6月27日(土)、WAKASA & CO. KYOTO「わかさの舞台」にて「ようこそ絵本の音楽会へ」が開催されました!
一般的なコンサートや音楽会をイメージすると、「子どもたちがジッとしていられるか不安」という親御さんも多いですよね。でも、このイベントではずっと静かにしていなくても大丈夫。赤ちゃんから小学生のお子さんまで、親子で会話しながら楽しむことができるんです。
この日も、間近での生演奏や、オリジナル楽曲演奏をBGMにした絵本の読み聞かせに子どもたちは興味津々。来場したご家族が大満足のイベントの様子をお届けします。
時間帯を選びやすい3部制で開催
今回のコンサートは「①11:00〜12:00、②13:30〜14:30、③16:00〜17:00」の3部制で開催されました。チケット代金は「一般¥2,500、小人(小学生以下)¥1,000 ※3歳未満は膝上鑑賞無料」で、年齢制限はありません。0歳児からおじいちゃん・おばあちゃんまでご家族で来場しやすい設定です。
舞台には既に出演者用のピアノ、そして座椅子と絵本がスタンバイしています。これから生演奏や読み聞かせが行われると想像すると、わくわくしてきますね。
もちろん、子どもたちに人気のブルブルくんとアイアイちゃんも、舞台横でお客さんの来場をそっと見守っています。

開始30分前になって、子どもたちと親御さんたちが少しずつ来場してきました。
ただ、子どもたちは開始時刻まで退屈でジッとしていられませんよね。そんな時間も子どもたちが楽しんでもらえるよう、舞台にはさまざまな絵本が並びます。
「お母さん、これ知ってるー」「ほんまやねぇ」
手に取り、うれしそうに席に戻ってペラペラとページをめくる子どもたち。コンサート開始まで各々リラックスした時間が流れました。
わかさの舞台ならではの臨場感で、生演奏と絵本の読み聞かせに聴き入る
ヴァイオリニストとピアニストは、所定の位置へ。来場者にゆっくりと会釈をし、一呼吸置くと、何も話すことなく演奏をスタートしました。
冒頭の静けさの中で、ヴァイオリンとピアノの音だけが響き渡ります。演奏されたのはメンデルスゾーンの「春の歌」。舞台から観客までの距離が近い「わかさの舞台」ならではの臨場感に、来場者も突然始まった演奏にやや驚きながら、次第に惹き込まれている様子でした。

曲が終わり、舞台袖からもう一人の出演者が登場。あらためて全員での御礼とご挨拶に、来場者からも温かい拍手が起こります。
今回の出演者は、
・向かって左に、司会と読み聞かせを行う「中島呼春(なかじまこはる)」さん
・中央には、ヴァイオリンを演奏する「沖本みなみ(おきもとみなみ)」さん
・右が、ピアノ演奏の「橋本由羽(はしもとゆうは)」さん
本イベントの主役でもある子どもたちへ、ヴァイオリンとピアノの紹介をするみなさん。華やかにドレスアップされ「生演奏のコンサート」という特別感をより演出してくれます。子どもたちへの語り口が優しく、親御さんたちも安心して鑑賞できていたようです。

続いてもう一曲。演奏されたのは「ヤンキードゥードゥル」。
曲名には聞きなじみのなさそうな来場者の方々でしたが、しばらく聴いていると「なんか知ってる気がする!」という雰囲気に。実はこちら、日本では「アルプス一万尺」で有名な曲。軽快なヴァイオリンのメロディにピアノが呼応して、そのハーモニーが会場を一気に明るくしていきました。

さあ、今度はお待ちかねの絵本のパートです。
「にっこりに〜(作:にへいたもつ 絵:わたなべさとこ)」は、かわいい動物や子どもが笑顔になる絵本。中島さんの繊細な読み聞かせに合わせて、オリジナルで制作された楽曲を沖本さんと橋本さんが奏でます。
「にっこりに〜」という語りの度、来場した親子は顔を見合わせてニッコリ。みんなが自然と笑顔になる演出に心が温まりました。

続いては、川辺と月のコントラストが美しいイラストを背景に、「ムーンリバー(作曲:ヘンリー・マンシーニ)」の演奏へ。
この曲は、オードリー・ヘプバーン主演の名作映画『ティファニーで朝食を』の劇中で使用されたスタンダード・ナンバー。月の明かりが水面に映し出される様子を主人公の複雑な心情に重ねた、幻想的でロマンティックな名曲です。
絵本の温かな雰囲気から、一転してロマンティックで優雅な雰囲気へ。抑揚たっぷりに放たれるお二人の音色に、子どもだけでなく大人もしばしうっとりするようなひとときでした。
音楽と絵本で体を動かす、子どもたちが躍動するパートへ

心地良い感覚と同時に、飽きずに楽しめる展開が魅力の本イベント。緩急のある構成は、子どもたちを対象にしたイベントを数多く開催しているわかさ生活ならではの特徴かもしれません。
次は、みんなが一度は歌ったことのある曲で、子どもたちに体を動かしてもらいます。
アメリカ民謡「幸せなら手をたたこう(作詞:木村利人)」のメロディーとリズムに乗って、元気の有り余った子どもたちが躍動します。中島さんの歌声に合わせて、手を叩いたり、足を鳴らしたり。子どもたちは楽しそう。
ジッと鑑賞しているのが難しくなってきた子どもたちがチラホラ見られてきたところだったので、そんな子どもたちのエネルギーを発散できるパートでした。

次は少し落ち着いて、親子の愛情が溢れる絵本の読み聞かせパート。
「かわいいかわいいだーいすき(作:北川チハル 絵:chico)」は、お母さんたちの声から生まれた絵本。絵本の中の言葉を読むだけで、子どもたちへ愛を語りかけられる一冊です。
読み聞かせ中は、テンポに合わせた楽曲のおかげで子どもたちは物語に釘付けに。来場されたご家族全員、最後にギューっとお互いにハグをして、とても優しい気持ちになれました。

打って変わって、映像を使いながら音楽に合わせて遊ぶパート!
子どもたちが、椅子もしくはお母さん・お父さんの膝の上に座りながら、車のハンドルを握っているような格好に。映像に合わせて進んだり止まったりして、乗り物に興味がある年代の子どもたちは夢中です。
このパートの頃には、最初は恥ずかしがってお母さんたちに甘えていた子も目がキラキラ。出演者のお姉さんたちの説明に沿って、前のめりになって遊んでいました◎
穏やかに読み上げる中島さんの声と沖本さんと橋本さんの音色が、来場者を物語に没入させてくれます。
子どもだけでなく、大人も絵本の世界に引き込まれていく瞬間でした。

コンサートの最後は、元気良く歌って動いてフィニッシュしましょう!
「さんぽ(作詞:中川李枝子、作曲:久石譲)」は「あるこう、あるこう」のフレーズから始まる、スタジオジブリ『となりのトトロ』の主題歌。知らない子どもはいない名曲ですね。
出演者の演奏と歌に合わせて、子どもたちも歌って、歩きます。「わかさの舞台」はフロアが絨毯でフカフカなので、安心して動けますね。

席から勢いよく立った子どもたちは、並べられた椅子の周りをグルグル!
大きな声で「さんぽ」を歌いながら、とびっきりの笑顔で歩き回っていました。
これにてプログラムはすべて終了。普段は家事や育児で忙しくされている親御さんたちも、生演奏に癒され、子どもたちの笑顔に満足していました。「また連れて来たい」なんてうれしい声も多数挙がっていたのが印象的です。

3部制と長丁場にもかかわらず、笑顔を絶やさず素敵な時間を提供してくれた出演者のみなさん。
沖本さん・橋本さんの優美な生演奏は音楽のすばらしさを、中島さんの温かい絵本の読み聞かせは豊かな情緒を子どもたちへ伝えてくれたはずです。
コンサート終了後も、来場者との記念撮影に丁寧に応じられていました。出演者さんと裏方スタッフさんの熱い想いが組み合わさって、「ようこそ絵本の音楽会へ」というイベントは進化し続けています。
取材・執筆・撮影:ノクオ
主催者であるオトギボックス代表・梶本さんの想い
「ようこそ絵本の音楽会へ」は、株式会社オトギボックスが心を込めて制作しているイベントです。オトギボックス代表の梶本大雅さんに、同イベントに対する想いをうかがいました。
——「ようこそ絵本の音楽会へ」を企画したきっかけは何ですか?
梶本:原点は、音楽大学の学生だった頃にさかのぼります。
授業をきっかけに、改めて絵本の魅力に引き込まれ、地元の友人たちと商店街の一角で、音楽をつけた絵本の読み聞かせ会を開いたんです。集まってくださったのは、わずか6人ほどの子どもたちと親御さんでした。
ところが、その中のひとりのお母さまが、読み聞かせを聴きながら大粒の涙を流されて。そのお姿を見て、「絵本と音楽には、親子の心を動かす力がある」と確信しました。

その後、音大の仲間とオトギボックスを立ち上げて活動を続けるなかで、「子どもが泣いたら会場の外へ」という一般的なコンサートのあり方に疑問を持つようになりました。
小さなお子さんがいるご家庭では、外出そのものをあきらめてしまう親御さんが少なくありません。だからこそ、0歳から入場できて、子どもが泣いても、声を出しても大丈夫な音楽会をつくろう——それが「ようこそ絵本の音楽会へ」の始まりです。
アンケートで「うちの子が泣いても、周りの方が嫌な顔ひとつせず見守ってくださった」というお声をいただくたびに、この場の意味をあらためて実感しています。
——わかさの舞台での開催はいかがですか?
梶本:わかさの舞台では、オープンして間もない頃から「ようこそ絵本の音楽会へ」を季節ごとに開催させていただいています。四条烏丸という京都の中心にあって小さなお子さん連れでも訪れやすいこと、そしてステージと客席の距離がとても近いことが、この公演にとって何よりの魅力です。楽器の生の音や演奏者の表情を間近に感じていただけますし、子どもたちの「あっ!」という声や笑顔が舞台からもよく見えるので、私たち演者にとっても大きな喜びになっています。
回を重ねるごとに「また来たよ」と声をかけてくださる親子が増え、この場所に少しずつ根付いてきた手応えを感じています。皆さまの健康と笑顔を大切にされているわかさ生活の皆さまとご一緒に、親子の思い出が生まれる場をつくれることを、とてもうれしく思っています。


——最後に、今後のビジョンを教えてください。
梶本:子どもの芸術体験の機会には、住んでいる地域や家庭環境による格差があるのが現状です。身近にコンサートがない地域は、まだまだたくさんあります。これからも全国各地へ公演を届けて、どこで生まれ育った子どもでも絵本と音楽に出会える環境をつくっていきたいと考えています。
また近年は、障がいのあるお子さんやご家族から「参加しても大丈夫ですか」というお問い合わせをいただくことが増えました。本来、そうした確認が必要のない社会であるべきだと思っています。年齢や障がいの有無にかかわらず、誰もが安心して楽しめるユニバーサルなコンサートづくりにも、力を入れていくつもりです。

梶本 大我
株式会社オトギボックス 代表取締役
1998年 9月21日生 兵庫県西宮市出身 京都府在住
2021年大阪音楽大学 音楽学部 音楽学科 ミュージックコミュニケーション専攻を卒業
卒業時に音楽・社会活動賞を授与。 在学時にオトギボックスという団体を立ち上げ、親子向けコンサート 「ようこそ絵本の音楽会へ」の制作を始める。 コンサートの制作やアーティストのマネジメントを通して音楽家と地域の場づくりを手がけている。
2024年三井みらいチャレンジャーズ カルチャー創造部門 受賞