鉄道にもグループ活動にも「永遠」を求めてしまう——SUPER★DRAGON・伊藤壮吾さんが語る「鉄道愛」と「好き」を貫くすばらしさ

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鉄道にもグループ活動にも「永遠」を求めてしまう——SUPER★DRAGON・伊藤壮吾さんが語る「鉄道愛」と「好き」を貫くすばらしさ

各界の第⼀線で「未知なる領域」に挑み続ける方々の思考を紐解くインタビュー連載『挑戦の人間学』。結果だけではなく、そこに⾄るまでの葛藤や、⾔葉にできない過程に光を当てます。

今回は、9人組進化系ミクスチャーユニット「SUPER★DRAGON」で活動する伊藤 壮吾さんにインタビューを行いました。

グループ活動のみならず、「鉄道」への深い愛情と圧倒的な知識量を活かしたバラエティ番組出演や雑誌連載でも知られる伊藤さん。

5年間欠かさず書き溜めてきたという「乗車記録ノート」とともに、鉄道の進化に自らの人生の歩みを照らし合わせる、その一途な「挑戦の人間学」に迫りました。

プロフィール

伊藤 壮吾(いとう そうご)

2003年2月17日生まれ、千葉県出身。 ミクスチャーユニット・SUPER★DRAGONのメンバー。 2024年3月「New Rise」でメジャーデビューを果たしている。 また鉄オタタレントとして 「アメトーーク!」や「東大王」「ナニコレ珍百景」にも出演しており、21年3月には公式YouTubeチャンネル「伊藤壮吾の鉄道チャンネル」を開設し、鉄道愛を発信している。

「気づいたときには好きだった」。「乗り鉄」の原点と通勤電車の魅力

——本日は取材にあたってたくさんの資料をご持参くださって、ありがとうございます。内容についてご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

今日は幼少期から大切にしている図鑑や、乗車記録ノートなどを持ってきました。図鑑のなかには、読み込みすぎてかなり傷んでしまいもう一度購入したものもあります。持ち運ぶときには必ず透明なビニール袋に入れるくらい大切にしていて……いわば「輸送用」の状態です(笑)。

——その言葉選びからも鉄道愛が感じられます(笑)。

なかでもこの「乗車記録ノート」は、18歳の誕生日にはじめて以来、一番力を入れているものです。

今日もメモをとっていたんですけど、自宅の最寄り駅から取材場所の最寄り駅まで、普通列車の何行きか、車両番号は何番か、といった情報をすべてノートに記録しているんです。

電車に乗っていると、遅延が発生することもあるじゃないですか。そういうときには、何の影響を受けて、どのような対応をして、実際に何分遅れたか……といった細かい部分まで残しています。

正確な情報を得るために、乗車時にはスマホでメモをとりつつ、車両番号や列車番号については車内を確認したり、運行情報については各鉄道会社公式Xでアナウンスされた内容を拾ったりしています。

——そもそも伊藤さんが「鉄道」に強い関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか。 

インタビューでもよく聞かれるのですが、まったく覚えていなくて……。もう本当に「気づいたら好きだった」みたいな感覚なんです。

強いて言えば、父が出張の多い仕事をしていて、子どものころから東京駅まで母と送り迎えに行っていたらしく、そこでいろんな新幹線を見たり、駅構内の雰囲気を肌で感じたりしていたのがきっかけなんじゃないかな、と思います。

僕が鉄道にしか興味を持たなかったからか、両親もいろんな本を買い与えてくれました。子ども用の図鑑に書かれたふりがなを見てひらがなを覚えたといっても過言ではないです。

——伊藤さんのSNSでは、発車メロディや列車の見た目など「鉄道」のいろんな魅力に触れられていますよね。「鉄道のなかでもとくにここが好き!」というポイントはありますか?

鉄オタ(鉄道オタク)って本当に奥が深くて。鉄道に乗ることが好きな「乗り鉄」、列車などを写真に収める「撮り鉄」、走行音や発車メロディを好む「音鉄」など、いろんな名称があるほどなんですよ。

僕は「乗り鉄」で、なかでも昔から通勤電車が好きです。ロケ後に宿泊するときには、わざわざ通勤電車に乗るためにホテルを選ぶこともあります。

以前、調布近辺で撮影があったときには、JR中央線の通勤特快という、国分寺駅から新宿駅までノンストップで走る電車に乗ろうと八王子駅周辺に泊まりました。翌日の仕事のことを考えると新宿駅あたりに宿泊するほうが動きやすかったんですけど、「どうしても乗りたい!」と。

——素晴らしい行動力ですね……! 通勤電車というと、一般的には「乗るのが苦痛」とされるイメージだったので驚きました。

珍しいタイプの人間であることは自覚しているんですけど(笑)、僕は通勤時間が一番「鉄道が輝く時間」だと思っているんです。やっぱり、人のために走ってこその鉄道ですから。

それは地方に行くと、より強く実感します。完全な車社会で、大人になるとみんなが自動車免許を取って、普段はほとんど電車に乗らなくなるような地域ってあるじゃないですか。そんな場所でさえも、朝の地方路線に乗ると、通学する学生たちで車内がいっぱいになるんです。そういう風景を見ていると、「どんな場所でも、鉄道は絶対に人に必要とされているんだな」と胸が熱くなります。

開業から一度も「一斉に止まった日」はない。日本の鉄道を“宝”と呼ぶ理由

——続いて、伊藤さんの“熱量”そのものについてもお聞きしたいです。現在に至るまで、「鉄道」というひとつのものに対して、なぜ没頭し続けられているのでしょうか? もともと没頭しやすい性格だった、とか。

鉄道以外のものを好きになったことがないので、もともとの性格なのかどうかもわからないんです(笑)。僕がこれだけ「鉄道」を好きでい続けられるのは、日本の鉄道が素晴らしいから。それに尽きると思います。鉄道だから、飽きることがないのかな、と。

もちろん、ダイヤ改正や廃車などでなくなってしまうものもあるので、「この時期に走っていたあの特急が良かった」「寝台特急がたくさん走っていた時代を見てみたかった」といった想いはあります。だけど、鉄道が進化していくのは当然のこと。それすらも愛おしいというか、「2003年に生まれた僕が、あのとき鉄道に出会ったから今の自分があるんだ」と思うと、自分の人生そのものを感じますね。

——鉄道そのものが常に進化し続けているからこそ、惹かれ続けるのですね。

本当に、日本の鉄道って“宝”だなと思うんですよ。安全性も高いし、時間に対する意識もすごく強い。

たとえば、皆さんが普段目にする時刻表は「9時5分」といった“分”単位だと思うんですけど、現場のダイヤ上は「9時5分15秒発」という風に、正確には“秒”単位で動いているんです。

——ええ! 電車が“秒”単位で走っているなんて知りませんでした。

世界を見渡しても、これほど正確に運行している鉄道はなかなかありませんし、そうやって日本で暮らす人たちの日常を支えている姿が、とにかくかっこいいなと感じます。

日本では1872年10月14日にはじめての鉄道が走ったのですが、その日から今日まで、戦争のときも、大きな震災のときであっても、“日本全国を走るすべての鉄道”が、“同時刻に止まった”という日は一日もないんです。

最近は台風のように予想できる災害に対して計画運休をする流れもありますが、それもすべて安全に走行するためですし、トラブルが起きたときも一分一秒でも早く動かそうとする復旧スピードには感動しますね。

毎日違うドラマがあるから面白い。5周年を迎えた「乗車記録ノート」が思い出させてくれる大切な記憶

——お話を聞いていると、伊藤さんの“一途さ”が印象的で。その“一途さ”によって「鉄道」への道が突き詰められたのではないかな、と思うんです。一方で、今の時代、いろんな情報に溢れていますよね。ひとつのことを突き詰める前に飽きてしまう、なんてこともあると思うのですが……。

これも、「鉄道だから」という理由になってしまうのかもしれないですけど……。

先ほどお話ししたこととも重なりますが、鉄道って、毎日何らかのイレギュラーが発生するなかで、常に「人のために」動いているところに最高の面白みがあると思うんですよ。

実は今日も、電車で向かっていたら、次の駅に着く手前で一時停車したんです。「様子がおかしいな、何があったんだろう」と鉄道会社のアプリを確認したら、雨による混雑の影響で数分の遅れが発生していて。

そういう状況のなかでも、安全性を担保しながらスムーズに走らせるために、裏ではものすごくきめ細やかな調整が行われているんですよね。どんなときでも乗客を目的地へ届けるために全力を尽くす。その姿勢そのものが、僕の思う鉄道の魅力なんです。

——楽しみ続けるためには“能動性”が大事なのかもしれないですね。そうした日々の変化をキャッチするために、冒頭で見せてくださった「乗車記録ノート」が大きな役割を果たしているのでしょうか。

そうですね。乗車記録ノートをつけはじめてから、より「鉄道と人生は密接に関わっている」と感じるようになって、日々の楽しみが増しました。

18歳の誕生日から記録をはじめて、今年の2月でちょうど5周年を迎えたのですが、5年分の記録を振り返ると、本当にいろんなことを思い出せるんです。

ノート自体には「○○駅から△△駅まで移動した」という事実しか書いていないのに、読み返すと不思議なことに、「あ、このときメンバーとご飯を食べたな」とか、「ここでこんな話をしたな」「あのときはこういう感情だったな」って、当時の記憶が蘇ってくるんですよね。

日記のように文章で綴るのとはまた違う、ただの記録だからこそ生まれる「読み返す面白さ」がある。これはノートをはじめて、一番よかったなと思うところですね。 

——「鉄道」と「思い出」が紐づいている……。素敵な視点だなと思います。

あとは、「鉄道」と自分の「人生」を重ね合わせてみたりもしていて。

たとえば新幹線って、約15年で車両寿命が訪れて廃車になってしまうんです。それを知ったときに、「あんなに輝いている新幹線も、すごく短い期間を必死に駆け抜けているんだな」と感じて。それと同時に、「じゃあ、僕はこの20数年間、新幹線のように一瞬一瞬を必死に生きてこられたのかな」なんて考えてしまうんですよね。

——鉄道と人生って刹那的なところが似ているんじゃないかな、と思いました。

本当にそうなんですよね。新幹線の15年も短いですけど、もっとスパンの短いもので言うと、毎年行われるダイヤ改正(※鉄道運行における基本計画)で、昨日まで当たり前だったものが突然なくなってしまうことだってあるんです。

最近だと、2023年まで京急本線を走っていた「エアポート急行」が「急行」に改称されました。乗車記録ノートを見返して、そこに「エアポート急行」という文字があるだけで、「ああ、もうこの名前の電車には乗れないんだな……」と、すごく切ない気持ちになります。

目標は「完乗」。その町で暮らしているような顔をして“景色に溶け込む”旅が好き

——「次はここへ行きたい」「この路線を走ってみたい」というような目標があったら、教えてください。

僕は完乗(※日本を走るすべての鉄道路線に乗ること)を目標にしています。なので、少しでもまとまった休みがあれば「まだ乗っていない鉄道に乗りに行こう」と旅行に出かけますね。

仕事柄、ギリギリにならないと休みがわからないので、事前予約が必要な観光列車の世界にはなかなか踏み出せないんですけど……。そのぶん普段使いの列車に乗ることが多く、その土地で暮らす人々の生活をのぞけるところがとっても楽しくて。通勤電車が好きな理由にも通ずるのですが、まるでその土地で暮らしているような顔をして鉄道に乗ると、景色に溶け込むような、お邪魔させてもらっているような感覚になるんです。

——もし「鉄道に興味があるけど、何から勉強したらいいかわからない」という方にはどのように勧めたいですか?

ファンの方もよく「何からはじめたらいいんですか?」と聞いてくれるんですけど、そのときには必ず「いつも乗っている路線から勉強してみてください」と答えていますね。

たとえば東急田園都市線沿線に住んでいる人だったら、東急の車両だけではなく、直通とされている東京メトロ半蔵門線の車両や、そのさらに先の東武鉄道の車両が走ることもあるので、それぞれの車両をじっくり見て、違いを知ろうとしてみるとか。

もう一歩進むなら、日々の移動を楽しんでみることもいいんじゃないかなと思います。

電車によく乗る方なら、当たり前のように「各駅停車に乗っているときにどの駅で急行に乗り換えたら目的地に早く着けるか」みたいな感覚を持っていると思うんです。

たとえば、自分が乗っている各駅停車が5分遅れていて、後ろから急行が追いかけてきているとするじゃないですか。そんなとき、鉄道会社のアプリを見る習慣がついていると、「この先の駅で急行に追い抜かれる可能性が高いから、次の駅で降りて早めに乗り換えよう」といった選択肢が自分で取れるようになる。

そうやって日々の生活が少しずつ豊かになっていくのも鉄道ならではの魅力ですし、ぜひ身近なところから楽しんで知っていただけたら嬉しいですね。

誰ひとり欠けないグループへの「永遠」の願いは、鉄道にも通ずる。個人活動が、恩返しに繋がるなら

——伊藤さんは鉄道関連の番組にも多数出演されていますが、個人としての活動のなかで「鉄道」というジャンルはどれくらいの割合を占めるようになっているのでしょうか。

ありがたいことに、95%が鉄道関連の仕事です。もはや「鉄道がなかったら自分は何をしていたんだろうな……」と思うくらい(笑)。鉄道に出会えたことも、鉄道関連の仕事ができていることも、運がよかったなと感じます。

なので今は、鉄道への恩返しをするために動こうと思っていて。今回の取材もそうですが、僕がこうやって鉄道について話すことで興味を持ってくれる人が増えたり、SNSで旅の写真を載せることで、ファンの方が鉄道に乗って同じ場所に行ったりしてくれたら嬉しいなと考えています。

最近ではJR九州さんのオリジナルツアーとして、団体臨時列車を走らせて、僕やメンバーと一緒に旅をする企画をしているんです。そういった活動は、よりダイレクトに「鉄道に乗る理由を作れている!」「JRに貢献できている!」と感じます。

——伊藤さんの“鉄道愛”とグループでの活動を掛け合わせた企画を考えるとしたら、どんなことがやりたいですか?

グループの楽曲を発車メロディにしたいです! たとえば「小田急電鉄海老名駅と本厚木駅ではいきものがかり」といったように「○○駅といえばSUPER★DRAGON」と思ってもらえたらな、と。もし難しくても、期間限定のキャンペーンソングとして使ってもらえたら嬉しいですよね。

——「鉄道」への想いを、グループ活動にも還元させたいのですね。

はい。というのも僕は、鉄道と同じくらい、グループに対しても一途に「永遠」を求めてしまうところがあって……。

SUPER★DRAGONは2015年9月に結成して以来、誰ひとり欠けることなく9人で活動を続けているんです。だからこそ、僕は「もうこのメンバー以外は考えられない」と思っていますし、この一途さは鉄道に対して持っている想いと、まったく同じ感覚なんですよ。

左から、志村玲於さん、ジャン海渡さん、松村和哉さん、伊藤さん、古川 毅さん、池田彪馬さん、飯島颯さん、田中洸希さん、柴崎 楽さん

そもそも、これだけ長い期間、同じメンバーで活動を続けられているグループって、なかなかないと思うんです。

結成当初の僕たちは、最年長が高校2年生、最年少が小学5年生という大きな年齢差がありました。

今になって「もし僕が高校2年生のときに、小中学生とグループを組めと言われて、同じようにやっていけただろうか」と考えると、当時の状況を受け入れて、ここまで引っ張り続けてくれた年上組のメンバーには、本当に感謝しかありません。だからこそ、僕の個人としての鉄道活動が、少しでもグループへの恩返しに繋がったらいいなと思っています。

——伊藤さんのまっすぐな「好き」が伝わるインタビューでした。それでは最後に「好き」を起点にした質問を。もし今「夢中になれるものが⾒つからない」と感じている⽅や、⾃分の「好き」に⾃信が持てない⽅へ伝えるとしたら、どんな言葉を送りたいですか?

突き放すような言い方になってしまうのですが……。まわりの目を気にせず、自分の「好き」を貫いていいんじゃないか、と伝えたいですね。

自分が「好き」といえるものがあることは素晴らしいですし、それによって幸せを感じられるなら十分だと思います。迷惑をかけない範囲であれば、むしろ胸を張っていたほうが素敵なんじゃないかな、と思うんです。

「鉄オタ」も今では当たり前のように浸透している言葉ですが、それが生まれるくらい「鉄道」が趣味としてメジャーなものになったのも、中川家の礼二さんをはじめとした先輩方が「好き」を貫いてくれていたから。僕もその想いをつないでいきたいですし、僕よりも若い鉄道好きの方がどんどん出てきて「鉄道」の時代が続いていくことを願っています。



取材・執筆:高城 つかさ

撮影:小泉 佳

撮影場所:WeWork 丸の内北口

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