青春は綺麗なだけじゃない……スターツ出版 アンチブルー担当者さんにインタビュー!

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青春は綺麗なだけじゃない……スターツ出版 アンチブルー担当者さんにインタビュー!

イントロダクション

HAPPY! 三度の飯より「本」と「ことば」が大好き、いっちーです!

今回、取材させていただくのは、
2025年3月に創刊したばかりのスターツ出版の新レーベル“アンチブルー”さん!

少し前に取材させていただいた『葉方萌生』さんが、おすすめ本として挙げてくださった、
『青春テロリズム』(朱宮あめ)と『青春小説家の殺し方』(川奈あさ)の二作が気になって読んでみたら、
これが、もう、びっっっくりするほど面白かったんです!


どれくらい面白かったか説明すると、初恋♡生活でもフェアを展開しちゃったほどハマりました……!

それも実はいっちー、こう見えて“暗い話”が大好き。
だからこそ「こんな魅力的すぎる作品をつくっているアンチブルーさんって、どんな方たちなんだろう?」と、話を聞きたくて仕方ありませんでした。

そんな想いが届き……今回、念願の取材が実現!
スターツ出版社にお邪魔して、がっつりお話をうかがってきました!

それじゃ〜いってみよーっ!

アンチブルーってどんなレーベル?

今回は取材させていただき、ありがとうございます!
よろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

 

まずはどういったレーベルなのかを教えてください!

“綺麗ごとじゃない青春”をテーマに新しくできたスターツ出版文庫のレーベル内レーベルです。

その名の通り、これまでのスターツ出版文庫が“余命”や“葛藤”などをテーマに感動を与えるような青春を描いていたのに対して、アンチブルーではそうでないものを中心に描いています。

アンチブルー創刊のきっかけと、その思い

次は「アンチブルー」を立ち上げたきっかけや思いを教えてください。

いろいろ理由はあるのですが、まず、“今の十代の子たちが男女間の恋愛小説に興味がなくなってきた傾向にあるのではないか”というのが一つです。

スターツ出版文庫の作品は恋愛がトリガーとなって成長していくものが多いのですが、近年、それだけでは読んでもらえないという傾向が見えてきました。
それで恋以外の刺激で成長する話を出そうということになりました。

しかし、これまでのスターツ出版文庫のイメージもありますから、それを崩さないために、レーベル内レーベルとして、このアンチブルーが創刊されました。

レーベルのトーンについて

これまでのスターツ出版文庫はさわやかな水色の背表紙なのに対して、アンチブルーは暗い紺のような色合いになっています。
こういったカラーや、デザイン、帯のコピー、レーベルのトーン、全体の雰囲気などはどのように決まっていったのでしょうか?

正直、自分たちの中でもまだ試行錯誤している段階です。

創刊時に刊行した『死んでも人に言えないヒミツ』(雨/著)は、これまでのスターツ出版文庫の雰囲気に近い表紙になっています。

そうしたのは、表紙は今までのものと近いのに内容がちがうと読者にどういう風に届くのかを考えた結果なんです。

 

確かに、こちらの作品は表紙だけ見ると、スターツ出版文庫で刊行されていても違和感がないです!
その後に刊行された書籍ではどう変化していったのでしょう?

その後に出版された『完璧な彼女が死にました』(此見えこ/著)や『青春小説家の殺し方』(川奈あさ/著)、『死んだ彼女が遺した日記』(菊川 あすか/著)などは、タイトルや帯に「死」や「殺」といった文言が入っています。

こうしたのは、今の10代の読者が“刺激の強いホラー”や“モキュメンタリーを好む”という傾向にあるからです。そのため、わかりやすいキーワードを入れるようにしています。

今の時代の青春について

ここまでアンチブルーについて、いろいろお話をうかがってきました。
まさか10代の好みが昔と変化しているとは……お恥ずかしながら、全く知りませんでした。

そこで気になったのですが、今の世代の青春と、自分を含めた大人たちの青春は違うところがあると思います。それでも手に取っていただく人が多いのはどうしてなのでしょうか?

時代の変化に合わせて流行がぐるぐるとまわっているからだと思っています。

たとえばいっちーさんが10代のころって、『恋空』などの青春小説がケータイ小説という形で流行っていましたよね。そのブームが終わった次にはデスゲームやいじめといった刺激的なものが流行しました。その次にまた感動できる青春が流行して、今は再び刺激的なものが流行ってきていると考えています。

確かに! 『リアル鬼ごっこ』とか『バトルロワイアル』とか流行っていましたよね。

スターツ出版文庫で出されている『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が流行したことからも、感動できる青春作品が流行っていたというのにも納得です。

時代によって流行が回っているという話でさらに具体的にお話しすると、例えば毎月2点刊行している文庫のうち、これまではスターツ出版文庫を2点刊行していました。それが状況によってはアンチブルーを2冊、スターツ出版文庫は0冊ということもあります。

編集部として、10代の子に届きやすいものを届けたいという思いがあるからこそ、今はアンチブルーを多く出しています。

小説のコミカライズ化に加え、アンチブルーでも『イジメ返し~復讐の連鎖・はじまり~』(なぁな/著)や『センタクシテクダサイ その絆、本物ですか?』(菜島千里/著)など、かつて刊行された作品を改めてアンチブルーレーベルとして出されていますよね。

これらも“今の読者に届きやすい形”へと再構築された結果なのでしょうか。

スターツ出版では、時代や読者の年齢に合わせて“同じ物語を別のパッケージで出す”という届け方をしています。

 

こうすることで、同じ物語でもさまざまな読者層に届けられると考えているんです。

アンチブルーを創刊したことで、あたかも全く違う方向性の作品を出しているように見えるかもしれませんが、実はレーベルとしての根本“この1冊が、わたしを変える。”というコンセプトは、スターツ出版文庫と同じなんです。

ただ、そのうえで読者に届きやすい物語やジャンルをレーベルとして区分し、それぞれの層に合わせているといった感じですね。

『イジメ返し~復讐の連鎖・はじまり~』も『センタクシテクダサイ その絆、本物ですか?』も、読んでいてとても懐かしい気持ちになりました。
でも、決して古さを感じるわけではなく、今の時代にも刺さるものがあって、むしろ“今だからこそ考えさせられる部分”も多く、とても面白かったです。

「アンチブルー」に対しての反応

3月にアンチブルーが創刊されてから、すでに多くの作品が刊行されていますが、読者の反響はいかがでしょうか。

いろいろとうれしいお声をいただいています。

たとえば、これまで青春や恋愛に興味がないと思っていた子が「これは私のためのレーベルだ」と言ってくださったり、「感動ものが流行っている時代に暗めの話を出してくれて救われた」いうお声もありました。

さらに、スターツ出版に入社してくれた新卒の社員も、「アンチブルー創刊のニュースを見て『これだ!』と思った」と話してくれたんです。
そういう反応を聞くと、ちゃんと届いているんだなと実感しますね。

それは本当にうれしいですね! ぼく自身も“暗い話”が大好きで、そこに強く惹かれて作品を拝読しました。
初めてアンチブルー作品を読み終わった後の衝撃とおもしろさは、今もはっきり覚えています。

ありがとうございます。
実はこれまでスターツ出版文庫で感動ものを書いてきた作家さんから、アンチブルーも書きたいというご相談を受けたりもします。

作家さんのほうからそんな声が上がるのは、すごいですね!
レーベルが読者だけじゃなく、作者の方々にも“表現したい場所”として選ばれている感じがして、その広がりにとてもワクワクしちゃいます。

どうしてそう思われる作者様が多いのでしょう?

おそらく、これまで感動や希望を与える物語を多く刊行してきたスターツ出版文庫の中で、ゴールは同じでもアプローチの仕方が違う「アンチブルー」の作品が好みであったり得意としていた作家さんも中にはいらっしゃるんだと思います。

レーベルとしてのコンセプトとして、伝えたいことは変わらないので、その手法を変えてみたいという挑戦だったりするとも思います。

5年後、10年後のアンチブルー

ここまでお話をうかがってきて、アンチブルーは“時代の流れや読者の変化とともに立ち上がったレーベル”ということが分かってきました。
今後、5年10年と続いていくうえで、どんな姿を目指していきたいと考えていますか?

正直に申し上げると、生まれて間もないレーベルということもあって、この先どう育っていくのかはまだわかりません。
お話ししたように“時代は巡る”ので、いつかアンチブルーのような刺激の強い作品がいったん落ち着くこともあると思います。

ただ、その流行がまた戻ってくる可能性もありますから、スターツ出版文庫と支え合いながら続けていきたいですね。

どちらかが苦しくなったときには、もう片方が支える。
そんな関係で、両レーベルを共存させていければと考えています。

そうして5年、10年、いえもっともっと続いていってほしいです!

ありがとうございます。実はもう一つ考えがあって、それは、“固まってくるとよくない”ということです。

例えばスターツ出版文庫は“ブルーライト文芸”という青春小説を指すくくりで呼ばれるようになってしまったのですが、そのように名前をつけられてしまうと、どうしてもイメージが固定されてしまいます。

アンチブルーの良さの一つが、“自由さ”だと思うので、そののびのびとした空気は保ちつつ、読者が“読みたい”と思うものを柔軟に取り入れていきたいです。
それは内容だけでなく、ケータイ小説のような横書き、漫画、小説、電子、単行本、どんな形でもかまいません。

とにかくその物語を“読者が一番読みたい形”で届けていけるように模索していきたいと思っています。

どんな人に読んでほしいですか

アンチブルー作品はどんな人に読んでほしいですか? 
また、読者のどんな気持ちや状況に寄り添いたいと考えていますか。

多くの人に読んでほしいという気持ちはもちろんあります。

それとは別に、アンチブルーには“人間の核”に触れる作品が多いので、キラキラした物語ではなく、少し影のある物語を好む子や、その問題に悩んでいる人、かつて悩んでいた人にこそ読んでほしいですね。
独特の影を抱えた読者に寄り添いたい、という思いもあります。

たとえば『青春テロリズム』(朱宮あめ/著)という作品では、“一軍女子といるときだけ安心できる”という、心の置き場の難しさを描いています。そうした繊細な感覚を持つ読者に届いてほしいですね。

また、アンチブルーには“アンチ青春エンタメ”としての側面もあります。純粋にエンタメとして楽しんでもらえるのもうれしいですし、それこそいっちーさんのように “どこか懐かしい” と感じてもらえるのも、作品の魅力の一つだと思います。
そういう意味でも、多くの方に楽しんでもらいたいですね。

多くの人に楽しんでもらいたいというお話を聞いて、
「ああ、だからアンチブルー作品は“死”や“いじめ”、“心の闇”といった重いテーマから始まっても、最後には希望が残るんだ」と納得しました。

そうですね。中には絶望で終わる作品もありますが、最後には希望を持てるようにしていただくことが多いです。
それは、先ほどお話ししたように“多くの人に読んでもらいたい”という思いがありますし、悩みがすぐに吹っ切れるわけではなくても、気づきや希望を届けたいという気持ちがあるからです。

そして何より、レーベルの掲げる“この一冊が私を変える”という理念を大切にしているからです。

今後、「アンチブルー」に応募してみたいと考えている方々へ

アンチブルーでは、”あなたにとっての綺麗ごとじゃない青春”をテーマにした新作を随時募集されていますよね。
今後応募してみたいと考えている方に向けて、ひと言コメントをいただけますでしょうか。

現在の傾向に合わせて書くなら、“生きる/死ぬ”というテーマは一つの攻略法になります。

ただ、スターツ出版文庫と根本は同じなので、“自分の気持ちに正直に書く”という姿勢も大切にしてほしいですね。

現在は“読むだけではない読書体験”を募集しているので、座談会を読んで傾向をつかんでもらうのも一つの方法だと思います。

挑戦する人へのメッセージ

最後になにかに挑戦したいと思っている方にメッセージをお願いします!

案外、人生はどうにでもなります。

と言いますのも私自身、実は編集者になろうとは考えていませんでした。でも『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』(冬野夜空/著)という作品に強く心を動かされて……その本への愛情が、スターツ出版への就職を決めるきっかけになったんです。

そんな“ふとした出会い”が、人生を変えることって本当にあると思います。
たとえば目標や夢があったとして、そこから外れた道を通るのも全然いい。そこで得た縁や体験を持ちながら、諦めずに進んでいってほしいですね。

SNSリンク 宣伝情報

スターツ出版は12月に創刊10周年を迎えます。

10周年記念企画の一環として、
「読むだけじゃない読書体験」をテーマにした作品を続々刊行!

第一弾“選ぶ体験”をテーマにした『私を選べばよかったのに』(此見えこ/著)が
スターツ出版文庫アンチブルーより好評発売中!

あなたの選択で物語のラストが変わる――。
物語を読むだけじゃなく、体験として楽しめる仕掛けのある物語です。

他にも10周年を記念した企画をさまざま考案中!
これからのスターツ出版文庫にも、ぜひご期待ください!

■スターツ出版文庫10周年特設サイト
https://novema.jp/article/starts/10th

■スターツ出版文庫公式X
https://x.com/stabunko1

初恋♡生活 店舗情報

『初恋♡生活』ではアンチブルー作品のコーナーも制作してあります!

初恋♡生活 WAKASA&CO. BOOKS

住所:〒461-0005 愛知県名古屋市東区東桜1丁目11

TEL:052‐228‐1577

営業時間:10:00-19:00

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