みなさんは視覚障害をお持ちの方々の暮らしや困りごとについてどれくらいご存じでしょうか。日常ではあまり意識することがなく、くわしくわからない方も多いかもしれません。
去る7/29(水)、WAKASA & CO. KYOTO2階「わかさの舞台」にて、わかさ生活の従業員へ向けて視覚障害に関する研修が行われました。ブルーベリーアイなどサプリメントだけでなく、今年オープンしたメノコト薬店での医薬品販売でも目の健康を支えているわかさ生活。視覚障害者に対する支援も長年続けてきた企業だからこその研修と言えます。
今回の研修で視覚障害や盲導犬の現状を知り、目が見えない状況を擬似体験したみなさん。彼らが何を感じ、どう行動しようと思えるものだったか、2部制で開催された研修の様子をお伝えします。
視覚障害について知ろう

第1部は、一般的な視覚障害の知識や現状について学ぶ研修です。
「京都ライトハウス」から、山本たろさんと千葉貴彦さんにお越しいただきました。京都ライトハウスは1961年に鳥居篤治郎氏により創立され、「視覚障害者のための」総合福祉施設として京都を中心に視覚障害者の方々に寄り添い続けてきた社会福祉法人です。
ブルーベリーアイなど、目の健康に関わる商品を扱っているわかさ生活。視覚障害について、やはり従業員のみなさんは高い関心を寄せています。

「わかさの舞台」のスクリーンに参考となる動画や資料を映し出しながら、山本さんより基本知識・現状が語られます。視覚障害を持っている方が日本にどれくらいいるのか、そしてどんな生活を送っているのか、など。健常者が普段あまり意識しておらず、知らなかった事実がたくさんあります。
この日参加した若手従業員たちは、スクリーンに集中。山本さんのお話に真剣に耳を傾けていました。

研修参加者には、京都ライトハウスと視覚障害に関して紹介されたリーフレット2冊と、「見えない方」・「見えにくい方」の視覚を体験できる簡易メガネが配られました。
リーフレットでは、京都ライトハウスの成り立ちや支援、視覚障害の種類や手助けの方法を知ることができます。これで研修の場で学んだことを帰宅後に確認できますね。

早速、簡易メガネをかけて「見えにくい」視覚も擬似体験。
実は「見えにくい」にも、人それぞれ違ってさまざまなタイプがあります。
- 全体的にぼやけて見える
- 周辺が見えない
- 中心部分の視野が欠けている 等々
配布されたメガネは複数の種類があって、それぞれが違うタイプの「見えにくさ」を知りました。視覚障害者が普段どのような苦労をされているか、想像するきっかけになったことでしょう。
アイマスク着用による「手引き」を体験
さて、次は実際にアイマスクを使って視覚障害を理解しましょう。二人一組になり、視覚障害者の役と手助けする役を交互に演じてみて、「どうお手伝いするのが望ましいか」を学びます。

視覚障害者の方が白杖を持って外出されているのを見かけることがありますよね。本来当然ではありますが、みなさん不安を抱えていることも多く、お手伝いは彼らの安心・安全につながる大事な行動です。
特に、声をかけて誘導する行動は、「手引き」という用語で呼ばれています。その名の通り、「手を引く」ような形式です。より具体的には、視覚障害のある方が移動されるときなどに「何かお手伝いしましょうか?」と声かけして、肘のあたりを持ってもらい半歩前で先導するという形です。

「手引き」の概要を山本さんと千葉さんに教えてもらい、いよいよ参加者の実践です。2人ペアになったみなさんにアイマスクが配られ、パートナーを手引きします。
アイマスク着用者にパートナーが声をかけ、肘のあたりを持ってもらえればスタート。知っている空間でさえ、視覚を失うと一気に不安が押し寄せてきます。パートナーが前方に何があるかなどを随時教えて、注意しながら進んでいきます。

階段を上り下りするときに大切なのは、手すりを持ってもらうこと。「目が見えないと、こういうことがわかれば安心なんだ」とアイマスクをしながら実感されていました。
たとえば、アイマスクをしていると「あと何段あるのか」「向きはどっちなのか」がわかりません。手引きしてくれるパートナーの言葉を信用して移動するのですが、「手引き」ならではの伝え方の上手さと移動のスムーズさは比例しているように見られました。

せっかくなので上の階にも移動してみましょう。違う部屋に入る際に小さい段差があったり、エレベーターに乗るタイミングが限られていたり。見えているときは意識していなかったことに気付かされます。
「なんか変な音が聞こえるけど、これは何の音??」
「匂いが変わった気がする!」
目が見えない状態だと耳や鼻の感覚が研ぎ澄まされる、といった感想も聞こえてきました。障害を持っている方々が、普段からいかに視覚以外の五感で得られる情報を頼りにされているかを実感できます。

スタート地点に戻り、椅子に座らせてあげられれば終了。今度はパートナーにアイマスクを渡して、手引き「する側」「される側」を交代します。
手引きを「される側」だった直後に「する側」に回っているので、交代後は誘導が的確かつスムーズです。「どれだけ相手の立場になったか」が見て取れました。
もっとも、WAKASA & CO. KYOTOの建物の間取りを目で見て知っている従業員たちでさえ、「今どういう状況なのか」に不安を抱えて移動していたのが印象的です。視覚障害者の方々は、常に知らない場所で歩かれています。声をかける勇気を持った方も多かったのではないでしょうか。
盲導犬を理解しよう
第2部は、盲導犬についての理解を深める研修です。
今回は公益財団法人「関西盲導犬協会」から乾綾乃さんにお越しいただき、盲導犬についてうかがいました。訓練犬も一緒に連れてきてくださって、その様子も間近で見られる貴重な体験になりました。

はじめに、乾さんが前提とされたのは「団体によって少し解釈が違う部分もある」ということ。その前提の上で、盲導犬の目的や現状のユーザー数などについてご説明。乾さんの隣では訓練犬が静かに座っていて、とてもお利口さんでしたよ◎
盲導犬は、「白杖」や「手引き」とは別の、視覚障害者が外出時に安全に移動するための方法の一つ。人を誘導できるよう特別な訓練を受けた犬を無料貸与してもらえるそうですが、希望者に十分に行き渡っていないのが現実です。

また、盲導犬を育成するにはかなりの費用が必要になるとのこと。年月をかけて現在では育成システムが構築されてきているとはいえ、視覚障害者に安定的に供給するにはさまざまな課題を抱えています。
初耳のことも多く、真剣に話を聞いていた参加者のみなさん。終盤の質疑応答では、
- 貸与までになぜ時間がかかるのか
- ユーザーが拡大しない理由は何なのか
などの質問も出て、乾さんが丁寧に回答してくださいました。
貸与を希望しても、新規の方は2、3年待つことも一般的です。これは、ただでさえ育成できる数は限られているのに、既に貸与済みの方の盲導犬の代替わりが新規より優先されることも影響しているのだそう。
また、現状では盲導犬ユーザーはすべての視覚障害者の0.3%しかいません。原因は「需要と供給のアンバランス」以外に、貸与される側にも貸与時に必要な4週間の共同訓練や、住環境などもその一因であるとのことでした。

訓練犬の誘導の様子も目の前で見せてもらいました。舞台上で待っていた訓練犬に移動することを伝えハーネスを持つと、人の左横に付いて歩いてくれます。
デモンストレーションということで、参加者の席をぐるりと一周。ちゃんと自分の役割を果たす訓練犬に、みなさん目が釘付けでした。
盲導犬が誘導してくれるときの役割は、大きく分けて3つと言われています。
- 障害物を避けること
- 曲がり角や交差点で止まること
- 階段などの段差に上がって止まること
3の理由は、持っているハーネスの角度が変われば視覚障害者も階段や段差と認識できるからなんですよ。

1部・2部を通して、視覚障害者を見かけたときは「手助けが必要か」声をかけることが推奨されていました。
ただ意外だったのは、盲導犬に対しては「好意的に無視してあげましょう」ということ。人懐こい盲導犬も多いので、許可なく構ってしまうと盲導犬としての本来の役割を全うできなくなってしまうそうなんです。犬好きの方こそ要注意ですね。
今回の研修は、視覚障害者に寄り添うわかさ生活の社員の方々にとって非常に有意義なものになりました。ハンディキャップを持つ方が何に困っているか、困りごとに対して盲導犬はどうサポートしているのか。今まではあまり意識していなかったけれど、これを機に他人事ではなく「自分事」として認識できたはずです。
今後は、きっとみなさん勇気を少し出して、視覚障害者の方々に温かい声かけをしていってくれることでしょう。
取材・執筆・撮影:ノクオ
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