展示会『バース』参加者インタビュー:イラストレーター skさん

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展示会『バース』参加者インタビュー:イラストレーター skさん

プロフィール

sk
普段は茂地くるみという名義で動画編集者をしております。
イラストから動画まで幅広く制作しています。
Instagram:@satsuki_ori(イラスト)
Instagram:@mochi5kurumi(動画)

skさんの展示会出展作品『日常』

作者について

――まずはskさんの絵との出会いについて教えてください。

祖父が自営業でグラフィックデザインをしていた関係で、幼少期から絵を描く環境が身近にありました。なので自然と私も描くようになっていきましたね。
“将来の夢はイラストレーター”と小学校の卒業文集にも書いちゃうくらい、昔から絵を描くことが大好きでした。

――昔からイラストレーターが夢だったとのことですが、進路について親御さんから反発はあったのでしょうか?

反発はめちゃくちゃありました。
「芸大に行きたい」と言っても、「芸術なんか学んでも将来食べていけない」「下請けで薄給な生活になる」といった理由で、3年間ずっと反対されていました。
そのころには祖父も亡くなっていて、絵を描く道を応援してくれる後ろ盾もなかったのもあって、なかなか大変でした。

――それでも、夢を諦めようとは思わなかったんですね。それはどうしてだったんでしょうか?

仕事って、人生の中でも長く時間をかけるものじゃないですか。それが好きなことじゃないのは嫌だなと思ったんです。
あとはデザインの仕事に就くなら芸大に行くもの!と視野が狭くなっていたのもあるかもしれません。

ですが、結果としていろいろなジャンルのものづくりの仲間ができたり、自分よりすごい人たちを身近に目の当たりにして感化されたり、挫折ができたのは良い経験だったと思っています。

――どうやって親からの理解を得たのでしょう?

最終的には、「学費も全部自分で払う」と言いました。
そしたら親も根負けしてくれて、情報デザイン学科なら許すという条件つきではありましたが、通うことができたんです。
おかげでこれから先何十年も奨学金返済が続くことにはなってしまいましたが、先ほども言ったように良い経験がたくさんできたので、後悔はありません。

――これまでどんな作品を制作されてきたのでしょうか?

本当にいろいろあります。自分の作風や絵柄がまだ定まっていないところもあって、これ、という代表的な作品はないんです。
でも、だからこそイラストレーターとして、どんな要望にも柔軟に応えられる強みにはなっているのかなと思っています。

――普段はどういったものに影響を受けて制作されるのでしょう?

私は特定の作家や作風に影響を受けているという実感はあまりありません。むしろ、すべてに影響を受けているような気がします。
それこそ、こういう展示会に参加するとたくさん刺激をもらえますね。私にとって、ほかの人の作品を見ることは全て刺激になっています。

――実際に、作品のどういったところを見られるのでしょうか?

デザインや色づかいといったところももちろん見ていますが、何より“ものを作る”という行為そのものに感化されることが多いです。ほかの人の作品を見ていると、自分も作りたいなという意欲が湧きます。

――前回の作品と今回の作品、見比べてみると本当に全く違いますよね。
作風が違う理由には、展示会などでさまざまな作品を見るたびに、人から刺激を受けていることも関係しているのでしょうか?

そういった部分ももちろんあるとは思うのですが、一番大きいのは、やはり親からずっと反対されていたことだと思います。

――と言いますと?

私には昔から「人に見せられるような絵を描かないといけない」という意識があるんだと思います。

昔、私が漫画やアニメのキャラクターを描いたら、親から「そんなオタクっぽいものを描くなんて」と言われたことがありました。
思えばそこからその意識が生まれてきたような気がしています。

私としては、漫画やアニメが好きなので、キャラクターっぽい絵も好きなんです。
でも人に見せられる絵を描かなきゃという意識がどうしても先に来てしまって。
そんな理由があって、私の趣味全開の絵と、人に見せるための絵とでは、振り幅があるんだと思います。

――親や世間一般の人に見せても恥ずかしいと思われない絵を描くということですね。

はい。もちろん、アニメ絵やキャラクターを描いている人を下に見ているとか、それが恥ずかしいと自分で思っているわけではないんです。どちらかというと、“一般的にどう見られるか”とか、“私の親に見せられるか”といった感覚に近いですね。

ある種、絵を描こうとするときの基準というか、“こういう絵だったら親も認めてもらえるかもしれない”という感覚が、どこかで一つの基準になってしまっていて。
ただ、結局、今も一切、親に自分の絵を見せていないので、認めてもらうもなにもないんですけど。

だからこそ、自分の絵柄にとらわれず、いろんな作風に挑戦してみようという気持ちにもつながっているのかなと思います。
最近、やっと、「こういう路線も自分の描きたい絵なのかもしれない」と思えるようになってきましたしね。

――ある種の呪いのような言葉を前向きに捉え、マイナスをプラスに変えているのが素敵です。

――先ほど「こういう路線も自分の描きたい絵なのかもしれない」とおっしゃっていましたが、それが前回や今回の展示作品につながっているのでしょうか。

そうですね。ちゃんと自分が描きたいと思えるし、なおかつ人にも見せられると思える絵が、最近やっと描けてきたなという感覚があります。

――両方の軸を満たせるようになってきた、ということでしょうか。

軸というよりは、自分の中の基準をどちらも満たせるようになってきた、という感じですね。

ただ、今はデザインの仕事もしているので、あまり自分の特徴を固定しすぎないようにも意識しています。いろいろなものに対応できる絵柄というか、需要に合わせたものを作っていきたいという気持ちもあるんです。
そういった理由もあって、毎回、違う系統の作品になっているんだと思います。

作品について

――今回展示会に出展された作品について教えてください。

展示会出展作品skさんの作品『日常』

今作は、私が海外で描いたスケッチです。

私は海外旅行が大好きで、よく行っているのですが、今作を制作するにあたって改めて“自分は海外の何が好きなんだろう”と考えました。
そのときに気づいたのが、“非日常”です。日本ではあまり見ない光景、例えば、公園で地面に座って本を読んでいたり、芝生の上で寝転んでいた李、美術館で宿題をしていたり。そんな、私にとっては少し憧れのある風景が好きなんだと気づいたんです。

でも、現地の人にとっては、それは小学生でもしているような“日常”なんですよね。
自分にとっての非日常が向こうの人にとっての日常。その狭間を切り取りたいと思いました。

――今作にバースというテーマをどう落とし込まれたのでしょう。

実は、バースというテーマに合わせて描いたわけではないんです。
というのも、本当に直前まで、何を出すか決まっていなくて。「これでいいんだろうか」「人に見せられるだろうか」「もっとちゃんとしたものを作らないといけないんじゃないか」と、作ってはボツにして、また作ってはボツにして……を繰り返していました。

なんだったら、展示の3日前くらいまで決まっていなかったんです。それでも「出したい」という気持ちはあって。改めて、自分が好きなものは何だろうと考えて、最終的にこのスケッチを出すことと決めました。なので、バースというテーマを強く意識して高める余裕は、正直なかったです。

見た方それぞれが、自分なりの“バース”を感じてもらえたらと思っています。

――前回の展示ではカラフルな絵だったのとは一転、今作では白と黒がメインなのは、何か理由があったりするんでしょうか。

色を乗せてしまうと、情報を与えすぎてしまう気がしたからです。

私は、絵の面白さの一つに、“フィクションである”ことがあると思っています。
今回の作品のように、現地に足を運んで表現するものであれば、写真という方法もありますよね。そんな中であえてスケッチにしたのは、“見る側に考える余地を残せる”と感じたからです。
今作がは、白黒の線だけで表現されているのはまさに、そこを表現したかったからなんです。

例えば、真ん中の下に描いているのは塩こしょう入れなんですけど、ぱっと見ただけでは分からないですよね。
そういう“すぐには分からない”部分も、少し面白いかなと思っています。

――ただ見るだけではなく、目を凝らし、色合いやその場の空気、そこにある会話まで想像してもらえる作品、ということですね。

そうですね。例えば、その塩コショウ入れが実はカラフルだった、と伝えたとします。
“カラフル”といっても、人によって思い浮かべる色は違いますよね。写真を展示するのではなく、あえて絵で展示するのは、そうやって想像の余地を持たせたかったからなんです。

――お話をうかがっていて、白黒にされた理由は、もしかするとその方が“非日常らしさ”を強く感じられるからなのではないかと感じました。
もし色がついていると、例えば「この景色、道頓堀のあの道に似ているな」といったように、日本の日常の風景と結びついてしまうこともありますよね。
そういった連想からあえて距離をつくるために、白黒で表現されたのかなと想像していたのですが、そういった狙いもあったのでしょうか?

意識していたわけではないのですが、言われてみると、そういう効果もあるのかもしれません。

私としては、絵の雰囲気をあまりリアルすぎる描き方にはしたくなかったんです。リアルに描きすぎると、どうしても距離が近く感じられてしまって、それこそ“あの場所に似ている”と受け取られてしまいかねません。

“行っていないのに行った気になる”というよりは、“この絵はどういう場面なんだろう”と想像しながら見てもらえる形にしたことで、非日常を感じてもらえるように出来たのではないかなと思っています。

――“どういう場面なんだろう”と想像してほしい、というお話がありましたが、前回の展示会に出展していた作品『十人十色』でも、見る人それぞれが物語を想像できるような作品でしたよね。
そうした“想像の余地を残す”という部分は、作品づくりの中で共通して大切にされていることなのでしょうか。

今回の展示作品『日常』
前回の展示作品『十人十色』

“何事も自分の価値観が全てではない”ということを共通で大事にしています。

『十人十色』は同じ顔をベースにいろんな服装やアイテムを持っている人を描いた作品です。
そうしたのはブスとか美人とか基準は人それぞれなので、それを私が定義してはいけないと思ったからです。
この顔は人にとっては可愛くないと思うかもしれない。でも別の人にはめっちゃ刺さる魅力的な顔かもしれない。見た人によっていろんな受け取り方をしてほしいな、物事は多面的だということを伝えたくて描きました。

メッセージ

――skさんにとって芸術とは、どのような存在なのでしょうか。

芸術とは何か、と改めて考えてみると難しいですね。というのも、小さい頃からずっと身近にあったものでもありますし、自分にとって特別なものでもあるので。

強いて言うなら、自分の“半身”みたいな存在かなと思います。
実際、私がデザインの仕事に就いたのも、デザインや表現と離れて生きることがあまり想像できなかったからですし。
今の生活の一部になっているという意味でも、私にとっての芸術は自分の半身、というのがしっくりきます。

――最後に、社会人になってもアートの炎を燃やし続けたいと考えている方、もしかすると未来の参加者になるかもしれない方々へ向けて、メッセージをお願いします。

大人になるにつれて責任も増えてきますし、考えることも増えてきますよね。それこそ、生きていくためにはお金を稼がないといけない。そういったことは、自分がやりたくなくてもやらないといけないことですし、ある程度“正解”が決められているものだと思います。

でも、絵を描くことや芸術を生み出すことには正解はありません。だから、あまり重く考えすぎずに、自分が作りたいものを形にする、その一歩を大切にしてほしいなと思います。

「やってみたいけどどうしよう」と迷っている人がいたら、「やってみてください。あなたが想像しているよりも、きっとハードルは低いはずだから」と伝えたいです。

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