知らないゲームを教えたい!(挨拶)
ゲームブロガーの双葉ラー油です!
今回もキーワードと共に挑戦的で尖ったゲームを紹介していきましょう。今回はホラー回。キーワードは「採点」だ!
タイトル:『恐怖の採点 -Score the Fear-』
パブリッシャー:AquaEternity
機種:Steam
価格(税込):470円
AquaEternityによる個人製作の短編ホラーゲームです。
「脅かしてくるオバケを採点する」というシステムが最大の特徴。その日の終わりに怖かったかどうかを星1~3つで採点。この流れを3日間行い、点数の傾向でエンディングが分岐するという構成になっています。
ホラー?ほんわか?やたら可愛いオバケを採点
聞いただけで遊びたくなるアイデアが見事ですが、オバケがやたら可愛くて全然怖くないのが面白いところ。アイデアを活用したまとめ方が光る短編ホラーになっています。

ストーリーは主人公が3日間の出張のために借りたマンションに、幽霊のゆ~君が出現!立派な悪霊になるための修行に付き合うことになる……というもの。ゆ~君を5回見つけて採点するルールですが、狭いマンションなので簡単に見つかります。

しかしゆ~君、ドア開けたところにモロだしで待機してて、近づくと「ばぁ!」とか言うだけなので、怖がるどころか笑顔になっちゃう。

隠れてる場合でも冷蔵庫の中で震えていたり、しまいにはお風呂でくつろいでいたり。狭いマンションで可愛いオバケと遭遇するだけの時間が続いていきます。主人公の出張がちょっとウキウキになってるだけじゃん!

ドアののぞき窓を調べるシーンもあります。これは覗いたら不審な人物が立っていたり、いきなり幽霊が出てきてビックリするパターン!

と思ったらゆ~君が横から歩いてきて「ばぁ!」と言うだけでズッコケたり。こういう「ホラー作品あるある」を逆手に取ったギミックが多いのも分かってる作りですね。
採点結果次第で、怖がらせ方がエスカレート!?

採点シーンで低評価オバケ待った無しの緩すぎる空気感ですが、主人公との会話や星の付け方でゆ~君も怖がらせ方を学び、成長していくのが面白いところ。
突然大きな音を出して脅かす「ジャンプスケア」を学んだゆ~君はさっそく2日目で活用するものの……。

なんか部屋の隅に銅鑼が置いてあって、鳴らすとデカい音と共にゆ~君が飛び出してくる!「ジャンプスケア」ってそういうもんじゃねーから!
とはいえ、全体的にゆ~君が出て来るスピードが速くなっていたり、効果音が増えていたり、ちゃんと成長も見えるのが丁寧。今度はどうかな?とドアののぞき窓を覗いたら何やらおどろおどろしい音が!

左でゆ~君がドラムとラジカセ活用して自分で鳴らしてました。
がんばっててえらい!

短編なので全エンディング見ても1時間掛からないボリュームで、エンディング分岐のヒントも確認できる親切設計。
クリア後はすべての驚かせ方を探すやりこみ要素もありますが、そこを含めても1時間半くらいでした。立派な悪霊を目指すゆ~君を厳しく評価するか、喜ばせるために全部星3つ付けちゃうかはプレイヤー次第。狭いマンションにバラエティ豊かなイベントをギュッと詰め込んだ構成と、点数の付け方を試したくなるシステムで飽きさせない。
ここまで読むと「ホラーゲームじゃないのでは?」と思うところですが、ルートによってガラリと変わる雰囲気に各エンディングなどでちゃんと怖い要素もあります。少しずつ明らかになる主人公とゆ~君それぞれの背景で魅せるストーリー。そしてゲームだからこそ成立するホラー作品として見事な1本でした。
尖ったアイデアを見事活かした本作の評価は……星3つ!
ライター紹介

双葉ラー油
老舗ゲームブログ『絶対SIMPLE主義』を20年以上運営するブロガー。「知らないゲームを教えたい!」をスローガンに、大作からニッチな作品まで取り扱う。特撮関連の造詣も深い。謎のマスクを被っているが別にプロレスラーではない。