新商品の中から、特にチャレンジを感じるアイテムを紹介する『チャレンジみっけ隊』。
今回見つけたのは、地震に耐えた能登の家の木からつくられたボールペンです!
しかも、その木を削るのは能登の若手職人で、仕上げは輪島塗の老舗。
解体される家から柱や梁を救い出し、一本ずつ削り、漆を塗り重ねていく。
手のひらに収まる小さな一本に、能登の家で過ごした時間と、職人たちの技が詰まっているという逸品です。
能登の古材を、輪島塗の老舗が仕上げる木軸ペン

石川県羽咋市の株式会社もりもり工房が、能登半島地震の廃材を使った木軸ペン「古材筆-輪-(こざいペン-わ-)」の一般再販を、2026年10月10日(土)から公式オンラインストアではじめました。先行予約では、クラウドファンディング開始からわずか32時間で目標を達成した話題作です。
素材になっているのは、地震の激しい揺れを耐え抜いた家屋の、公費解体の現場から救い出された柱や梁。本来は廃棄されるはずだった良質な木材を、同社は「折れなかった木」と呼んでいます。

その木を、能登の若手職人が、古材ならではの木目や乾燥の具合を見極めながら旋盤で一本ずつ削り出します。
仕上げを監修するのは、創業168年を数える輪島塗の名門「塩安漆器工房」の坂本雅彦さん。漆を塗り重ねる「拭漆(ふきうるし)」で木目が美しく浮かび上がり、手に吸い付くような握り心地と、使い込むほどに深まる艶が生まれるのだそう。

ラインナップは「欅×拭漆仕上げ」と「ヒバ×オイル仕上げ」の2種類。受注生産で、全国に届けられます。すでに石川県知事への贈呈や、石川県観光大使への進呈も行われています。
出典:PR TIMES
4万3千棟の古材を、廃棄で終わらせない

大きな地震のあと、被災した家の多くは解体されます。解体されれば、柱も梁も、ほとんどはそのまま廃材として処分されていく。もりもり工房が掲げているのは、「4万3千棟の古材を廃棄で終わらせない」という言葉です。
とはいえ、ボールペン1本に使う木はほんのわずか。この数字を前にすると、小さすぎる挑戦に見えるかもしれません。
それでもこの商品がうまいのは、ボールペンという形を選んだところです。家は持ち運べませんが、ペンなら毎日カバンに入れて持ち歩けます。机の上に置かれ、人前でサインをするときに手に取られ、「それ、何の木?」と聞かれたら、能登の話がはじまる。木を残すだけでなく、能登の話をするきっかけまで、人の手元に届けているのです。
素材も、削る手も、仕上げる技も能登から
もうひとつ見逃せないのが、ものづくりの工程を能登の中でつないでいる点です。
古材を救い出し、地元の若手が削り、輪島塗の老舗が仕上げる。どこか遠くの工場に任せれば手間は減りますが、それでは能登に何も残りません。一本売れるたびに、若い職人の仕事と、168年続く漆の技の出番が生まれる。廃材の再利用であると同時に、地域の手仕事を回し続ける仕組みにもなっています。
チャレンジみっけ!
今回見つけたチャレンジは…
- 解体で処分される古材を、毎日持ち歩く筆記具の素材に変えた点(廃材のアップサイクル)
- 古材の救出から加工、仕上げまでを能登の作り手でつないだ点(地域内バリューチェーン)
- 輪島塗の老舗による拭漆で、廃材に伝統工芸の価値を重ねた点(伝統技術によるブランド価値向上)
わかさ生活も、みっけ!
ちなみに「能登で捨てられるはずだったものを、石川の伝統工芸でもう一度世に送り出す」といえば、わかさ生活も先日、能登にまつわるニュースを発表しました。
わかさ生活は、2024年1月の能登半島地震のあと、被災したブルーベリー農家を支える「能登半島復興支援プロジェクト」を立ち上げました。
最初にご縁をいただいたのが、能登のブルーベリー農園園主・平 美由記さん。平さんからは、本来なら廃棄されるはずだったブルーベリーの実を、「奥能登のブルーベリー染め」の染料として提供してもらっています。
そのブルーベリーを託されたのが、加賀友禅作家の一川 忍さんと久恒 俊治さん。
加賀友禅は、京友禅・東京友禅とならぶ日本三大友禅のひとつで、石川県が誇る伝統工芸です。2人がそれぞれの感性と技法で、能登の風景とブルーベリーの魅力を絹地に染めあげ、その生地をファッション・デザイナーのYOSHIKO KITANOさんが一着の服に仕立てました。作品の名前は『能登に咲く紫の希望』です。
平さんの夢は、「ブルーベリー染めの美しさを世界に発信し、最終的にはパリ・コレクションで披露したい」というもの。一粒の実が、伝統工芸の手を経て服になり、いつかパリの舞台へ。古材のペンと同じように、行き場をなくしかけたものが、能登の外へと歩き出しています。

11月21日(土)には、京都・四条烏丸の「WAKASA&CO. KYOTO」2階「わかさの舞台」で、トークイベント『能登ブルーベリーと加賀友禅 ~作品に込めた復興への想い~』を開催。一粒のブルーベリーが伝統工芸、そしてファッションへと形になるまでの物語が語られ、会場では『能登に咲く紫の希望』も展示されます。
参加は無料で、予約なしでも参加できます(席数に限りがあるため、予約がおすすめです)。
ブルーベリーの紫が絹の上でどんな色になったのか、ぜひ京都で確かめてみてくださいね。
ご予約はこちらから。
出典:PR TIMES
一緒に考えてみよう
長く暮らした家や、何年も使い込んだ机。役目を終えたあとも、どこかに残しておきたいものは、誰にでもひとつはあるのではないでしょうか。
ただ、そのままの形で残せることはあまりありません。今回のペンが示していたのは、「大きなものを、小さな日用品に変えて手元に置く」というひとつの答えでした。
あなたなら、思い出のあるものを、どんな”毎日使うもの”に変えて残しますか?