5月4日、わかさ生活の京都本社が入ったビル2階「わかさの舞台」にて、「あそびがまなびのプログラミング体験<VEX 123・VEX GO体験会>」が開催されました。
STEM教材のVEXを使って、未就学児から小学校高学年の子どもたちまで幅広く参加できた今回の体験会。なんと世界大会出場チームを輩出するスクールの講師をお招きして、実際に子どもたちにコーチングがなされました。
お友達と競い合うことに熱中する子や、自分の世界に入って黙々と制作する子、楽しみ方は自由自在。子どもたちの主体性を尊重しつつ「あそび、まなんだ」様子をお伝えします。

日々イベントが開催される「わかさの舞台」で
複合型体験施設「WAKASA & CO. KYOTO」2階にある「わかさの舞台」は、檜舞台と最先端のLEDモニターが備わった空間です。こちらでは生演奏のコンサートや落語会、伝統工芸のワークショップにマジックショーまで、日々さまざまなイベントが開催されています。

今回うかがったのは、近年注目を集めるプログラミングをVEXロボットであそびながら体験するイベント。
VEXとは、世界60カ国の子どもや教育者に愛されるSTEM(Science、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字を取った用語)教材のひとつです。専用パーツを使ってロボットをクリエイトするだけではなく、「考え → 行動し → 検証する」という問題解決型のサイクルで主体性や非認知能力を育むことができます。

小学校高学年くらいまでの子どもたちを対象に、入場料一律500円(3歳未満は無料)・1時間ずつの3部制でイベントが実施されました。教材の推奨年齢ごとにコーナーが分けられ、近くに子どもたちを見守れる席を用意。親御さんたちも安心して付き添っていらっしゃいました。
なんと世界大会出場チームの講師がコーチング
VEXをあまり知らない子はもちろん既に少し知っている子も、どうやって遊んだらいいのか迷ってしまうこともあります。そこで今回のイベントでは、わかさ生活のスタッフの方々以外にも強力な助っ人をお招きしていました。

米国発祥のSTEM教材「VEXロボティクス」を専門的に学ぶことのできる日本初の学校、米国発祥のSTEM教材「VEXロボティクス」を専門的に学ぶことのできる日本初の学校、「サンエイロボティクスアカデミー」を2018年に開校し、現在は同校の後進である「DOHSCHOOL」と「FIVE by DOHSCHOOL」の2つのSTEAM教育スクールを運営されている市川晋也さんが来場。
市川さんは、VEXを通じてさまざまな年代の子どもたちに学ぶことの楽しさを伝えています。なんとこの日は、セントルイスで実施された世界大会のため現地に13連泊した直後に駆けつけられたそう。
「世界大会も行われる競技会と今回のような体験会、両者に優劣はありません。F1レースのようにチームの一員となって他者と競い合い刺激を得ることも、一人で考え課題解決に挑み成長することも、どちらも子どもの成長にとって同じくらい大切なことです」
そして、VEX体験における大人の役割は、答えを教える「ティーチング」ではなく、子どもたちの気付きを引き出す「コーチング」にあるのだとか。
あそびながらまなべる教育に情熱を捧げる市川さん。時差ボケもまだ残る中、参加してくれた子どもたちに優しい眼差しを向けつつコーチングが始まりました。
年齢に合わせたVEXのゲームであそぼう
各部の開始時刻が迫ると、楽しみにしていた親子さんが続々と集まってくれました。子どもたちの年齢や希望を聞いて各コーナーに振り分けが終わると、いよいよイベント開始です。

参加者全体に対して挨拶をした後、市川さんは事前予約があった「小学校中学年〜高学年向け」のコーナーへ。「3歳以上向け」や「6歳以上向け」のコーナーでは、他のスタッフさんたちが付き添って遊び方を教えてくれます。
「VEX 123」を使ったコーナー
3歳以上(未就学児)と6歳以上向けのコーナーで使われるのは、「VEX 123」というロボットです。
VEX 123の特徴は、パソコンやタブレットがなくてもプログラミングが可能なこと。123コーダーと呼ばれるパネルに、いろいろな機能がある専用プログラミングカードを差し込みます。それから動作ボタンを押せば、丸い形をした123ロボットを動かすことができるという仕組みです。

1つ目のコーナーは、まだ幼い子どもたち向けに「お魚釣り」に見立てたゲームです。
既に釣り用のVEXパーツが付けられた123ロボットを操作して、フィールドに置かれたお魚パネルを釣るというルール。お魚ごとにそれぞれ違う点数が振られているので、釣ったお魚の合計得点を競います。

操作方法は直接ロボットのボタンを押すか、コーダーにプログラムが付与されたカードを差し込んでボタンを押すか。子どもたちの理解度に応じてどちらでも操作可能なのがうれしいポイント。
最初はどういう仕組みかわからなかった子たちも、実際に「触って動かす」を繰り返していくうちに感覚的に理解が深まっていきます。小さな成功が次の小さな興味を生み、しばらくすると夢中になってロボットを動かしていました。

2つ目のコーナーはもう少し工夫する余白を広げて、制作したロボットでゴミをフィールドの外に出すという「お掃除」ゲーム。
ボール状にした色とりどりの綿をゴミに見立て、「どういうパーツ」を付けたロボットを「どのように操作」すればゴミをたくさん外に出せるか知恵を絞ります。このコーナーでは123ロボットに事前にパーツは付けられていないので、「どういう形のロボットにすればゴミを掻き出しやすいか」考えるところからスタートです。

近くに付いたスタッフさんは答えを教えるわけではありません。用意された中から適したパーツを子どもたち自身が選び、付けて動きを確認してはまた付け変える、を繰り返します。そうすることで、自分のペースで一歩ずつ成功を積み重ねていくんです。
一生懸命考えるその姿を見て、側で見守っていらっしゃった親御さんからうれしい言葉も。
「他のプログラミングのスクールに行ったこともあるけれど、今回のVEXを使ったまなびのほうが息子に合っているかも。正解は一つではないし、講師の方が答えを押し付けることもないので、本人が自由に解決方法を見つけ出せるという魅力がありますね」
最初はうまくいかなかったけれど、最後にはゴミを掻き出しやすいパーツの付け方・動かし方を自分なりに見つけた男の子。問題解決できた自信と成長は、最後に見せてくれた彼の笑顔が証明していました。

3つ目のコーナーは、もう少し高度なプログラミングをして123ロボットを動かしてみようというゲームを用意。
駅に見立てた目的地へ人形を運べるように、場合分けをしたプログラミングが必要です。「お掃除」ゲームをクリアした子どもたちが、次のステップとして触れてみます。
ロボットの色を感知するセンサーを利用して、ルート通りに移動するようプログラム。うまく操作できた様子を楽しそうに眺めていました◎
「VEX GO」を使ったコーナー

最後は、小学校中学年から高学年の子どもたち向けに「VEX GO」を使った体験ができるコーナー。
VEX GOは、より積極的にコーディングとエンジニアリングを実践できるSTEM教材です。色分けされたさまざまなパーツから必要なものを選び、ロボットを制作。各種デバイスの専用ソフト内で必要な動作をコーディングしていきます。

おおまかな手順の案内と作業経験や学年・名前を聞くにとどめて、いきなり指示することはしない市川さん。
「変な言い方ですが、大人が不要になるまで見守るのが僕らの仕事なんですよ」
大切にしているのは、子どもたちの主体性を尊重すること。ただし、困ったときに子どもたちが発するサインは見逃さないよう、付かず離れず子どもたちを優しく見守っておられました。
目の前のたくさんの専用パーツと組み立て手順が表示されたタブレットとを見比べながら、子どもたちはロボット制作と格闘。要領良くどんどん組み立てていく子も、悩んで手が止まってしまう子も、どちらも没頭していてとても楽しそうです◎

手順がわからず手が止まってしまったときの行動タイプもそれぞれで、積極的に質問する子や目で訴えてくる子がいます。ついつい側で見ている親御さんが指示を出してしまいそうな場面もありましたが、グッと我慢して一緒に考えていらっしゃる様子も見られました。
ヘルプを感じたときには、市川さんもすかさず寄り添います。まずは何で困っているのか聞き、ヒントを出したりしながらコーチング。「そうか」と気付いて自走し始めるときの子どもたちのキラキラした眼差しが印象的です。

しばらく作業する時間が流れ、ついに操作する自分のVEXロボットが完成。さっきまでバラバラだったパーツがちゃんと組み立てられて、今にも走り出しそうな見た目になりました。
ここからはプログラミングで動かすかコントローラーで動かすか自由に選んで、舞台上のコースで操作します。

今回の課題はロボットを制作することだけではなく、それを思い通りに操作するところまでが目的。ようやく動かすスタートラインに立った子どもたちのやる気は、まだまだ満ち溢れています。
準備されたコースに早速ロボットを置き、設定したゴール地点まで動くように手元のタブレットにプログラミング。画面とにらめっこしながら、試行錯誤を繰り返しゴール地点を目指していました。

もう少し簡易的な地面に貼ったテープに沿って動かすコースのほうも簡単ではありません。でも、子どもたちの目はそんなときこそ輝きを増すんですね◎
まっすぐ進むのは比較的簡単ですが、斜めに動かすルートは角度を数学的に考えなければなりません。正三角形の内角は60度なので、30度だけ角度を変えるようにプログラミング。みんなで競い合って、すっかりVEXを満喫しきっていました。
VEXを使ったイベントと「わかさの舞台」の今後
参加した子どもたちからも、引率された親御さんたちからも、多くの笑顔が引き出された今回のイベント。
「同様のイベントが開催されるなら、また参加したい」と感想を残してくれる方もいたので、満足度は高かったのではないでしょうか。「わかさの舞台」で開催される他のイベントのフライヤーを持って帰られる方もいらっしゃいました。

「VEXは子どもたちの知育はもちろんですが、逆に高齢者の方々の脳トレなどにも効果的な道具です。その意味でVEXは、世代を超えて老若男女が触れ合うきっかけを作る可能性を秘めているんですよ」
このように語ってくれたのは、イベント運営を統括されているわかさ生活の國松和弘さん。以前からわかさ生活はVEXの可能性に着目しVEX123の特別版を販売していて、それが本イベント開催のきっかけにもなりました。
「今回のVEXイベントでは、参加者のみなさんに喜んでいただけました。子どもから大人まで一緒に参加できるイベントとしてまた開催できればと思います」
最後に、今後の「わかさの舞台」の運営について國松さんにうかがいました。
「わかさ生活のお客さまをお迎えできる場としてはもちろん、ここ京都において伝統芸能や文化の発信地となれるよう、また様々なジャンルの公演を通じて多様なコミュニティが、このわかさの舞台に集まり、繋がり、広がって欲しいという想いで誕生し、そうなる、と確信をもって日々取り組んでいます」
わかさ生活とは一見関係ないようにも見えるイベントも、実はわかさ生活に深く関係し、地域を盛り上げるものばかり。「京都」の人・団体の発信や「眼の健康」に効果的な取り組み、「目の不自由な人」でも楽しめる音に焦点を当てたイベント、「高齢者」まで幅広く参加できるイベントなどもあります。
さまざまなジャンルの挑戦を優しく後押ししてくれる「わかさの舞台」、今後のイベントにも大注目です。
取材・撮影:ノクオ