庭って、なんだかワクワクしますよね。木々や石という自然の素材を使い、作る人の経験や知恵でひとつの庭ができている。いろんな庭を一気に眺めてみたいなと思っている人に朗報です。坪庭展というものがあるのです。
調べてみると、坪庭展のルーツはかなり古く、江戸時代には自らが育てた植物や盆栽を展示して美しさを競い合う「花くらべ」というものがあったそうです。そして、明治時代の博覧会から昭和のデパート物産展までさまざまなシチュエーションで庭師の技術を広く周知するために、坪庭展が点々と開催されてきました。
そして、令和の今。
緑の価値が高まる中で、毎年開催する坪庭展が増えているようです。これはもう現地に行くしかない!ということで、2026年の春は愛知県刈谷市で開催された『よさみガーデンフェスタ』と静岡県静岡市で開催された『術-Jutsu-』に突撃しました。この記事は、よさみガーデンフェスタ2026のレポートです。
まずは高見さんと
やってまいりました!よさみガーデンフェスタ2026!
JR刈谷駅から車で10分ほどの場所にあるフローラルガーデンよさみが会場です。
えっと、ここで待っていたら庭師の高見さんが来るはずなんだけれども。

やぁ、浦田くん、こんにちは。そしてお久しぶり。
その節は、本邦初かもしれない庭師さんの映画『今の庭、庭師の今』を取材させていただき、ありがとうございました。
早速ですが、ここはどのような空間なのでしょうか? 坪庭は見あたりませんが。
フローラルガーデンよさみは広いですからね。ここは常設されている『読書の森』で、敷地内の中でも高木が多いフリースペースです。本棚とベンチを作って、風が吹いたら白い布がたなびいて。良い感じでしょう?

吹き抜ける風が爽やか。そして、風の様子が布をとおして見えるのが心地よいです。
こういうことを、もっとやっていきたいんだよね。
こういうこと!?!? 坪庭展ではなく?
あ、ごめんごめん。ちょっと唐突過ぎましたね。
公園って庭師が入り込むことで、もっともっと市民のみなさんが楽しめる場所になると思うんです。浦田くん、刈谷市と聞いて何を魅力に感じますか?
(ヤバい!そこは事前学習してなかった!)
あー、えっと、あの…、人! そうそう、高見さんのようなイケてる庭の人です!(フッ、我ながらナイスフォローだ、命拾いしたぜ)
うまいこと逃げましたね(笑)。
私は生まれも育ちも刈谷なので遠慮なく言えますが、うちの市にわざわざ市外から来てまで喜んでもらえる観光スポットはありません。例外は刈谷ハイウェイオアシスですが、あれは高速道路の中なので。
となると、「何か目玉を」と地方行政はなりがちです。でも、刈谷市は取ってつけたような対策よりも、公園を大切にする道を選んだのです。
このフローラルガーデンよさみは、市民の方々にとって魅力的な場所にしようと特に力を入れている公園です。
意外!
こんな言い方は問題かもしれませんが、役所の人たちって淡々と仕事をこなしていて、挑戦よりも安定というイメージ。公園なんて特にその象徴のような場所では?
定期メンテナンスだけやって、あとは市民から文句が来なければ良いみたいな印象です。

言いたいことは分かりますよ。以前はどうだったかは分からないけれども、とにかく今、刈谷市の緑に関する役所の方々は素敵なんです。アイデアを持っていくと、じっくりと聞いてくれる。しかも、「役所の人たちってこんなにも目をキラキラさせて話をするの?」というくらいです。
この読書の森も、その活動が実った結果でしょうか?
役所の方々以外にも、いろいろ大人が絡んでいるのでざっくりとまとめますが、「がんばった結果」です(笑)。この流れがある上で、『よさみガーデンフェスタ』の催しのひとつ『みかわで坪庭展』が昨年から始まっています。
なるほど。坪庭展はフェスタの一部というわけですね。
高見さん主導で開催になったのですか?
導線や構想の根っこは確かに私ですし、行政が絡むものですから代表者は必要です。でも、近隣の若い庭師たちが自発的に動いてくれた結果、今日、浦田くんが目にする形に仕上がっているので、メンバーみんなで作り上げたイベントですね。

『みかわで坪庭展』の特徴は何でしょうか?
まず、よさみガーデンフェスタが大きなイベントなので、たくさんの人がやってきます。コンサートに来る人もいれば、物販に来る人もいるなど、属性はさまざま。コンサートに来た人が植木を買って持ち帰るなど、それぞれのファンが別のコンテンツも楽しめるように設計されています。
また、先ほど「市が本気で取り組んでいる」と話しましたが、市民に愛される公園に育っているので、イベントがない週末でもかなりの人が訪れるという土台もあります。刈谷市内ではトップクラスの集客力を持つ公園であり、イベントです。
来場者数は大切ですよね。数字で測れないものもあるけど、やっぱり人が多いってそれだけで元気になりますもの。
そうですね。見てくれる人が多いとみんな燃えますから。あと、前回の昨年は一坪の面積の中で「見せる庭(魅せる庭)」を作るというクラシカルなルールだったのですが、今回は「物販を兼ねた店舗と庭」というスタイルにしています。
見るのも良いですが、物販が絡むと楽しそうですね! それでは行ってきます。
ん?早速ですが、あそこ、おもしろそうだぞ。
庭 鴻ヶ巣 長谷武則さんの坪庭店舗
物販店舗というだけあって、何か売っていますね。
なになに?「天然石の一輪挿し、どれでも一個¥2,000」「普段なら捨てているものの中にも美しい価値がある」ということが書かれていますね。
センス良い!早速、お話を聞いてみましょう。誰かいませんか〜。

このブースを担当している庭 鴻ヶ巣(にわ こうがす)の長谷(ながや)武則です。浦田くん、遠路はるばるありがとうございます。高見さんから来られると聞いてお待ちしていました。
な、なんかやさしいし、そして、イケメン!
庭の人ってもっとごっついイメージでした。
こんにちは〜
おぉ、あなたはどなた?
今回の庭づくりを手伝ってくれた、ねぎくんです。

ねぎ…くん?
木村晃大という名前なのですが、あだ名が「ねぎ」なんですよ。長谷さんとは日頃から仕事を一緒にすることが多くて、今回の出展もおもしろそうだから「手伝うよ〜」ということでここにいます。
ねぎくん(木村さん)ってこんな人
頼もしいパートナーですね。
それでは長谷さん、今回のお庭の解説をお願いします。
前回と同じく今回も「一坪だよ」と条件を案内されていたのですが、なんだかんだと面積を広げても良いということになって、最終的にはこんな感じで物販ブースを組んでみました。
販売しているのは植木と一輪挿しですね。一輪挿しは、本来は捨てるはずだった端材なんです。万成石や、このあたりで取れる幡豆石(はずいし)を使い、真ん中に穴を開けて2,000円で販売しています。

すごくきれいですし、存在感が自然で迫力もあり、やさしさもありますね。
万成石はうっすらとしたピンク色が入っているので上品ですよね。著名人の方のお宅で建築に使われることもある石です。
思ったよりも石の花器の反応は良いんですよ。石なのに高いと言う人もいますが、お店でちゃんとしたものを買うと1万円以上することをご存知の方は安いと言ってくれます。
いや、安いですよ。ちゃんと見立てて良い場所に置いたらすごく空間が美しくなりそう。
ところで、あれは何でしょう?

名付けて『鴻ヶ巣オリジナルレイズドベッド&ベンチ』です。
見た目と名前のとおり、石積みから鉄筋の骨組みになり、打ちっぱなしコンクリートに変化していく花壇とベンチ。
私が得意とする石積みは「伝統」を、コンクリートは「現代」をテーマにしていて、時の流れがこの中に凝縮されています。
どのようにしてこのようなアイデアが生まれてくるのですか?
昨年は「和」をテーマに出展しました。灯籠や松を使って、いかに現代に合うものにできるかという実験ですね。今年も当初は和をテーマにしようと考えた時もあったのですが、案を出し続けていく中で、この作品になりました。
確かに鴻ヶ巣さんの魅力は伝統とモダンのハイブリッド。そして、その絶妙なバランスにあると思います。確かさと格好良さの両方があるけれども、お互いに活かしあって成り立っていると言いますか。
本当はコンクリートの部分をもっと壊して、中の骨材をさらに出そうと考えていました。でも、思った以上にコンクリートの質感が良くて。このあたりの判断は現場合わせですね。
工夫しているのは、花壇とベンチの比率を好きに組み合わせられることです。このままの花壇でも良いですし、天端に板材を張ってベンチにしてもおもしろいですよ。
この石積みで使われている石も良い風合いなんですよねぇ。
先ほどの花器でも出てきた幡豆石ですよ。百年以上前に積まれた石垣を解体した時に出たものだから、すごく良い雰囲気に馴染んでいます。実はこの作品も販売中です!
(そしてなんと後日、ベーグル屋さんの前に作品が設置されたそうです)

ありがとうございます。とてもおもしろかったです!
他の人たちの作品もおもしろいので、ぜひ、楽しんでください。ありがとうございました。
長谷さんってこんな人
小笠原庭園研究所 小笠原寛さんの坪庭店舗
お!これはすごく癒される感じのお庭。そして、中には雰囲気の良さそうなお店が。
こんなところでゆっくりくつろいでみたいなぁ。

こんにちは! 小笠原庭園研究所の小笠原寛です。
来てくれると高見さんから聞いていましたよ。
めちゃくちゃ段取り良いですね。(やるな、高見さん)
庭師はそんなものですよ。段取り八分。
この心地良い空間は、小笠原さんが作られたのですか?
うちで作ったものですが、私は実際に手を動かしていません。みんなで考えて、うちのスタッフが作りました。私は「こうしたら良いのでは?」とか、ちょっとした手助けをした程度。任せて任せずみたいな(笑)。
なんか格好良い。「監修:小笠原寛」ですね。
いえいえ、みんなで決めたテーマが「くつろげる空間」だったので、うちのみんなの作品です。口出しをしたのは、「小屋みたいな建築物があると良いよね。テントよりもちゃんと建てた方が良い」とか、それくらいですよ。
あらためて、みなさんが作ったこの作品を見てどう思いますか?
この暖簾がすごく効いていますね。風に吹かれている感じが伝わりやすい。透けてはためくから建物と庭の境界線が良い意味で曖昧になります。開かれた場の外と、プライベートな空間の中の境目がなくなっていく。でも、ちゃんと互いに存在する。遮蔽にもなれば、招きもしているという。
このあたりの感性は、昔ながらの日本の良さだと思います。
あ!このブース作りを主導した末廣さんが帰ってきましたよ。あとは彼女に聞いてください。

あ、高見さんが言っていた浦田くんですか?
はじめまして。末廣真奈三です。
よろしくお願いします(やはり、ここも高見さんの掌の上だったのか)。
ブース作りをメインで担当されたと聞いていますが、どのようにしてこのお庭とお店ができたのでしょう?
坪庭がずっと作りたくて、前からいろいろ想像を膨らませていました。今回は盆栽を売るということが最初から決まっていた条件です。
私はお庭って癒されるものだろう、人に和んでもらえるものだろうと日頃から考えているので、そこが軸になっています。訪れたり作ったりした庭に思いを馳せて、この形に辿り着きました。
作ったご本人として、特にお気に入りの場所はありますか?
そこの石のベンチです。腰を掛けて、木々や下草が風に揺れる空間や時間をぜひ体感してほしいんです。
腰を掛けてほしい理由は、目線の変化ですね。日頃のアイレベルでは感じられない高さになることで癒され和んでもらいながら、植物をより身近に感じてほしいです。

親方の小笠原さんからは、どのようなアドバイスや指摘があったでしょうか?
「盆栽を売る小屋だから、商品を並べる場所には畳を敷こう」とアドバイスをもらいました。
あと、石の大きさについて指摘しましたね。最初の案よりも砂利は細かく、据える石は大きく。緩急をもっと付けると庭って変わってくるよと話しました。
確かに違うんですよねぇ…、親方のアドバイスを受けて庭を作ると。材料ですが、ほとんど親方の土場(材料置き場)にあったものを持ってきています。終わったら戻さなくっちゃ(笑)。
完全に私物ですね。お庭屋さんは、いろんなものをストックしていそうです。それにしても小屋も随分としっかりした作りですね。大工さんが建てたみたい。
スタッフの中に専門学校で建築の先生をしている者がいるので、図面を起こしてもらいました。学校の先生を辞めて庭師になりたいと入ってきたんですよ。親方と逆ですね。
え?
小笠原さん、先生になりたいんですか?
そうなんですよ。先輩方からいろんなことを教えていただいて今があるので、私も教育という環境で後進を育ててみたいという思いが強くありますね。
小笠原さんってこんな人
伝統って「技術」にばかり注目されますが、文化を受け継いでいくには職人さんご自身の「気持ち」が原動力なんだなぁとあらためて感じました。今日はありがとうございました。
それにしても愛知には若手と中堅がしっかりと育っていますね。
こちらこそ楽しかったです。
若手といえば、彼はどうでしょう? 成田くんというんですが。
ぜひ、行ってみます!
エムキュー 成田健人さんの坪庭店舗
おすすめされるがまま来てみたけれども、これは個性的なお庭ですなぁ。

来てくれると高見さんから伺っていました。こんにちは、エムキューの成田健人です。
ここにも根回しが(笑)。
高見さんは、どうやって私の動きを予言しているの!?!?
どうやらディスプレイされているものに疑問がありそうですね。
これらは商品です。販売担当の友人のお父様がワインの商売をされていて、ワインを販売しています。これらの懐かしい古物は、その彼が集めたコレクションで、こちらも商品として販売しています。
おぉ! 商品なのですね。岩の上に黒電話というのが絶妙。おもしろい展示方法だと思います。
私は庭の設営だけで、ディスプレイは彼がすべてやりました。ですから、店舗としては合作です。
そもそも、当初はこの庭を想定していなかったんですよ。抜根した大きな木を持っているのですが、時間があったらそれをメインに作庭していました。でも、どうしてもアイデアを固めて施工する時間が足りなくて。それならば、在庫と廃材をたくさん持ってきて、現場で組んでみようと考えました。火曜日からここで試行錯誤しながら作ったのがこの庭です。
即興で作ったインスタレーションの庭ということですね。
それにしても、このカウンターはおもしろいです。

ワインを売るということで、カウンターは必須。瓶ですから、平らなところに並べなければなりません。かといって、木工で素直に机や棚を作ってしまうと、おもしろくない。せっかくのフェスタ、つまりお祭りですから、思い切ったことをやってみたかったのです。
石を吊って運ぶために持ってきた三又とチェーンブロックですが、これを使って石を吊ったままてしまおうと。その結果、実際には安定しているのですが、足がないことで一瞬ドキッとする感じに仕上がりました。後ろの景色が抜けて見えることで空間的にも広く感じます。このような挑戦はイベントだからできますね。
アイデアを形にするって、おもしろいですよね。そして、植栽も素晴らしいです。風で木々がそよいで、木陰が揺らいで、とっても自然だなと癒されます。
(さっき小笠原さんのところで学んだことをすぐにここで披露。しかも、さも前から知っていたかのように言う浦田くんなのでした…)
そうなんですよ!
庭に携わる人は、そうやってリアルに庭を感じてくれるとうれしくなってしまいます。素材のポテンシャルを活かすのが我々の仕事ですから。
(実力以上の発言をした結果、喜んでもらって気恥ずかしいです…)
私は火曜日から設営を始めたのですが、庭 鴻ヶ巣の長谷くんが月曜日から来て作業していたのをInstagramで知りました。しかも、初日からすごく攻めていて良いものができそうで。これは負けていられない、手を抜くことはできないと気合が入りましたね。

切磋琢磨で、良い化学反応が起きたのですね。
ところで、独立されて何年になるのですか?
9年目になります。資材置き場もユンボも買って、今は会社としてしっかりとやらねばならない時期です。
堂々たる作風ですが、何度もこういうイベントに出て経験を積んだのでしょうか?
ガーデンショーに出るのって、実は初めてなんです。サポートには何度も行きましたが。先輩たちからも「次はお前も出ろよ」と何度か言われていて。
そこで今回、出てみたのですが、思っていた以上に考えながら作るのが楽しかったです。とても良い経験になりました。(遠くを見ながら)責任者として忙しい高見さんがブースに帰ってきましたね。今がチャンスですよ。
確かに、高見さんにお話を聞くことは必須ですね。では、行ってみます。ありがとうございました。
成田さんってこんな人
高見庭苑 高見紀雄さんの坪庭店舗
ということで高見さんのブースまで来てみたのですが、このシチュエーション…、明らかに私のことを待っていますよね。背中がそう語っているもの。早く来いよって。

やぁ、浦田くん。取材は順調?
ほんと偶然、今、ここに帰って来たんだよ。
(心の中のツッコミ:ほんまかいな。成田さんの取材が終わる時間を計算していたに違いない)。
それにしても、賑わっていますね。高見さんのところはどのようなコンセプトで坪庭店舗を作られたのですか? 手短にお願いします。
しょうがないなぁ。じゃぁ、忙しいから手短にね。
まず、見てほしいのは、アイアンのパーゴラ。庭にアイアンフレームを使って休憩スペースを作り、周囲に森を作るのが若い頃から続けている私の作風です。今回、たまたま思い付いたものではありません。
うんうん。
今回は、パーゴラを店舗のバックヤードと休憩スポットにしてみました。
坪庭の面積だからひとつだけ設置していますが、お客様のお庭はもっと広いことが多いので複数個を設置することになります。どこに、どのような形状のパーゴラをどれだけ置くのかを考えるのは、とても楽しいですよ。
うんうん。

もしここがオープンカフェだったら、お客様のテーブルをパーゴラで囲うことで抜け感がある個室にできたりもします。日除にもなれば目隠しにもなる一方で中から景色も見える。必要な役目を果たしながらも、境界が良い意味で曖昧になるんです。
うんうん。
(心の声:うわっ!小笠原さんも暖簾で同じようなことを言っていました。これ、庭を知る上でとっても大切なことかも)
アイアンを愛用する理由ですが、幼い頃から鉄が大好きで。特に錆びた鉄が好きなんです。家の裏に鉄工所があって、ずっと遊び場にしていたからですね。ストックされている鉄が錆びていく様子や模様を見ていると、これは自然のアートだと思うようになりました。
うんうん。
今回、実験的に用いたものがあります。工事現場などでもよく見かけるエキスパンドメタルです。
これを庭の中で塔のようにして立ててみたのですが、光の加減によって見え方が全然違う。後ろの景色が透けて見えるところもあれば、まったく見えない位置もある。人によっては雨や霧に見えるかもしれない。自然現象を抽象的に扱う庭ってなかなかないから斬新でしょう?

うんうん。
浦田くん、さっきから「うんうん」ばっかりですね、とっても手短な話なのに。
うんうん。
怒涛のロングトークにさっきから頷いてばかりでした(笑)。
質問のターンが来たようなので、早速、エキスパンドメタルについて聞きたいです。この立て方、本当に面白いですよね。カーブになっているから、濃淡がすごい。

最初は菱形に立てる計画だったので、その通りにやってみたのですが、景色として単調だし、何よりも強度が低い。そこで三辺の内反りに変更してみたら、これが大正解!
強度は問題ないし、曲面が生まれたことで濃淡が生まれたのです。今回はオブジェのように立てましたが、塀や垣根の役目も果たしそうな可能性を感じています。これまでは庭屋が目隠しを作るなら、土塀や竹垣ばかりでしたから。
めちゃくちゃアバンギャルドですね。伝統にはない発想。高見さんにとって、伝統って何なのでしょうか?
何を言ってるの? 浦田くん。伝統なんて存在しないんですよ。
こうしている今も、みんなが将来的に伝統と呼ぶものが生まれたり消えたりしているだけ。ずっとそれが繰り返されてきて今があるだけです。
すごく斬新で哲学的です。でも、言われてみれば、そうなのかもしれません。今から過去を振り返るだけの伝統なら、守りながらすり減っていくだけかもしれませんもの。
高見さんってこんな人
もちろん、私も庭にエキスパンドメタルを設置して素直に馴染むとは考えていません。むしろ、違和感を感じる人が出てくるでしょう。でもこれ、私がずっとテーマにしている「人を裏切る違和感」です。違和感があるからこそ、人が注目して惹きつけられる。たとえ一人でも、心にゾワっとするようなメッセージを送れたら、庭を作る人間としてこれほど幸せなことはありません。
しかも、そのゾワっとする感覚は人それぞれで良いのです。エキスパンドメタルが雨に見えても、霧に見えても、滝に見えても良いわけで。
現代の住宅の庭だとイメージがわきます。古民家のような伝統建築とその庭にも通じる概念なのでしょうか(高見さんに対して伝統と言っちゃった。それ以外の言い方が難しい)?
もし、旧家があったとして、リニューアルするとなったとしましょう。普通に庭を作り直すと昔の庭を再現する方向性になりますよね。そして、それで良いのだと思います。
でも、そこにたったひとつで良いから、エキスパンドメタルを立てるだけで古い庭ですら新しい庭に変化することもあると思いませんか?
確かに苔の緑あふれる庭にも、枯山水にも合う気がしてきました。
でも、これをいきなりお客様のお庭で実験することはできません。だから、私はイベントで実証実験を繰り返しています。
確かにイベントだと、自由ですものね。
手短にということだったけれども、解説はこんな感じで良いのかな?
はい、今日はありがとうございました!
(心の声:多分、手短でない高見さんの段落が一番長いと思います)
ということで、よさみガーデンフェスタ2026の目玉のひとつとして開催された『みかわで坪庭展』のレポート、みなさまいかがだったでしょうか。来年も開催予定なので、気になる方はぜひ遊びに行ってみてください。やっぱり、庭っておもしろい!
次は静岡市で開催される『術-Jutsu-』に行ってきます。

今回取材したイベント
イベント名:みかわで坪庭展(よさみガーデンフェスタ2026におけるイベント)
開催地:フローラルガーデンよさみ
公式サイト:http://garden-yosami.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/niwaten_aichi
ライター紹介

浦田浩志(EDGEs/YouTube・Instagram・note)
得意:インタビュー記事、コンテンツ企画。
兵庫県神戸市出身、神奈川県逗子市在住。大学を卒業して入社した広告代理店で、求人広告の制作を担当。いきなりボスから「女性の求人を書くときは、君は女性になりなさい」という謎の教育を受ける。社長取材などを多数担当したことで、心臓に毛。近年は、初の永世七冠を達成した棋士の方や「宮さんがぜーんぶ破っちゃったの」と語ってくれた方、「問うな、踊れ、そして生きろ」という名言の方など、著名人も取材。一方で、大学時代からバックパッカーとして50か国以上を訪問。子連れでSUPを持ち込みインドへ行くなど神出鬼没。つながりがある造園関係者は100名以上、取材した鍛冶屋は50件以上を数える