタイヤ押しに挑戦したことです。
「一日お試し体験ではどんなことをやるんだろう?」と思ったら、先輩たちとタイヤ押しを25メートル分、それも50往復させられて(笑)。
——体験でいきなりハードですね……!
あまりにもキツすぎて、中学2年生の先輩も最後までできなかったりしたんですけど、当時の僕はすごい根性があって、なんと50往復やりきったんですよ! 今じゃ考えられないです(笑)。
でも、そのおかげで「頑張ったら意外と何でもできるかもしれない」と思えるようになって。その経験から「もう無理だ」と諦めたくなる瞬間があったとしても踏ん張れるようになったと思います。
「野球をするなら坊主!」。そんな少年が進んだ芸能界への決断
——近藤さんはスカウトをきっかけに中学3年生で上京、芸能活動を始めたそうですが、野球は続けたのでしょうか。
いえ、上京のタイミングできっぱりとやめました。
というのも、僕はもともと「野球をするなら坊主!」と決めていたんですよ。「坊主じゃないと野球に失礼だ!」と思っていて。
中学校に上がると坊主必須という決まりはなかったのですが、坊主姿を貫いていたのは僕くらいだったんじゃないかな。そのくらい、自分にとっては大事な約束事で。
芸能活動では坊主姿でい続けることは難しいじゃないですか。なので野球を続けながら芸能活動を行うことは考えず、はじめから「芸能界に入るか」「入らないか」の二択で考えました。
——野球愛が伝わるポリシーですね。そのなかで芸能界を選んだのはなぜだったのでしょう。
野球って、プロになるのがすごく難しくて。どれだけ上手くても、たとえ北海道で一番上手い選手と言われていてもプロになれなかったりする。
そんな現実と向き合いながら将来について考えていたタイミングにちょうどスカウトをしてもらって……。
僕は野球しかやってこなかったし、勉強もそんなに得意ではない。
「野球を続けてプロになれる」確率よりは、「芸能界に入って夢をつかむ」確率のほうが、わずかではあるかもしれないけど高い。
もちろんプロ野球も芸能界もどちらも厳しい世界ではあるのですが、当時の僕はそう考えて事務所に入ることにしました。
上京後は野球を「する」側から「観る」側に切り替えて、今も楽しんでいます。
——初心者の意見ですが、野球は評価軸がプレーへの貢献度などである一方で、芸能界は野球以上に可視化されない部分が多い印象です。評価基準の違いに戸惑いなどはありましたか?
うーん……。そういう側面もあるかもしれないけど、僕はどんなときでも「ファンの方が喜んでくれること」が一番だと思っているので、戸惑いはなかったですね。
実は、これも野球から学んだ考え方なんです。新庄剛志監督がずっと「ファンは宝物だ」と言っているのですが、その考え方は芸能界にも通ずるな、と。

「努力は一生、本番は一回、チャンスは一瞬」。新庄監督のこの言葉を、僕はずっと大切にしていて、スマートフォンのロック画面にもしているんです。
バラエティ番組でも、どの瞬間が切り取られてバズるかわからないので「一瞬のチャンスを見逃さないように攻めの姿勢で挑もう」と思っています。
LienelとしてデビューしたのはEBiDAN AUDITION 2022というオーディションに合格したことがきっかけだったのですが、当時も「チャンスを掴みたい」という想いから、自費でダンスレッスンを受けて挑みました。
当時の映像を見返してもまだまだだなと思うし、今でも他のメンバーに比べると上手いと言えるレベルではないんですけど、あの経験があったから今の自分がいるし、スタッフさんも僕のそんな熱意を汲み取ってくれたのかな、と感じています。
野球から学んだ「仲間意識」。Lienelに還元される“チームプレー”の精神
——お話を聞いて、あらためて常に全力で素敵だなと感じます。
僕、ちょっと変なこだわりがあるんです。Lienelとしての活動のときも、6人全員が横並びになるフォーメーションのときには絶対に揃えたいと思っていて。
僕たちが新曲をリリースするときには、リリースイベントとして全国のショッピングモールを回るのですが、ショッピングモールは吹き抜けで、上の階からも見てもらえることが多くて。
見てもらったときに横列が揃っているか揃っていないかで、見え方や印象がかなり変わると思うんです。横列にやたら厳しいから、メンバーに「横列マン」と呼ばれているくらい(笑)。
——(笑)。でもそれも、ふと通りかかった人がLienelを見てファンになるかもしれないという「一瞬」に対する想いからなのかもしれないですね。
そうですね。他にも野球から学んだことはたくさんあって、そのすべてがグループ活動に活きているな、と思います。
なかでももうひとつ大事にしているのが「僕たちは“仲間”である」という意識です。
クラブチームに入りたてのとき、監督から「お前ら一年は友達なのか?」と聞かれたことがあって、「もちろん、友達です!」と返したら「いや違う」と。
「友達だとただ仲がいいだけの集団で終わってしまうし、勝てない。友達でもいいけど、それ以上に同じひとつの目標を目指す“仲間”だということを常に念頭に置いてほしい」と言われて、衝撃を受けて……。
今もその言葉を思い返して、「Lienelは同じ目標を目指す“仲間”なんだ」と意識しています。
だから、誰か一人が欠けてもダメだし、違う方向を見ていてもダメ。「6人全員で同じ目標にたどり着くために何をするべきなのか」が大事なんです。

——“仲間”だという意識が、みんなを一致団結させたんですね。
6月21日には、一番最初に僕たちが掲げた「デビューした思い出の地・パシフィコ横浜 国立大ホールに立つ」という目標が叶うんです。
それも「パシフィコに行くためにはどういうことをしなければいけないのか」「ファンを増やさなきゃいけない」と考えて、ダンスに力を入れたり、知ってもらえるように工夫をしたりと、日々の行動を積み重ねて達成できたもの。
今も毎日ブログを投稿しているのですが、それも「何がきっかけで知ってもらえるかわからない」という想いから続けています。
デビュー当時には中学生だったメンバーもいましたが、もともと熱意もやる気もあるメンバーたちだったので、グループ全員で同じ目標を持つことができて。そういったことも含めて仲間に恵まれているな、と感じますね。
挨拶は一生の宝物。先輩グループ「超特急」「M!LK」とのエピソード
——野球時代は先輩に囲まれて育ったと思うのですが、先輩とのコミュニケーションについてはいかがでしたか?
僕が入っていたチームや部活では先輩が優しくて、上下関係があまりなかったんですけど、基本的なことについては教えてもらってきました。
なかでも意識していたのが、挨拶。自分で言うのもあれですけど、今でも褒めてもらえるポイントなんです。
僕たちが所属するEBiDAN(※スターダストプロモーションに所属するアーティスト集団)が勢揃いするライブ『EBiDAN THE LIVE』では、リハーサルのときに先輩方の楽屋に挨拶まわりをするんですけど、あとからマネージャーさんに「M!LKの皆さんが褒めてくれていたよ」と聞いたときには「挨拶を大切にしてきてよかった!今後も続けよう!」と嬉しくなりました。
——Lienelの公式YouTubeでも、先輩グループに突撃していろんなお下がりをもらっていましたよね。超特急やM!LKをはじめとした先輩方に可愛がられているのが伝わってきて、近藤さんの愛され力を感じました。
Lienelでは年長組なのですが、僕個人はというと、後輩ポジションでいることのほうが多いかもしれないです。ただEBiDANの先輩方がとっても優しいので、そこに甘えてしまっている部分も大きいんですけど……(笑)。
それこそ、M!LKの佐野勇斗くんは僕のInstagramやLienelのTikTokをチェックしてくれて、たびたびシェアしてくれたり、EBiDANのバラエティ番組『DAN!DAN!EBiDAN!』(テレビ東京)で超特急のシューヤくんをいじらせてもらったときも「面白かったよ!」と優しく返してくれたりして、先輩に恵まれているな、と思います。
とはいえ、優しいと知っていても、先輩方をいじるのは緊張してしまうので、僕なりに意識していることもあって……。
僕が言えることではないんですけど、たとえば収録でいじっても、終わった後に「さっきはすみませんでした」と声をかけるだけで、ただの“失礼なやつ”ではなくなるんじゃないかな、と思うんです。
だからこそ、「よろしくお願いします!」と元気に挨拶したり、「本日はありがとうございました!」とお礼をしたりすることも含めて、挨拶はこれからも大事にしたいことですね。
——俯瞰してグループやご自身を見る「監督」のような視点と、全力で先輩をいじったりするような「プレイヤー」としての視点がどちらもあるのかな、と思いました。ご自身ではどう分析されますか?
確かに、「外からどう見られるか」は常に意識していますね。
グループとしてもそうで、たとえば裏では盛り上がるのに表に立つと静かになってしまうタイプなら「乗せたい!」と思ってMCで意識的に話題を振ったり、ライブ中に「もっと盛り上げたいな」と思ったらいつも以上に煽ったり……。
グループ内にもそれぞれのキャラがあって、僕より1歳上で最年長のはがしゅー(芳賀柊斗)、1歳下のミロ(高岡ミロ)は年長っぽくまとめてくれて、ミロと同い年の璃空(森田璃空)はふわふわとした天然キャラ。そして4歳下で最年少のさねちゃん(高桑真之)、創世(武田創世)はヤンチャで元気。
そこで僕があえて年下っぽい振る舞いをすることで場を和ませている……と言いたいんですけど、きっと年少組からは同い年くらいだと思われていますね(笑)。さねちゃんも、昔は僕のことを「近藤さん」と呼んでいたのに、最近は「お前」ですからね!(笑)

——微笑ましいエピソード、ありがとうございます(笑)。グループ活動においては、他のメンバーさんやスタッフさんの意向なども入ってくる分、個人の希望が叶わない瞬間もあると思っていて。監督ならではの視点も持つ近藤さんは、どのように折り合いをつけていますか?
基本的にはマネージャーさんが決めた方針に従ってきたんですけど、心のなかでは「絶対にこのアイデアの方がいいと思うんだけどな……」と思う瞬間はもちろんあって。そういうときには、一度受け止めた上で、限度は考えつつ、本番で意図的に変えることはしてきました。
たとえばライブの煽りなら、「こういう煽りにして」と言われたときに、まず受け止めつつ、本番になって「絶対にこっちの煽りのほうが盛り上がる!」と確信できたら勝手に変えちゃったりとか。
とはいえ、いいラインとダメなラインを考えながら、ですけどね。そのバランス感覚も、野球で培われました。
監督から練習時に受けていた教えよりも、本番でもっといい方法があったら挑戦してみる。もちろん失敗したら怒られますが、それでも挑戦し続けて、成功した姿を見せて「練習よりもよかった」「結果につながった」と思ってもらえるのが大事なんじゃないか、と。その考え方は今も変わらないです。
そうやって続けていたら、最近は意見を伝えたときに受け入れてもらえることが増えてきて。メンバー内で話し合って決めた内容を演出に盛り込む機会も少しずつ増えてきたので、より自分たちらしいライブになっていく自信があります。
夢は「ファイターズの始球式」。野球とエンタメの懸け橋として

——それも日々の信頼の積み重ねの結果なんだろうな、と感じます。これまで野球愛と仲間愛についてお話していただきましたが、近藤さんから見たファイターズの見どころポイントを教えてください。
今のファイターズは2000年生まれの代が一番多いんですけど、昨年の2024年シーズンはパ・リーグ2位と盛り上がっていたので、ここから数年後、さらに成長して全盛期が来ると信じていて……。黄金期直前の伸び代があるタイミングだからこそ、もし野球を知らない人がインタビューを読んでくれていたら「今応援するなら絶対にファイターズだよ!」と伝えたいです。
僕から見てもかっこいい選手がたくさんいますし、推し甲斐があるんじゃないかな、と思います。いくら語っても足りないくらいです(笑)。
——今の近藤さんが「野球を知らない人に推したいおすすめの選手」を挙げるとしたら、どなたでしょう?
田宮 裕涼(ゆあ)選手と達 孝太選手ですね。
田宮選手はまずビジュアルもアイドルのように可愛くて、それだけでも大きい推しポイントなんですけど、バッティングや守備になったらもう超・強肩で、ランナーを刺す勢いで……とにかくギャップがすごいんです。本人もアイドル好きで、登場曲は中島健人さんの楽曲を使っているので、球場で聞けるかもしれません。
達選手は、高校時代に「奈良のダルビッシュ」と呼ばれていたくらい強い選手で、伊藤大海(ひろみ)選手に次ぐエースだと思っています。ピッチングも強いのでプレーもかっこいいですし、ビジュアルもイケメン。これからさらに注目される選手になると思っています。
——では、野球にちなんでこんな質問も。もしLienelメンバーの皆さんを野球のポジションにたとえるなら、どこでしょうか。
難しい質問ですね!(笑)

うーん……まずミロ(高岡ミロ)は、受け止める力やボールから逃げない力があるからキャッチャー。創世(武田創世)は根性があるし、ボールを受け止めてくれそうだからサード。……ここからが難しいんですよねえ。

はがしゅー(芳賀柊斗)はサッカー経験者で足が速いのでセンター、さねちゃん(高桑真之)は181cmの長身を活かしてマウンドから投げ下ろしてほしいからピッチャーでしょ。璃空(森田璃空)はダンスが上手いし、俊敏に動けそうだからセカンドかな。
それで、僕は監督として指示を出します。Lienelでも待ち時間にミニ野球をする機会が多いので、その動きも見ながら選びました!
——さすが監督!(笑) Lienelとしては6月にメジャーデビューを果たし、グループとしても個人としても活躍する下半期になると思います。これからの近藤さんが楽しみです。
ありがとうございます。メジャーデビューをするとこれまで以上にメディアへの露出も増えると思うので、もっといろんな人に「Lienel」という存在を知っていただきたいです。その上で、まずはパシフィコ横浜という目標を叶えられたので、絶対に成功させて、次は日本武道館を目指したいと思っています。
個人としては、野球関連のお仕事をもっとやりたいな、と思っていて。 野球を題材にした映画への出演や、ファイターズの始球式も目標のひとつです。
日々ブログでファイターズの試合予想なども投稿しているのですが、それもファイターズファンの方に共有したいから。「僕も同じことを考えているんだよ!」と知ってもらいたくて続けています。
コツコツと発信しているおかげか、最近では「ファイターズきっかけで知りました!」と言ってくれるファンの方も増えて、僕の体感では、3〜4割のファンがファイターズをきっかけに知ってくれた方々なんです。
反対に、もともと野球に関心がなかったファンの方たちが僕をきっかけに球場に足を運んでくれることもあって。いい循環を増やしていきたいですし、そういった活動でもグループに貢献したいと思います。
取材・執筆:高城 つかさ
撮影:小泉 佳