4つの「奇妙」と「不思議」が待つ『ミニチュア (Miniatures) 』

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4つの「奇妙」と「不思議」が待つ『ミニチュア (Miniatures) 』

知らないゲームを教えたい!(挨拶)

ゲームブロガーの双葉ラー油です!


キーワードと共に挑戦的で尖ったゲームを紹介していくこのコーナー。
今回のキーワードは「ミニチュア」と「感触」です!

公式サイト

https://www.miniaturesthegame.com

パブリッシャー:Other Tales Interactive
機種:Switch/PC/iOS
価格:500~700円

手掛けたのは北欧のゲームスタジオであるOther Tales Interactive。
4つのシナリオが収録されたオムニバス形式のゲームとなっています。

ゲームとしては画面をあちこちクリックして仕掛けやキャラを動かす単純なもので、謎解きや選択肢も無し。アートに重きを置いた作品で、最小限の文章と演出を楽しむ作り。1時間に満たないボリュームですが、絵と音による没入感はかなりのもの。


なんだか分からないがスゴいものを見た!という気持ちで駆け抜ける4連ビックリ箱です!

まずは画面に表示された箱を開き、4つのオブジェから1つを手に取ってゲーム開始。
『ファミリア』『月の館』『最後の砂の城』『パルダリウム』という作風が異なる4つの物語は、どの順番から遊んでも良し。それぞれに専用のタイトル画面が用意されており、独立してるように見えて、繋がってるという解釈もできる……くらいの構成ですね。

手だけで魅せる「ファミリア」

『ファミリア』は「家族みんなで家具を組み立てる」という内容で、家族の姿は手しか映らず文章も無し。
協力してネジを回したり板や取っ手を取り付けたり。ネジを指ではじいて遊んだり、解説書を読みながらパーツを組み合わせたり。


それだけの話で映っているのは手と家具のパーツだけなのに、作業する仕草から苛立ちや不穏さが伝わって来てハラハラさせる構成です。手だけの演技が実に上手いお話。電動ドライバーがあればこんなことにはならなかったのに!(そんなことはない)

画面と文字の一体化した演出が見事な「月の館」

『月の館』は行方不明になった母親を探すお話。
児童文学のような雰囲気で「月と話し合い、月と共に姿を消した母親」を追っていきます。

画面を引っ張るように動かして物語を読み進める絵巻物のような画面構成と、文字と一体化した演出が見事。
ぶっ飛んだ導入から始まり、不安げに夜の世界を進む主人公の独白が味わい深い翻訳です。月ってそういうことかなぁ……と考えながら主人公の旅路を応援したくなりますね。

現実と空想の境目が曖昧に…「パルダリウム」

『パルダリウム』は1人で家にいる少年と、侵入してくる奇妙なものたちを描いたお話。


妙に不安になる広い家と父親との会話。徐々に現実なのかそうでないのか曖昧になる描写が光る。
閉塞感が漂う中、プレイヤーの操作で窓が開き景色が広がる場面では解放感がある。
引いた視点と少年の顔アップでメリハリを付けているところも含めて、緩急をつけた表現力が見所になっています。。

不思議な生き物たちと音を奏でる「最後の砂の城」

『最後の砂の城』は不思議な生き物たちが住む砂の城を観察するお話で、画面真ん中の缶を叩くところからスタート。ドアを叩いたり、煙突になっているストローをタッチしたりしていくうちに、不思議な生き物たちがどんどん登場して演奏が賑やかになっていく。


これだけ陽気なテンションの話で生き物たちの動きがかわいらしく、カメラが固定されているからこその臨場感がありますね。
家具なんか作ってないで楽器を演奏すれば良かったんだ……!

最初にも書きましたが完全クリアまでは1時間掛からないボリューム。
「これで終わり!?」と驚かされたり、全体的に捉え所のない作りではあるものの、贅沢に凝られたキャラの動きとシーンの数々は必見です。


プレイヤーの操作に合わせて画面全体がスクロールしたり、小気味良い効果音が鳴って画面に変化が起こったり。こちらの操作に対する「感触」が練られているため、サクッと終わるのに印象に残るシーンが多いですね。

短編集なので内容について多くは語りませんが、ちょっとした短編映画を見る気分で、寝る前などに遊んでもらいたい作品です!

ライター紹介

双葉ラー油
老舗ゲームブログ『絶対SIMPLE主義』を20年以上運営するブロガー。「知らないゲームを教えたい!」をスローガンに、大作からニッチな作品まで取り扱う。特撮関連の造詣も深い。謎のマスクを被っているが別にプロレスラーではない。

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連載

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