
2026年3月28日、ビジネス書や健康書のベストセラーを数多く手がける出版社・アスコムのオフィス(東京・新橋)で、読書会イベントが開催されました。主催はシェア型本屋「友達本屋」とアスコムの合同企画。課題図書は、わかさ生活創業者・角谷建耀知さんの著書『すべての答えは個客の中にある』です。
土曜の朝10時スタートにもかかわらず会場は満員で、熱気あふれるイベントになりました。DEKIRU!編集部もイベントに参加してきたので、当日の様子をレポートします。
「友達本屋」ってなに?
友達本屋は、武田和磨さんが立ち上げたシェア型本屋です。ビジョンは「日本一coolな(格好良い)本屋さん」。
読書してる人ってカッコいい――そんな文化を創りたいという想いを抱き、定期的に読書会イベントを開催しています。今回はアスコムとの合同開催で、課題図書として『すべての答えは個客の中にある』が選ばれました。
読書→アウトプット→席替え→もう1セット

アスコムのPR担当・鈴木あいさんと編集者・志摩晃司さんの挨拶のあと、司会進行のanjuさんの進行で読書会がスタートしました。
この読書会の進行はちょっとユニークなんです。
参加者はその場で初めて本を受け取ります。事前に読んでくる必要はありません。10分間集中して読んだあと、隣の人とペアになって、1人3分ずつ交互にアウトプット。読んだ箇所や感想をシェアします。そのあと席替えをして、新しいメンバーでもう1セット同じことを繰り返します。

「アウトプット前提で読む」というルールがポイントで、ただ読むのとは集中の質が違います。読む時間が短く区切られているからこそ、「この本の要点は?」「自分の仕事に関係しそうな部分は?」と意識しながら読むことになります。実用的な「読み」のトレーニングにもなりそうです。
すでに本を読んでいる人にとっても、初めて手に取る人にとっても、それぞれ違った楽しみ方ができる形式だなと感じました。参加者同士のディスカッションも活発で、初対面にもかかわらず和気あいあいとした雰囲気でした。



ところで「個客」ってなに?
ここで、今回の課題図書について少し触れておきます。
『すべての答えは個客の中にある』は、わかさ生活創業者・角谷建耀知さんが書いたビジネス書です。サブタイトルに「超・マーケティング思考」とある通り、マーケティングの本なんですが、よくあるフレームワークや理論の解説とはちょっと違います。

本書の冒頭で、角谷さんはこんな問いかけをしています。
「顧客満足」と「個客満足」、この2つの言葉を見て何が浮かびますか?と。
「顧客満足」と聞くと、数字やデータ、何人かの集団のイメージが浮かびませんか。一方「個客満足」のほうは、一人の人の笑顔が浮かんだりしないでしょうか。角谷さんは、お客さんは「データ」でも「集団」でもなく、一人ひとり個別の人生を持った「個人」だと語っています。データとしての「顧客」ではなく、一人の人間としての「個客」に向き合う。それが本書のテーマです。
しかもこの考え方は、理論から来たものではありません。兵庫県丹波市で育ち、9歳のときにカブトムシを売って『少年チャンピオン』を買うお金を稼いだ少年時代の原体験から始まっています。18歳で借金100万円から起業し、累計売上3000億円の企業をつくるまで、ずっと「個客」と向き合い続けてきた人の本。それが『すべての答えは個客の中にある』なんです。

トークセッション:編集者・志摩さんが語る「個客」本の裏側

読書会パートのあと、本書の編集を担当したアスコムの志摩晃司さんによるトークセッションが行われました。anjuさんの進行のもと、編集の裏話がたっぷり語られました。
「天才型すぎて、引き出すのが大変だった」
角谷さんのことを「ちょっと天才型すぎる」と表現。ファンマーケティングやブランディングといった言葉が流行するずっと前から、角谷さんは同じことをやり続けてきた。でも本人にその自覚がない。「そういうの、最近流行ってるって知ってます?」と言われても、「それ30年前からやってた」と返すような人だそうです。
自然にやっていることを言語化して本にするのが編集者の仕事。でも、当たり前のことは本人からは出てきにくい。「それを引き出すのが自分の仕事」と志摩さんは語っていました。

表紙の仕掛け
質疑応答では、参加者から表紙デザインについて質問が出ました。志摩さんによると、表紙にはいくつかの仕掛けがあるそうです。
まず、表紙で一番大きく配置されている文字は「個客」。見慣れない漢字をドンと置くことで「これミスプリ?」と思わせ、手に取らせる狙いがあったとのこと。
上部に小さく入っている「超・マーケティング思考」にも意味があります。書店ではタイトルのキーワードで本の棚が決まるため、「マーケティング」という言葉を入れることでマーケティングの棚に置いてもらえる。いわば本のSEOのようなものだと志摩さんは説明していました。
表紙についてのこんな具体的な話を聞けるのは、担当者を交えたイベントならではの魅力だなと感じました。

本を出すことがゴールじゃない
もうひとつ印象的だったのは、「本を出すこと自体は目的ではない」という話です。
志摩さんは著者と最初に話す段階で、「社長の時間を1年近くいただくことになります。それでも作りますか?」と確認するそうです。できあがった本は書店で売れるかどうかだけでなく、営業に使って商談期間が短くなったり、採用に使って組織が変わったりと、ビジネスツールとして活用されるケースも多いとのこと。本をどう「使うか」まで含めて設計するのが志摩さんの仕事だといいます。
友達本屋・武田和磨さんに聞いてみた
今回のイベントを主催した友達本屋の武田和磨さんに、読書会のこと、今回のイベントのことをいくつか質問させてもらいました。
「シェア型本屋」という形
ーー友達本屋はどんな活動をしているんですか?
武田さん:友達本屋は、いわゆる普通の本屋さんではなく、一棚ごとに棚主さんがいて、その方のおすすめの本を販売している「シェア型本屋」です。棚主さんには読書好きだけでなく、自分の人生を前向きに生きている方が多くて、各ジャンルで影響力のある方が80名在籍しています。
普段は「読書×さまざまなカルチャー」を掛け合わせたイベントを開催していて、読書会だけでなく、RUNイベントや音楽イベント、トレーニングイベントなども行っています。
ーー参加者はどんな方が多いですか?
武田さん:20〜35歳のビジネスパーソンが多いです。皆さんに共通しているのは、仕事だけでなくプライベートや趣味でも目標を持って生きている方が多いこと。自分と価値観の近い人との交流が、参加のいちばんの理由ですね。
ーー選書はどうやって決めているんですか?
武田さん:棚主さんの属性としてビジネスパーソンが多いので、ビジネス書を取り上げる機会が多いです。棚主さんが興味を持っている本を選ぶことが多いので、「すぐに取り入れやすいビジネス書」が選ばれやすい傾向はあります。
「知っている」から「好き」になる瞬間
ーー参加者の反応で、嬉しかったことや印象に残っていることはありますか?
武田さん:今回はわかさ生活さんからのプレゼントもあって、「本のファン」だけでなく「わかさ生活のファン」になったというアンケートが複数あったことです。もちろん全員知っている会社だったんですが、こういった身近に感じるイベントを通じて、「知っている」から「好き」に変わる瞬間を見られた気がします。
ちなみにうちの娘は、いただいたキーホルダー(ブルブルくん)を幼稚園バッグに着けています。キャラクターの力ってすごいですね(笑)。
制限時間が来ても、全員がまだ話し続けていた
ーー今回の『すべての答えは個客の中にある』イベントはいかがでしたか?
武田さん:全員が「満足」と回答してくれて、アンケートから見ても大成功でした。本の内容はもちろんですが、集まった方同士の交流に多くの時間を使えたので、一人で来たけど「誰かと帰る」という感じで、友人を作るきっかけにもなっていたのが印象的です。
本の内容としては「それぞれが各分野で実践できる内容」が書かれているので、アウトプットの時間では制限時間になっても全員がまだ話し続けて盛り上がっていました。運営の立場だけでなく、参加者のアンケートからも「大成功」と言えると思います。
ーー場の雰囲気で印象に残っていることはありますか?
武田さん:編集者の志摩さんとのトークセッションですね。話が面白くて、全員が笑顔で聞いていてあっという間の30分でした。質疑応答の時間も全然足りなくて、会が終わってからも多くの参加者が30分以上居残りして、志摩さんに質問したい方の長蛇の列ができていたのも印象的でした(笑)。
「読書がかっこいい趣味」になるように
ーー友達本屋の今後の展望を教えてください。
武田さん:友達本屋のミッションは「読書で、人生を楽しむ」です。目指しているのは「日本一cool(カッコいい)な本屋」。ただ、自分の性格上「大きな目標を立てて逆算」するより、毎日正しいことを積み上げていくスタイルなので、定量的な目標はないんですが、「本×さまざまなカルチャー」を掛け合わせたイベントをどんどんやって、「読書がかっこいい趣味」になるようなムーブを作れたらと思っています。

友達本屋は定期的に読書会イベントを開催しているので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
書籍情報
『誰でもできる!結果に繋がる 超・マーケティング思考 すべての答えは個客の中にある』
- 著者:角谷建耀知(株式会社わかさ生活 創業者)
- 出版社:アスコム
- Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4776213958
関係者紹介
- 友達本屋(主催):Instagram @tomodachi_honya / 公式HP
- アスコム(共催):Instagram @ascomchannel / X @AscomBooks
取材・文:DEKIRU!編集部
撮影:ケントク(映像プロデューサー)Instagram @kentoku_yamauchi