知らないゲームを教えたい!(挨拶)
ゲームブロガーのラー油です!
キーワードと共に尖ったゲームを紹介するこのコーナー。
今回は一味変わった農場ゲームをご紹介。キーワードは「デンパ」だ!
ストアページ
https://store.steampowered.com/app/2747790/_
パブリッシャー: 株式会社テレビ東京コミュニケーションズ
機種:Steam
価格:980円
トロヤマイバッテリーズフライドが手掛ける農場シミュレーションアドベンチャー。
アンテナの木を育ててデンパを収穫し、それを使ってテレビを見て物語を進める内容です。
ジャンル名から単語から想像できる内容と大分違う…!?ゲーム部分は単純なので、物語を読み進めるのがメインの作り。
本作はテレビ東京で放送され、トロヤさんが講師を務めた『東京パソコンクラブ~プログラミング女子のゼロからゲーム作り~』から生まれたオリジナルゲーム。なので販売元もテレビ東京さん。
そういう経緯ですが、いかにも「企画モノ」な感じはまったくなし。雰囲気に浸れる少し不思議な短編ゲームに仕上がっています。
しゃべるテレビと過ごし、失われた記憶を取り戻す

主人公は記憶喪失の少年。
自分が誰なのか思い出せないまま、ぼんやりテレビを見ていると、とある少年が車にはねられ、行方不明になったというニュースが流れてくる。気になって見ているとテレビが途切れてしまう。

と、そこでいきなり立ちあがって喋りだすテレビ!
「しゃべれるよ スピーカーがついてるからね」
なるほど……なるほど?
フレンドリーなテレビで、倒れていた少年をベッドに寝かせたのもこのテレビ。少年はテレビが運営するアンテナ農場でお手伝いをすることに。仕事をしてテレビを見ることで、少年の記憶が少しずつ明らかになっていく……というストーリーになっています。
「デンパ」を集めて「アンテナ」を出荷

まずアンテナ農場とは?
アンテナの苗を植えてデンパを与えて成長させ、大きくなったら出荷するお仕事です。こうやってみんなの家にアンテナがやってくるんですね~!そんな風になっていたなんて知らなかったな……。

山の方が野生のデンパが多いからアンテナ農場として都合がいい、なんて説明も。
こういう独特な理屈の積み重ねで世界観に引き込む構成が巧みですね。

ゲーム部分は単純。
通貨である「アルミニウム」でアンテナの苗を買う。
パラボラアンテナで空気中のデンパを回収して苗に与える。
1日を終える。
数日経つとアンテナが育つので出荷する。
「アルミニウム」が貰える。
この繰り返しとなります。

アンテナの苗は様々な種類があり、成長速度や並べた時の相性、出荷額などが異なる作り。この広告のチープな雰囲気がなんだか懐かしい!

アンテナの栄養となるデンパは集めるのに時間が掛かり、装置のバッテリーが切れると、その日はそれ以上集められなくなります。アルミニウムを消費して道具を強化していけば作業効率アップ!
アルミニウムでアンテナの苗を沢山買って植えるか、アップグレードに使うか。ここが悩みどころ。

淡々としたゲームではありますが、まさに「アンテナの木」としか表現できないデザインを筆頭にビジュアルが素晴らしく、遊ぶ上での感触も大事にしている作り。
歩き回ってデンパをジリジリと集めていく感覚や、少しずつ成長していく木の表現、「出荷せず、完全成長する前に切り倒すとアルミニウムを大量に吐き出す木」を切り倒すと物凄い数のアルミニウム片が地面に落ち、それをザーーーッと一気に回収する気持ち良さなどなど。
遊んでいて達成感が感じられる細かい演出が多いので、黙々と遊んじゃう面白さがありますね。
あの人気番組も!主人公の感想を通して、懐かしさに想いを馳せる

アンテナの木を切り倒して出荷すると、木の内部に蓄えられたデンパが一時的に放出。それを受信することでテレビ番組を見れます。テレビ番組は少年の過去に関わる内容から、全然関係ないバラエティ番組まで様々。90年代の懐かしい人気番組を思わせる番組が多く、当時を知ってるとニヤニヤしちゃう。もう随分前に終わったんだよなぁと遠い目にもなってしまったり。
番組が直接表示されるのではなく、少年の感想越しに内容を想像するしかないのが味わい深い。
分かる人はそれだけで分かる。魚に詳しい高校生が決勝進出している番組……「TVチャンピオン」だ!これもテレビ東京ですねぇ!

番組のバリエーションはかなり多くて飽きさせず、ゆるい会話と単純作業の繰り返しで掘り下げる少年とテレビの友情はずっと見ていたくなる作り。内向的だけど素直な少年と、おしゃべりなテレビの掛け合いが実に素敵な空気感。
番組から少年の過去が断片的に明らかにシナリオ構成は、ハートフルかつ驚きがあって見事でした。
少し気になったのはトゥルーエンドへの分岐方法。
期限内にアンテナの木を規定以上収穫すると分岐で、スキップ機能やデータを引き継いでの2周目などは無し。
育成の選択肢が狭く、コツを掴めばそれの繰り返しになるゲームなのでやり直しはやや作業的。セーブした時点から1日ずつ遡ってロード出来るシステムが非常に親切ですが、スケジュール決めて栽培するゲームなので、やり直すとなると結構戻る場合も。考えられてはいるけど、引っかかる人は引っかかっちゃう点でしたね。

クリアまでは4~6時間ほど。
ブラウン管を思わせる少し歪んだ画角とセピアな色使い。遠い記憶の中で鳴り響いているようなBGM。誌的なセリフ回し。去り行く「テレビ番組」への郷愁を感じさせる要素が盛り沢山で、しかしそれだけではない構造が心にしみる1本でした。
子供の頃にテレビ番組が好きだった大人や、ちょっとフシギな友情モノが好きな人にオススメです!
ライター紹介

双葉ラー油
老舗ゲームブログ『絶対SIMPLE主義』を20年以上運営するブロガー。「知らないゲームを教えたい!」をスローガンに、大作からニッチな作品まで取り扱う。特撮関連の造詣も深い。謎のマスクを被っているが別にプロレスラーではない。