知らないゲームを教えたい!(挨拶)ゲームブロガーの双葉ラー油です!
今回はキーワードと共に挑戦的で尖ったゲームをご紹介。
タイトルは『至れり尽くせリ』。キーワードは「平成レトロ」「RPG」だ!
Nintendo Switch版ページ
PC版ページ
iOS版ページ
Android版ページ
タイトル:『至れり尽くせリ』
パブリッシャー:アフィリティ
機種:Nintendo Switch/PC/iOS/Android
価格:500円(iOS/Androidは基本無料)
インディーゲーム製作者である石乃浦骨董店さんによる作品。
2003年の上野を舞台にしたRPGで、写実的なビジュアルとボイス演出が見所です。
主人公はけだるい日常を送るバーテンダーで、偶然出会った美女から謎の「呪具」を受け取る。
「呪具」を巡る騒動に巻き込まれつつ、仕事も人付き合いもこなさないといけない……という物語になってます。

こういう日常と非日常が重なる物語って、主人公が社会人だと途端に大変な印象が強まるところ。
こっちは店を開ける準備しないといけないんで、呪具は多感な10代の高校生とかに何とかしてもらって!
強気/共感/運で世の中を渡る日常「RPG」!
ゲームはマップを右に進むだけの一方通行。右に進んでいくと物語が進み、強力なボスキャラも登場します。
敵が強いなと感じたら、左に戻ってウロウロして自分を鍛えて挑む!
時間制限があるのであまりゆっくりしすぎるとアウト。単純で迷うところはない作りです。

マップを進んでるとランダムで戦闘やイベントが発生。
遭遇する敵は「チャラ男」「ゲーセンの不良」に加えて、店の迷惑客など様々。
彼らと会話してやり過ごす流れを、RPGの戦闘で表現したシステムになっています。
戦闘は攻撃と回復アイテムで戦う単純な作り。
普通のゲームだと攻撃力や防御力で戦いますが、日常で出会うモンスターとの戦いでは「強気」「共感」「運」のステータスで勝負!

「ゲーセンの不良」と戦う時は「強気」の数字が大きいほど有利になるし、
「タバコ屋のおばちゃん」と戦う時は「共感」が大きいほど有利にと、相手によって必要なステータスが変化します。
レベルアップでどのステータスを上げるか選べるのでバランスが大事ですね。
それはそうとタバコ屋のおばちゃんは無形文化財だと思う。

レベルを上げて不良や感じの悪い先輩、裏カジノの勧誘などを撃破。
客としてやってくる「歌うま力士」が妙に強くて苦戦したり。
俺は一体何と戦っているんだ……と困惑しつつも、シュールなノリに引き込まれて行きます。

「歌うま力士」、ボイスで本当にちょっとうまい歌を聴かせてくるのが面白い。
登場人物たちのボイスは公募したものを使用しているのですが、ゲームの怪しげな雰囲気に絶妙にマッチしてますね。
「平成レトロ」あるある満載な大冒険!
2003年当時の空気を思わせるイベントやアイテムも大量に登場するのが本作の魅力。

こちらは今も人気の携帯型のペット育成ゲーム……のパチモノである「ギャオピッピ」!
本家ではなくパチモノなのが絶妙ですね。
厳密にはパチモノである「ぎゃおッPi」の更にパチモノなのでややこしい!当時はこっちしか持ってなかった!
クレーンゲームの景品になってたのを、3000円くらいかけてゲットして嬉しかったなぁ(遠い目)。

こちらは「着メロ本」。記載されてる数字の楽譜を携帯電話に入力することで、着信メロディを自分で作れる本です。
当時はヒット曲を着メロに出来る!という触れ込みで大量に出てましたね。今となっては古文書の類。
回復アイテムも桃の天然水が元ネタの「ピーチウォーター」、暴君ハバネロが元ネタの「皇帝」ネロなどなど。
20年くらい前に生まれたものやブームになったものが中心です。
イベントもお店のホームページのキリ番を自分で踏んでしまった!なんてのがあったり、当時を生きた人間にとって懐かしいネタ満載。
平成を浴びながら強くなって日常を乗り越えるゲームだ!
生々しさと小さな希望に溢れたストーリー
ストーリーは「呪具」を巡って暗躍する人外の存在を匂わせる一方で、
ダイニングバーの店長である主人公の日常は苦労が絶えません。
自分と違って大学に進学した親友とギクシャクしたり、オーナーに売り上げの件でつつかれたり、調子の良い新人の面倒を見たり。

親友ではあるんだけど今は距離がある。
お世話になってる人なんだけど善人ではない。
短い会話でこういう生々しい空気感を出すのが上手く、読んでて辛い!

電話で母親と会話するシーンでは、着信画面に表示されてる「あのひと」という表記だけで色々なものを察してしまう。
しかし単に嫌な人物が出てくる世知辛いだけのストーリーではなく、
登場人物それぞれの背景を想像させる描き方をしており、ちょいちょい挟まる愛嬌のある文章や行動が絶妙。
辛くも前向きな気持ちになれる作品としてまとまっていました。
平成レトロとRPGを融合させた発想がチャレンジングな1作!
クリアまでは3~4時間ほど。
「やられると最初から」というゲームなので緊張感はありますが、
短編かつじっくり経験値稼ぎをすればそこまで難しいバランスではありません。
装備を整えて仲間が増えて敵と戦って成長して……という、いかにもなRPG的なシステム。
これを2003年を生きる主人公の物語として落とし込んだ構成が、挑戦的で新鮮でした。
平成ネタを知らない人も、ちょっとしたファンタジー気分で楽しめる1本だと思います。
スマホでもプレイ出来るので、是非遊んでみてください!
ライター紹介

双葉ラー油
老舗ゲームブログ『絶対SIMPLE主義』を20年以上運営するブロガー。「知らないゲームを教えたい!」をスローガンに、大作からニッチな作品まで取り扱う。特撮関連の造詣も深い。謎のマスクを被っているが別にプロレスラーではない。