愛知県大府市に拠点を構える株式会社東洋発酵。独自の「発酵技術」をベースに、健康食品や化粧品の原料開発からOEM受託製造までを一貫して手がける、いわば美と健康のプロフェッショナルです。
わかさ生活が「美容」という新領域で再スタートを切る際に、二人三脚のパートナーとして選んだのが同社でした。今回お話を伺ったのは、営業一部の主任を務める川瀬佑介さん。単なる「メーカーと委託先」という垣根を越え、わかさ生活と共に美容ブランド「MELUMO」の再生を形にしてきました。
「相手の思いに共感し、一緒にプロジェクトを成功させたい」。そう語る川瀬さんの言葉からは、ビジネスの枠を超えた、真のパートナーシップの姿が見えてきました。
「この人たちを成功させたい」――直感で結ばれたパートナーシップ

−− まずは、東洋発酵様における川瀬さんの役割について教えてください。
弊社は発酵技術で原料を自社開発しつつ、化粧品や健康食品のOEM受託製造を行っています。私の役割は「企画営業」ですが、単に製品を作るだけでなく、商品企画のご提案から製造の進行管理、さらにはマーケティングやブランディングの領域まで、かなり踏み込んでサポートさせていただいています。
−− 普段、お客様と対話する際に最も重視していることは何でしょうか?
一番大切にしているのは、相手企業の担当者様が抱いている「思い」の部分をしっかりキャッチすることです。「なぜその製品を作りたいのか」「どんな人に届けたいのか」。そうした背景に深く共感した上で、弊社として何がお手伝いできるかを考えるようにしています。
単なるスペックの話ではなく、その先にある情熱を聞き出すことが、私の仕事の醍醐味だと思っています。
−− わかさ生活との出会いは、どのようなきっかけだったのですか?
2023年の秋頃に、わかさ生活様に弊社の発酵エキスを見つけていただいたのが始まりでした。打ち合わせを重ねるなかで、見ているものが近く、会話がすごくスムーズに進んだのが印象的でした。
実は、最初はOEMをお願いできそうな複数の会社さんに連絡をしてまして(笑)。それぞれに「何かいい原料はありますか?」とお聞きしていたんですよ。
そのなかで東洋発酵様の川瀬さんは、私達と見ているものが近しいというか。「こういうものを作りたい」というこちらの思いに対するレスポンスのイメージが合っていたんです。
だから最初のところから会話がスムーズにできたっていうのがあり、すごく好感触で、「東洋発酵様にお願いしよう!」と。
そんな裏話があったとは(笑)。でも、最初にお会いした時、プロダクトの話以上に印象に残ったのが、担当の三浦さんと高橋さんの熱意でした。過去の製品に対する不本意な評価や、それに対する悔しさ、今後のリニューアルに向けた明確な課題意識……。
お二人の仕事に対する真摯な姿勢を見て「このプロジェクトを絶対に成功させてほしい、力になりたい」と強く思ったのを覚えています。
さまざまな世代に対する“最適解”の追求
−− 開発をスタートさせる際、どのようなターゲット像を共有されていたのでしょうか。
既存のファンである比較的、高い年齢層の方々を大切にしつつ、Z世代などの新しい層にも響くものを作りたい、というお話を伺っていました。
−− 世代によって、化粧品に求めるものは大きく異なりますよね。
そうなんです。年齢層が高い方は「乾燥しないこと」「しっかりとした使用感」を重視されますが、若い世代の方はいわゆる「成分コスメ」のように、中身のスペックに注目されます。この対極にあるニーズをどう両立させるかが鍵でした。
−− 具体的にはどのようなアプローチをとったのですか?
両立は難しい部分もあるんですが、剤型の選択と配合成分の工夫で、異なるニーズを融合させることを目指しました。
例えば保湿液ジェルであれば、若い方が好む「ベタつかない快適な使用感」を守りつつ、高い世代の方が求める「確かな保湿感」も押さえることができたんじゃないかと思います。
キャッチーすぎず、本物の化粧品をしっかり届けられるようにアプローチしていきました。
−− 技術的な面で、特にこだわったポイントはどこでしょうか。
何といっても「色」です。
わかさ生活様のサプリメントで使われている「アントシアニン」を化粧品にも使いたいという強いご要望をいただいたのですが、これが一筋縄ではいきませんでした。
実は、サプリメントの原料と化粧品の原料では規格がまったく異なり、化粧品の世界でアントシアニンは非常にニッチなんです。まずは適切な原料を探し出すところが、最初の大きなハードルでした。
−−成分にこだわった結果、MELUMOの神秘的なブルーが生まれたわけですね。
そうですね。そのブルーを安定させるのも一苦労でした。
天然の着色料は、時間経過や紫外線によって色が変化しやすいという性質があります。開発担当の安部とも連携し、リスクの部分も正直にわかさ生活様にお伝えしながら、どうすれば安全に運用でき、かつ理想の色を保てるか、試行錯誤を繰り返しました。
水を一切使わない。プロが提案する「五感すべてで浸る」という新体験

−− MELUMOの大きな特徴として「水を使っていない」という点がありますね。
はい。一般的な化粧品の多くは精製水がベースですが、MELUMOではその代わりに弊社の「発酵美容エキス(アスペルギルス培養物:保湿成分)」を配合しています。
発酵の工程で生み出された豊富な栄養価をまるごと肌に届ける。これは、原料メーカーとしての顔を持つ弊社だからこそ実現できた、最大の強みだと思っています。
−− 実際に完成した製品を手に取った時の感想はいかがでしたか?
素直に嬉しかったですね。出来上がったことに対する安堵もありましたし、何よりテクスチャーが本当に独特で心地いい。営業の立場を忘れて「早く色んな人に使ってほしい」と思いました。
−− 消費者の方には、特にどんな点に注目してほしいですか?
ぜひ「五感すべて」で感じてほしい、というのが私の願いです。 単に「肌に塗る」という行為以上の体験をしていただきたいんです。
まずは視覚。あのブルーの色味を楽しんでいただき、次に触覚、つまり肌にのせた時の独特のテクスチャーを感じていただく。そして、発酵特有のほのかな匂いも、ぜひ嗅覚で楽しんでいただきたい。水ではなく「発酵美容エキス(アスペルギルス培養物:保湿成分)」が使われているという事実を、理屈ではなく感覚として体験してほしいんです。
触った感触だけでなく、匂いや見た目、その全てにこだわりが詰まっていますから。
「弱み」もさらけ出すからこそ信じ合える。トレンドを創る“チーム”の絆
−− 今回のプロジェクトを通じて、わかさ生活との関係性に変化はありましたか?
一般的な「発注側と受注側」という関係性を超えて、まるでわかさ生活様という会社の一員になったかのような感覚で取り組むことができました。プロジェクトメンバーの一人として扱っていただけたことが、本当にありがたかったです。
−− わかさ生活の高橋さんたちとのやり取りで、印象に残っていることはありますか?
資材やデザインへのこだわりが、とにかく緻密なんです。容器や箱を単なる「入れ物」ではなく、ファンの方への大切なメッセージとして捉えている。その姿勢には、私自身も改めて感銘を受けましたし、学ぶところが多かったです。
−− 最後に、川瀬さんが仕事をする上で最も大切にしていることを教えてください。
常に「正直でいること」です。メリットだけでなく、弊社が苦手なことや、技術的なデメリット、できないことも包み隠さずお伝えするようにしています。 正直でいればこそ、良いと言った部分を心から信じていただける。その信頼関係が、結果として良い製品づくりに繋がると信じています。
−− 今後の展望についてはいかがでしょうか。
ここ数年、発酵スキンケアは世界的なトレンドになっています。私たちはこれからも、真摯にお客様に向き合い、ビジネスパートナーとして寄り添い続けたい。
そしていつか、ブランド様から「東洋発酵のこの原料を使えば、新しいトレンドを作れそうだ」と確信を持ってもらえるような、そんな革新的な存在を目指していきたいですね。
次回はMELUMOの処方を作り上げた、東洋発酵 化粧品開発部の安部仁志さんに技術的な挑戦について伺います。水の代わりにエキスを配合する際の難しさ、自然由来成分へのこだわりなど、開発者ならではの視点に迫ります。