イラストレーター“兎々茶さん”にインタビュー

  1. TOP
  2. 若きアートの炎
  3. イラストレーター“兎々茶さん”にインタビュー
若きアートの炎
  • 暮らし
  • アート

シェア

X X(Twitter) Facebook Facebook
イラストレーター“兎々茶さん”にインタビュー

プロフィール

兎々茶

イラストレーター。見た人がそのイラストの世界観を覚えていられるような作品作りを心がけています。
高級感のあるイラストが得意でデジタル(CLIP STUDIO)を使用しています。

X :@x_j4o

大阪デザイナー・アカデミー「2年生 卒業作品展」出展作品
『SCORPIO』(左端)、『GEMINI』(中央)、『ARIES』(中央下段)、『TAURUS』(右端)

作者について

――まずは兎々茶さんの絵との出会いについて教えてください。

小学1年生か3年生くらいの頃、学校で“写し絵”が流行っていました。プリキュアなどのイラストが描かれた商品に、クッキングシートのような薄い紙が付いていて、それを上からなぞって描くというものです。学校全体でその写し絵が流行っていて、それが“絵に出会ったきっかけ”だったと思います。

――本格的に絵を描こうと思ったきっかけを教えてください。

中学1年生のとき、インスタで“AU(あう)さん”というイラストレーターの作品に出会ったのがきっかけです。

〈AUさんHP〉
https://vlind.myportfolio.com/profile 

作品を見た瞬間、「すごい!」って思いました。イラストなのに“絵画を見たような印象”があって、まさに“世界観で殴られた”ような衝撃だったのを今でも覚えています。その一瞬でとりこになって、私もこんなふうに“世界観で殴れる”ような作品を描きたいと思ったんです。

――そこからイラスト系の高校を目指されたのでしょうか。

中学3年生の頃にイラスト系の高校に行きたいと思いはしたんですが、同時に「もし食いっぱぐれたら嫌やな」とも思ってしまって……。結局は商業系の学校に進学しました。

そこでは簿記や情報処理などの資格を取って、将来なにかあっても大丈夫なようにしていました。なので、正直イラストの勉強自体はあまりしてこなかったんです。本格的に勉強し始めたのは、この専門学校に入ってからですね。

――商業科で学んだことで、逆に絵に活きていると感じることはありますか。

ちょっと特殊で、グローバル系の商業学校だったんですけど、生徒たちで商品を企画して販売したり、広告を作ったりする授業がありました。その中で、市場調査や需要調査をしたり、自分たちが作ろうとしている商品を客観的に分析したりする経験があって。その考え方は、自分の作品を考えるときにも活きていると思います。

――実際に専門学校に入ってみて、いかがでしたか。

高校の頃は、身の回りに絵を描いている人があまりいなかったので、「自分が一番絵がうまい」みたいな気持ちでいたんです。でも専門学校に入ると、自分より上手い人、なんだったら全然レベルの違う人がたくさんいて。それがすごく悔しかったですね。

特に悔しかったのは、同級生が学内コンテストで賞を取ったり、1年生全員の作品集を作るときに、その表紙に同級生の絵が使われたりしたことでした。

――それをどのように乗り越えていったのでしょうか。

自分の絵を客観的に分析して、見直していきました。それまでは学校に来ても友達としか話していなかったんですが、先生からのアドバイスも積極的にもらうようにしていきましたね。

そうやって改善していったら、学外展示のポスターに絵を使っていただけたり、「絵師百人展」の学生作品として選ばれたりと、良い結果が出るようになってきました。

――アドバイスを受けて実行していくと、自分の絵の個性が消えてしまうという恐怖はなかったでしょうか。

アドバイスを取り入れる中で、個性がなくなってしまうんじゃないかという不安は、ないと言ったら嘘になります。でも、まず一度受けたアドバイスは必ず実践してみて、自分にとってそれが合うか合わないかを試すようにしています。これは先生からの受け売りでもあるんです。

先生からの受け売りというのは……?

「いろいろ言ったけれども、自分たちに合うか合わないかは個人で判断してください」という言葉です。

誰かにとっては正解のアドバイスが、自分にとっては合わない場合もあります。そういうところは自分で判断しながら、必要に応じて先生にも相談していく。そのバランスが大事という意味の言葉だと思っています。

――これまで制作してきた作品には、どのような変化がありましたか。

これまでだいたい10年くらい絵を描いてきました。そのうち8年くらいはデジタルではなくアナログでしたね。
それは“みひろさん”というイラストレーターの方の作品と出会ったからです。

〈みひろさん Instagram〉
https://www.instagram.com/mihiro00122/

この方はもちろんデジタルでも描かれるのですが、アナログで“ペン画”という描き方をされていて、背景のパースや陰影をペンで表現されているんです。そうした表現は、今デジタルで描くときにも結構活かせているかなと思います。

――制作に影響を受けているものはありますか。

やはり“AU(あう)さん”ですね。キャラクターの顔や髪はコミック的な描き方なのに、背景や服、肌は写実的に描かれていて、まるでその場に存在しているかのように感じられるところがすごく好きです。光と闇のコントラストもはっきりしていて、細かいところまで丁寧に描き込まれているので、思わず細部まで見たくなる魅力があります。

リアルな背景の中にキャラクターがいるという表現もすごく衝撃的でした。それまで私は主にコミック系のイラストばかり見ていたこともあって、リアルはリアル、写真は写真、イラストはイラスト、というように分かれているのが普通だと思っていたんです。その中間というか、それぞれの良さが共存しているような表現があることを初めて知って、すごく衝撃を受けました。

――制作するときのルーティーンを教えてください。

基本的には家で描いています。近くに人がいると少し気が散ってしまうので、人がいない場所のほうが集中できるんです。ただ、机があってバランスよく描ける環境であれば、どこでも描けるかなと思います。

道具もすごくシンプルで、iPadを使っています。机があれば、地べたに座って描くこともありますし、椅子に座って描くこともあります。落書きやラフなどは、カフェや電車の中で描くこともありますね。

――描いていて好きなモチーフはありますか。

最近よく描いているモチーフは、神様っぽいキャラクターですね。神様というモチーフだと、少し高級感を足したり、光の入れ方で神の威光みたいなものを表現できるので、そういう描き方をよくしています。

――神様っぽい表現にハマったきっかけはあるのでしょうか。

神々しさって、“世界観で殴りやすい”んですよね。いろいろ表現の武器がある中で、自分に合った一番殴りやすい武器を選んだ、という感覚に近いかです。

――神々しさを描くときに、大変だったことはありますか。

めちゃくちゃ大変だったということはあまりないんですが、私が描こうとしている神様は、完全な神というより、どちらかというと人間に近い存在なんです。半分人間のようなイメージですね。

『TAURUS』

例えば、今回展示している作品では、靴の部分に金属を使ったデザインを描いているんですが、金属って少し当たっただけでも傷が入りますよね。だから、あえて傷を入れて、この人もこの靴を履いて歩いているんだな、浮いている存在じゃなくて、ちゃんと地に足をつけて生きているんだな、という人間らしさを表現しています。そうすることで、神様でありながら、どこか人間らしさも感じられる存在になるようにしています。

――なるほど。リアルさと神様らしさが共存しているわけですね。

作品について

――卒業制作にこの作品を選んだ理由を教えてください。

“神々しさ”と“高級感”が自分の作品の強みだと考えたからです。そのどちらも表現するモチーフとして、今回は12星座を選びました。それぞれの星座を神様のキャラクターとして描くことにしたんです。12星座の中には牡牛座や乙女座のように性別がイメージされているものもあるので、キャラクターの男女比なども考えながら構成していきました。

展示会の様子
『ARIES』
『SCORPIO』
『GEMINI』
『TAURUS』

髪が長いキャラとソファーの後ろ側に座っているキャラは男性のキャラクターですが、手前に座っている小さい子と、等身大パネルに使っているキャラクターは女の子にしました。こうして男性だけ、女性だけにならないようにすることで、老若男女いろいろな方に受け入れてもらいやすい構成にしています。

――専門学校で学んだことは、この作品のどのようなところに活かされていますか。

たくさんありますが、その一つが“目”の表現です。瞳と白目の境目を少しぼかして、粘膜のような質感を出すことで、生々しさというか、人間らしさを表現しました。

ほかの部分はコミック的な描き方で、あまり写実的ではないんですが、目の部分だけ少し写実寄りの表現を入れています。そうすることで“ここを見てほしい”というポイントを作ったり、作品の中にアクセントを作っているんです。

――この絵の中で、特に見てほしいところを一つ挙げるとしたらどこになりますか。

顔ですね。一番見てほしいところですし、いろいろなパーツが集まっている場所でもあるので、まずは顔を見てほしいと思っています。

――こんなに背景にもこだわっているのに、顔なんですね。少し意外です。

顔を見て「こういう顔なんだ」って思ってもらって、そこからいろいろなところに視線が広がっていったらいいなと思っています。どうしても見てほしいところには、視線誘導を使っています。

――最初に顔を見て、そこから作品全体に視線が広がっていくイメージというわけですね!

将来の夢、メッセージ

――兎々茶さんの将来の夢はなんですか?

有名になりたいです。クリエイターやアーティストって、正解がない分、道に迷いやすい世界だと思うんです。だからこそ、自分の中に目標は必要だと感じています。大きくても遠くてもいいので、目指すものは持っていたほうがいいと私は考えています。

そんな私の目標は、「日本のイラストレーターといえば誰か」と聞かれたときに、1番じゃなくても2番目、3番目くらいには名前が挙がる存在になること。自分の世界観を表現し続けるイラストレーターでもいいですし、後進に教える立場のイラストレーターでもいい。そこはまだはっきりとは決まっていませんが、名前は知らなくても、イラストを知らない人でも、「どこかで一度は見たことがある」と思ってもらえるような絵を描きたいなと思っています。

――兎々茶さんにとって絵とは、どんな存在ですか。

よりどころですね。生きてきた時間の半分くらいは絵に関わっているので、正直、自分から絵を取ったらあまり何も残らないんじゃないかなって思うんです。だから、もう一人の自分みたいな存在かなと思います。

――これから絵を目指す人や、絵を描いている人にメッセージをお願いします。

これから絵で食べていこうという人も、趣味で続けていこうという人も、共通して“自分らしさ”は大事だと思います。クリエイターって正解がない世界なので、自分らしさがなくなってしまうと、そこで止まったり迷ったりしてしまうこともあると思うんです。だからこそ、自分らしさを大切にしていってほしいなと思います。

SNSなど

宣伝物

【コミックイラスト学科 HEP HALL展示】
3月25日(水)~3月27日(金)
11:00~20:00(最終日は17:00まで予定)

SNS

X : @x_j4o
Instagram : @to.to_cha

お仕事の依頼、ご相談は下記メールアドレスにお願いします。
tototocha20064@gmail.com

取材協力:大阪デザイナー・アカデミー

シェア

X X(Twitter) Facebook Facebook