100種以上のスパイスが並ぶ自由が丘の専門店「香辛堂」。スパイスをもっと身近な存在に

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100種以上のスパイスが並ぶ自由が丘の専門店「香辛堂」。スパイスをもっと身近な存在に

カレーやチャイ。今ではすっかり身近な存在になったスパイス料理。でも、いざ自分で使おうとすると、「種類が多くてよくわからない」「どう組み合わせればいいの?」と、少しハードルを感じる人もいるのではないでしょうか。

そんな方におすすめしたいのが、東京・自由が丘にある『香辛堂』。100種以上のスパイスが並ぶ、日本初のオーダーを受けてから調合するスパイス専門店です。香りを試しながら、自分に合ったスパイスに出会うことができます。

100種以上のスパイスがずらり。自由が丘「香辛堂」が生まれた理由

香辛堂が誕生したのは、2009年。前オーナーの勝又聖雄さんが、インドで登山中にチャイを飲み、身体が芯から温まったことで、スパイスのすごさに感動したことがきっかけ。

当時の日本は、スパイスが今ほど身近なものではなく、買える場所も限られていました。そこで、「日本にもっと香り豊かな世界の料理を」という想いから、日本初のオーダーを受けてから調合するスパイス専門店をオープンしたといいます。

店内に並ぶのは、100種以上の単品スパイスと、前オーナーが世界各国を旅して出会ったおいしい料理をスパイスで表現したという、40種以上のミックススパイス。

クミン、クローヴ、シナモンなど、定番のものから、お菓子作りやジャムに使われる「アニス」や、カレーのトッピング用によく買われるという「カスリメティ」など、めずらしいスパイスまでずらりと並びます。

甘い香りが特徴のアニス

仕入れのこだわりは、新鮮であり、香りがいいこと。インドやカナダ、韓国など、世界各国から直接、または信頼できるルートで厳選されたスパイスのみを仕入れているそうです。

2023年、前オーナーから香辛堂を引き継いだ田辺奈央さんは、もともとお店に通う常連客のひとりだったそう。

香辛堂との出会いは、ワインを注ぐだけで本格的な自家製サングリアが作れる『自由が丘サングリア』。これをきっかけにスパイスのおいしさに惹かれ、店に通ううちに、知り合いを通じてお店を引き継ぐことが決まったといいます。

店主になってからは、日々お店に立ちながら、常連のお客さんとの会話や書籍、料理での実践、スパイスソムリエ資格の学習などを通じて、少しずつスパイスの知識を深めていったそうです。

スパイスの魅力は、ちょっと加えるだけで料理がグッとおいしくなることです。植物の果実・種子・樹皮・根などを乾燥させたスパイスは、香りや風味を加えるだけでなく、素材の味を引き立ててくれます。
 
私自身、日々の食事にスパイスを取り入れるようになってから、肌荒れや便秘の改善を実感するようになりました。もちろん個人差はありますが、シナモンやジンジャー、ブラックペッパー、カレーに使われるクミンやコリアンダー、チリ類など、身体を温めたり、消化を助けたりしてくれるスパイスが多くあるからだと思います。
 
組み合わせるスパイスによって、香りや味わいが無限に変化する点はとても奥深く、飽きのない世界だなと日々感じていますね。

「まずは香りを」専門店ならではの、自分好みのスパイス選び

香辛堂の最大の魅力は、自分好みのスパイスと出会えること。

店頭に置かれたスパイスはすべて香りをその場で確かめることができ、気に入ったスパイスを複数組み合わせて、オリジナルスパイスを作ることも可能です。スパイスカレー用に、事前にメモしたスパイスを単品で組み合わせて購入する人も多いのだとか。

「こんなに種類があると自分に合うものが分からない」という方におすすめなのが、香辛堂オリジナルのミックススパイス。

カレー用、タコス用、チャイ用など、40種以上のミックススパイスが並びます。香辛堂オリジナルのレシピでブレンドされており、難しいことを考えず、すぐ料理に使えるのが魅力です。

人気No.1は「香辛堂シーズニング」。お肉やお魚、なににでも合う万能スパイス。フライドポテトにふりかけるのもおすすめなのだそう

さらにすごいのが、好みや用途に合わせて、スパイスの量を調整してもらえること。

香辛堂は注文を受けてからその場でスパイスを調合・挽くため、好みに合わせて辛さを抑えたり、苦手なスパイスを減らしたり、別添えにしたりと、自分好みにカスタマイズできるんです。

香りのいい和山椒や徳島県産の青のりなど、素材一つひとつにこだわりがある「香辛堂七味」

人気の「香辛堂七味」を購入する常連さんのなかには、「今回は生姜を多めに」「今回は少し辛めに」など、来店の度に自分好みにカスタマイズを楽しむ方もいるのだとか。

お客さまにはまず、スパイスの香りを嗅いでみることをおすすめしています。
 
特に医学的な根拠があるわけではないのですが、香りは、“今の自分が求めているもの”に行き着くものだと思っているんです。
 
カレーのスパイスひとつとっても、「これ、シナモンがいっぱい入ってるね」という方もいれば、「カルダモンの香りがする」という方、「フェンネルの草っぽい香りがする」という方もいて、どの香りを強く感じるかは人それぞれなんですよね。
 
私は二日酔いになるとカレーが食べたくなるのですが、それも、カレーに入っているターメリックやコリアンダーで、弱った胃腸の働きを良くしたいと、自分の体が求めているのではないかと。
 
その日の気分や体調によっても、香りの感じ方は違うので、まずは香りを嗅いでいただき、その後は、好みやどんな料理に使いたいかを簡単にヒアリングさせてもらっています。

筆者もせっかくなので、「タコスシーズニング」と「チャイの素」を購入させてもらいました。

「タコスシーズニング、少し辛めですけど大丈夫ですか?」と好みを確認して下さってからオリジナルのレシピを元に、手際よくスパイスをブレンド。ミルで挽いたらあっという間に完成です。

挽き立てをそのままパッキング

シナモンやカルダモンなど、全8種のスパイスからなる「チャイの素」はとくに人気で、これを目当てに訪れる人も多いのだとか。

自宅で実際に入れてみましたが、ふわっとカルダモンやシナモンの香りが香るおいしいチャイに仕上がりました。甘いミルクティはもちろん、ココアやほうじ茶ラテに入れるのもおすすめとのことです。

人気No.2のチャイの素

ミックススパイスは、まずオリジナルレシピを購入していただき、次回から好みに合わせて調整していくのをおすすめしています。
 
「こないだのあれおいしかった!」と言っていただくととてもやりがいを感じるので、ぜひ、お好みを教えていただきたいです。

「もっとスパイスを身近な存在に」香辛堂がこれから目指すもの

スパイスカレー、スパイスクッキー、スパイスチキン……。今ではあらゆる料理にスパイスが使われ、すっかり市民権を得るようになったスパイス料理。

2023年に香辛堂を引き継いでから日々店頭に立ち、スパイスと向き合ってきた田辺さんは、そういったスパイスを取り巻く環境の変化を日々、実感しているといいます。

少し前まで、お店に足を運んでくださるお客さまは、飲食店でスパイスを取り扱っている方、料理にかなり凝っている方など、スパイスに詳しい方が多かったように思います。
 
ですが最近は、「カレー用のスパイスを買いたい」「ビリヤニを作ろうと思って」など、自宅の料理用にスパイスを購入してくださる方が増えてきて。特にここ数年は、20〜30代の若い世代の方が増えたように感じていますね。

単品ではクミン、コリアンダー、ペッパー類、パプリカ、クローブ、マスタードなどがよく売れるとか。麻辣湯ブーム以降は花椒を購入される人も増えてきたそう

スパイス料理と聞くと「凝った料理」というイメージがある方も多いと思うのですが、実際は、お肉やお魚につけて焼いたり、フルーツに合わせたり、お酒やドリンクに合わせたり。実際は、凝った使い方をしなくても、手軽に使えるものばかりです。
 
香辛堂では、そういったスパイスの手軽さをもっと伝えていきたいなと思っています。
 
私自身、以前は今ほどスパイスに詳しいわけではなかったので、スパイス初心者の方の目線に立って、使い方の説明書きやパッケージなどもこれからもっとアップデートしていきたいですね。SNSも活用できたらなと考えています。
 
ひとりで注文や調合を行っているため、混雑時は細かく対応できないときもありますが、それ以外は、使用の用途をヒアリングしたり、スパイスの使い方をおすすめしたりできるので、ぜひ気軽に立ち寄ってほしいです。

コンパクトなお店のため、「何も買わずに帰るのが申し訳ない」「ちょっと入りづらい」という声もあるそうですが、お店の雰囲気を確認するだけ、お話を聞きにくるだけでも大歓迎とのことです。

取材中もひっきりなしに店内にはお客さんが訪れ、「すべて香りが試せるので、気になったもの嗅いでみてくださいね」「どれと、どれで迷っていますか?」と、お客さん1人ひとりにていねいに声をかける田辺さんの姿が印象的でした。

奥深いスパイスの世界へ気軽に飛び込める「香辛堂」。スパイス料理が気になる方はもちろん、日々の食事にちょっとしたスパイスを加えたい方はぜひ足を運んでみてください。

香辛堂

住所:〒152-0035 東京都目黒区自由が丘1-25-20
TEL:03-6770-7173
営業時間:【平日】11:00-18:00【土日】11:00-19:00

定休日:水曜日・第2/4木曜日(不定休あり)

HP:https://koushindo.net/
SNS:https://www.instagram.com/koushindo/

取材・執筆・撮影:はせがわみき

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