ラジオ局の“中の人”が語る、「わかさ生活ラジオ」の秘密

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「音」の挑戦者たち

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ラジオ局の“中の人”が語る、「わかさ生活ラジオ」の秘密

こんにちは、ラジオ大好きDEKIRU!編集部のHIROです。今回は前回に続き「わかさ生活ラジオ」の魅力に迫ります。

前回の記事では、企業提供番組でありながら、企業側が企画・構成・出演まですべてを担当するというスタイルがとても珍しい「わかさ生活ラジオ」について、わかさ生活の伊藤さん、正田さんにインタビュー。社員の「想い」とリスナーへの「愛情」が詰まった番組作りの舞台裏をお伝えしました。今回は放送局側から見た、この番組のユニークさや魅力を探っていきます。

実は私、京都出身。子どもの頃からKBS京都のラジオを聴いて育ちました。今回のインタビューで、KBS京都の放送局内におじゃまする機会をいただき、ラジオ好きとしてはたまらなくプレミアムな経験でした!長年愛聴してきた(今もradikoで欠かさず聴いています!)放送局のなかで、番組を作っていらっしゃる側の視点からお話を聞けることに、胸が高鳴りつつインタビューをはじめました。

今回は放送局側の視点から「わかさ生活ラジオ」についてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします!

大阪支社 支社長の堀士昌哉です。今日はよろしくお願いします。

長くラジオに携わり、今は報道制作局担当の取締役である湯浅勝と申します。「わかさ生活ラジオ」のこと、いろいろとお話しできればと思います。

KBS京都の所在地といえば、リスナーにはおなじみ「蛤御門(はまぐりごもん)」前。本社にてお話を伺いました。

企業が主役の番組作り — 他局も驚く番組制作の舞台裏

「わかさ生活ラジオ」がスタートした経緯について教えていただけますか?

実は「わかさ生活ラジオ」の前身となる番組が、過去に何度かレギュラー番組として放送されていたんです。それらは(わかさ生活が支援していた)女子プロ野球に特化したものであったり、角谷代表の人生観を伝えるものだったのですが、いずれも2クール(6カ月)程度で終了しています。
それらの番組では、こちら側(KBS京都)で構成をして、ゲストを呼んでくるという形式でした。でも角谷代表ご自身が「ゲストと急に話せと言われても、なかなか話せないよね」という思いをお持ちだったんですよね。そこで「わかさ生活の中で今一番伝えたいものをそのまま出せたらどうだろう」という発想から、今の全く新しい形が生まれたのです。

角谷代表とはもう25年以上のお付き合いがあるんですが、企業活動を超えて、経営者、もしくは一人の人間としての角谷代表の魅力をもっと伝えたい、というコンセプトがありました。
ただ、堅苦しい台本では、その魅力が伝えきれないと感じていました。「角谷代表が一番リラックスできる環境、わかさ生活さんに直接行って収録してしまおう」というアイデアが閃き、角谷代表にそれを提案したんです。

なるほど。放送局側が企業に出向くというスタイルは、かなり珍しいですよね?

そうですね。珍しいというより、ほとんどないと言っていいんじゃないでしょうか。企業が一社提供する番組で、企業側が内容を考え、台本も資料も会社で作り、ラジオ局側が収録・編集・効果音を担当するという形式は、唯一無二だと思います。
他局からも見学に来られたり、ご挨拶に来られたりすることがあるんですが、みなさん「この手があったか」という感じで驚かれます。

ただ、他局がこれを実現しようとしても、なかなか難しいんですよ。放送局って組織が固いというか古いというか…部署が多岐にわたるので、営業部が編成部や制作スタッフを動かして企業まで派遣するという体制は、簡単には取れないものなんです。

KBS京都さんではなぜ、それが可能になったのでしょうか?

KBS京都は、技術スタッフを社内に抱えているんです。わかさ生活ラジオの録音を担当しているスタッフも社員ですし、収録機材も全て社内で揃っています。テレビとラジオ共通の技術部門があり、外部収録などに柔軟に対応できる体制が整っているんです。
実はこれが番組制作の大きな強みになっていて、外部の制作会社に依頼すると、相談や調整に手間もコストもかかりますが、社内で完結できるからこそ、こういった柔軟な番組作りが可能になっています。

想いや物語を伝える・リスナーの心をつかむ

わかさ生活の伊藤さんと正田さんのお話では、KBS京都側からのアドバイスや指導はほとんどなかったとお聞きしました。本当にすべてわかさ生活側に任せているんですか?

もう完全に任せています。それだけ伊藤さんと正田さんの熱意と力量が素晴らしいんです。

お二人に伝えておきます…!

いや、本当に。もし他の企業でこれと同じことをやろうとしても、こういう方々が社内にいなければ、絶対にこの形は作れません。伊藤さんと正田さんがいなければ、この番組は存在しないと言っても過言ではありません。

そうですね。私たちから見ても、伊藤さんは角谷代表の魅力を引き出す名脇役といいますか、黒子役として素晴らしい役割を果たしてらっしゃると思います。一方、KBS京都の海平アナウンサーは客観的なナビゲーターとして、リスナーに聞きやすいよう整理していく役割に徹しています。
ラジオの魅力は自由闊達に普段聞けない言葉を聞くこと。だからこそ、できるだけ空気は自由にしておくべきだと考えています。

わかさ生活の正田さんも、雰囲気づくりについては同じようなことを仰ってましたね。
170回を超える放送の中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

角谷代表の社会貢献の原点についてお話された回ですね。実はこのお話は何度かラジオでされているんですが、阪神淡路大震災の時に自身も被災され、小さなお子さんのためにミルクを作る水を探し歩いた経験を語られて。その話をすると収録現場にいるみんなが涙ぐんでしまうんです。何度聞いても心に響く話なんですよ。

商品紹介の時の角谷代表の目の輝きも印象的です。単なる商品の宣伝ではなく、開発者との対話を通じて、どんな苦労があったか、どんなコンセプトだったかを話される。毎回マーケティングのヒントになるようなお話で、どの業界の方が聞いてもきっとためになると思います。

そうした角谷代表の想いが、リスナーにも届いていると感じますか?

間違いなく届いています。毎週のようにたくさんメッセージが届くのは、その想いが伝わっている証拠でしょう。商品を売ることよりも、想いや物語を伝えることを大切にするスタイルが、リスナーの心をつかんでいるんだと思います。

ラジオは「ごまかしがきかない」メディア

角谷代表がなぜラジオを続けられているのか、その理由についてはどう思われますか?

角谷代表は1999年から私たちと番組を作っていますが、テレビよりもラジオを選んで続けられています。野球好きの角谷代表が言われるには「テレビ中継で見た試合は覚えていないけど、ラジオ中継で聴いた試合はいまも頭に残っている」と仰っています。
ラジオは人の頭の中に、インプレッションとして非常に残りやすい媒体なんです。角谷代表はそれを自分の実体験で感じて「自分が会社を立ち上げたら、ラジオ中心の広告をしていきたい」と思っていたそうです。

わかさ生活ラジオの強みは、社長の真摯な人生観や思いが肉声として伝わることにあります。活字やテレビでは表現できない魅力がある。
ラジオは「ごまかしがきかないメディア」なんです。美辞麗句や適当な言葉では、リスナーの心は動かない。角谷代表があの形で真正面から想いをぶつけているからこそ、リスナーの心に届くのだと思います。

ごまかしがきかない。私もラジオのいちリスナーとして、すごく良くわかります。
企業がラジオ番組を持つ意義について、どうお考えですか?

企業がラジオを活用する際は、短期的な成果を求めるのではなく、3年、5年、10年…という長期的な視点で取り組むべきじゃないかと思っています。
最近聞いた話ですが、ある企業の広告宣伝の担当者さんが、短期間で業績を上げるように命じられて、真っ先に広告費、特にテレビCMの予算をカットしたそうです。確かに一時的には利益が出た。でも、これは「出血を止める」だけの一時的な対応で、企業の長期的な成長にはつながらないですよね。
宣伝というのは3年、5年、10年を見越して続けるべきもの。角谷代表はそういう長期的な視点でラジオに取り組まれています。

角谷代表は社会貢献活動や野球支援も「10年は続ける」という考え方をされています。我々としても、このラジオを10年スパンで続けていただきたいと思っています。角谷代表の熱い思いがリスナーに届き、ファンを作る。それが結果的に企業ブランディングにもつながっているのだと思います。

最後に、他の企業がラジオを活用する際のアドバイスがあればお聞かせください。

「わかさ生活ラジオ」が上手くいっているからといって、どんな企業でもマネできるかというと、そうではないと思います。やるのであれば、短期的な売上向上を目指すのではなく、長期的なファン作りを目的とするというマインドが必要です。また、社長自らがコミットすることも大切ですね。

想いを持ったオーナーが、肉声でまっすぐに語る。このシンプルな形式に可能性があると思います。ラジオというメディアには、そうした真摯な想いを聴き手に伝える力があるんです。

本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

今回のインタビューで、「わかさ生活ラジオ」がなぜこれほど多くのリスナーの心をつかむのか、その理由がよく理解できました。企業側の熱意はもちろん、それを支える放送局の柔軟な対応と深い理解があってこそ生まれた、唯一無二の番組。みなさんも一度聴いてみてください。

単なる商品宣伝ではなく、「物語」を大切にする姿勢が、長期的なファン作りにつながっているという点は、ラジオの特性の活かし方として、他の企業にとっても大きなヒントになりそうです。

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