さまざまな分野で技術が進歩し、私たちの日常にAIが活用される機会が増えてきました。それは視覚障害者にとっても大きな変化で、新たな技術によってこれまで一人では難しかったことが、少しずつですができるようになってきました。今回紹介するアプリはそんな技術の中の一つです。
Seeing AIとは

Seeing AIは、カメラで捉えた映像を音声で読み上げてくれるAI搭載のトーキングカメラアプリ。開発したのは、Microsoftの視覚障害を持つソフトウェアエンジニアであるサキブ・シャイク(Saqib Shaikh)さんを中心とした「Seeing AIプロジェクトチーム」です。
シャイクさんは7歳の時に視力を失いました。エンジニアを志した学生時代から抱いていた「カメラを使って周りにあるものを認識し声で教えてくれるデバイスを作りたい」という想いを、Microsoftに入社して、実現されました。
どんなことができるの?
Seeing AIには、視覚障害者が開発に携わったからこその「見えないからできない」に対応した機能がたくさんあります。

メインとなるのは、文字や文章を読み上げてくれる「読み取り」機能です。カメラをかざした瞬間に写った文字や文章を読み上げるだけでなく、写真を撮影することでさらに読み取りの精度を高めることができます。 他にも、友人や仕事仲間の顔、カバンなどの自分の持ち物を撮影し登録して使う「人物」や「自分の物を探す」、色や明るさが確認できる「色」や「ライト」、撮影した写真をAIが解析して何が写っているのかを言葉で説明してくれるなど、日常生活を支える多彩な機能が備わっています。

アプリの活用法
この記事を書いている私も網膜色素変性症という目の病気による視覚障害でほとんど見えていないので、毎日のように「Seeing AI」を活用しています。主に「読み取りモード」を使って、買い物のときに商品名を確認したり、郵便物やレシート、テレビの番組表なども読み上げてもらったりしています。 さらに、「色モード」で服の色を確認してコーディネートを決めたり、SNSに写真を投稿する前にAIで解析してもらい、アップする写真を決めたりと、生活のあらゆる場面で大活躍しています。
また、全盲の友人は、家電のリモコンやカバンなどを登録しておき、部屋の電気がついているのか消えているのかわからないときに「ライトモード」を使って、置いたリモコンなど探して便利に使っているようです。
このように、一人ひとりの見え方や困りごとに合わせてアプローチできる多彩な機能があることこそが、このアプリの本当に素晴らしいところだと感じています。
おわりに
これほど多彩な機能を備えた「Seeing AI」ですが、すべての機能を無料で利用することができます。
しかも、文字認識の精度なども年々向上していると、利用している私自身も実感しています。
視覚障害は情報障害とも言われ、素晴らしい技術があっても、そもそもそういった情報を得ることが難しい当事者の方がたくさんいらっしゃるのが現状です。 この記事を通じて、「Seeing AI」アプリのことを一人でも多くの方に知っていただけると嬉しいです。