イントロダクション
HAPPY! 三度の飯より「本」と「言葉」が大好き、いっちーです!
今回取材するのはキツネ月さん。
山に登って、キツネやクマ、シカといった生き物たちを研究しながら、絵や物語を書かれているすごい方なんです!
しかも今回はキツネ月さんの個展にお邪魔して、公開インタビューをさせていただきました。
緊張でいっぱいですが、うまくDEKIRUかな?
それではいってみよー!
キツネ月さんプロフィール

京大の芦生研究林でシカを中心に野生哺乳類の研究をするかたわら、動物の絵を描いたり物語を書いたりしています。
1999年 浜松生まれ。小さいころから動物が大好き
2018年 京都大学農学部森林科学科入学
2025年 京都大学農学研究科博士後期課程入学
2025年 初個展「きつねのきせつ」開催
本を読むことについて
今日はインタビューさせていただき、ありがとうございます。
よろしくお願いいたします!

こちらこそよろしくお願いいたします。
まずは本を読むことについてというトピックスでお話をうかがっていくのですが、その前に本と出会う前のことを聞かせてください。
いったいどんな幼少期を過ごされていたのでしょうか。

変わった子だったと思います。とにかく動物が好きで、動物番組をよく観ていましたし、家の猫を観察するのも好きでした。
小さい頃から動物が身近にいて、その頃から生粋の研究者だったんですね!
家の猫のどんなところを観察されていたのでしょう。
普段の動きに加えて、自分が動いたときに猫がどんな反応をするか、といったことをよく見ていましたね。ちなみにテレビ番組は『生きもの地球紀行』や『ダーウィンが来た』を観ていました。
子ども向けのかと思えば、まさかのがっつりめの動物番組!
個人的には動物のことと言えば、本というイメージがあるのですが、家には動物の本があったのでしょうか。
いえ、自分の家には絵本以外で動物の本はあまりなかったような気がします。絵本はよく親に読み聞かせをしてもらっていたし、あとは兄弟同士で読み聞かせしあっていたのもあって、家の本というと絵本のイメージが強いですね。
兄弟で読み聞かせをし合うなんて、カワイイですね!
その光景を想像すると、ちょっとほっこりします。
子どもの頃は他にどんな遊びをされていたんですか。

ごっこ遊びをよくしていました。動物になりきるのが好きで、とくにインパラが好きだったんです。
友達はプリキュアごっこ、私はインパラごっこという感じで、完全にズレていたと思うんですけど、小さい頃って勝手に別作品同士でコラボしたりするじゃないですか。なのでお互いにやりたい役をやるって感じで、楽しんでましたね。
なんともカオスな空間……! でも想像すると、ちょっとふふってなりますね。
さて、ここからは本を読むことについて話をうかがっていきます。
まず、はじめて読んだ本や、読書にハマるきっかけになった本を教えてください。
はじめて読んだ本は絵本だったと思うんですが、もう思い出せないですね。
でも読書にハマるきっかけになった本はよく覚えています。
シートン動物記の『狼王ロボ』です。
やはり動物の本が、読書にハマったきっかけの本なんですね!
いろいろ動物の本を読まれてきたと思うのですが、その中で『狼王ロボ』がハマるきっかけとなった理由を教えてください。

小学校1年生の頃に読んだんですが、本を読んで涙を流すという体験を初めてしました。
オオカミの生きざまが本当にかっこよかったんですよね。
それまで読んでいた絵本のような、いわゆるデフォルメされたものではなくて、ちゃんと“リアルなオオカミ”が本の中で生きているような感じがしたんです。
キツネ月さんの作品にもとてもリアルなオオカミたちが登場しますよね。もちろん研究をされているというのもあるとは思うのですが、その原点が知れてうれしいです。
次は、これまでの読書遍歴を教えてください。
やっぱり動物の本といえば、椋鳩十さんなどを読まれていたのではないでしょうか。

はい。鳥やシカ、猫、犬など、いろんな動物の本を出されていたこともあって、椋鳩十さんの作品はよく読んでいましたね。
そのほかの読書遍歴で言うと、高校まではほとんど動物の本ばかりでした。
小学校低学年の頃から動物が登場する本ばかり読んでいて、6年生くらいになると動物学など少し難しめの本にも手を出すようになったんです。
高校生になってからは日本の近代文学にハマりました。太宰治や夏目漱石などをよく読んでいたんですが、中でも宮沢賢治の『貝の火』という作品が好きでした。
宮沢賢治の『貝の火』はどんな本なのでしょうか。
これは兎が主人公なんです。川で流されそうになっている小鳥の雛を兎が助けるんですが、それがきっかけで神様から“貝の火”という宝石を授かります。
その宝石は、持ち主の心を映し出す不思議なもので、心が澄んでいるときは美しく輝きますが、少しでも曇ると恐ろしい力を発揮してしまうんです。
兎は最初こそ宝石を大切に扱うんですが、宝を手にした誇りや慢心から、次第に仲間に自慢したり、遊びの中で仲間を傷つけたりするようになります。
そして最後には、その行いの報いを受けることになる……というお話です。
ここでも動物の本! 本当にずっと動物が好きだったことが伝わってきます。
これまでたくさんの動物の本を読まれてきたと思うのですが、その中でどんなシチュエーションやキャラクター、ストーリー展開に惹かれるのかを教えてください!

やっぱり“動物が出てくるかどうか”がめちゃくちゃ大きいですね。
特に、主人公が動物のお話に惹かれます。
その中でも、動物が生き生きとしているというか、ちゃんと“リアルな動物の行動かどうか”も大事ですね。
例えば、斎藤惇夫さんの『冒険者たち ガンバと十五ひきの仲間』のような、動物同士の熱い物語にも惹かれますし、人間対動物の命を懸けた戦いも面白いと感じます。
でも、人間が主人公だとハマり切れないところがありますね。
冒険者たち ガンバと十五ひきの仲間(Amazon.co.jp)
インタビューをしている中で、「デフォルメ」と「リアル」という対照的なキーワードが印象に残りました。
その線引きは、どんなところにあるのでしょうか?

これがなかなか難しい質問でして……。
“その動物らしさ”があるかどうか、というのが大きいと思っています。
物語という特性上、しゃべりだすことがあるのは仕方ないと思うんですよね。
たとえば『ルドルフとイッパイアッテナ』なんかはリアルではないんですけど、すごく猫らしい言動をしていて、そういう作品はデフォルメされているとは思いません。
『ピーターラビット』も立ち上がったりはしますが、きちんと動物を観察して描かれている感じが出ているので、これもデフォルメとは思わないですね。
ありがとうございます。これは本ではありませんが、たとえば実際の動物に吹き出しをつけて話している動画についてはどう思われますか?
それはデフォルメだと思いますね。
いくら画面の中にいる動物が本物だったとしても、本当に思っていないことや、動物の行動とは違うこと――作者の意図や飼い主の思いを勝手に“言わせている”ようなものは、デフォルメに近いと感じます。
もちろん、作品にした時点で作者の意図はどうしても入ってしまうので、その線引きは難しいんですが……。
やはり“動物の行動に基づいているか”“動物の本性が見えるか”が大事だと思っています。
ただ、あくまでこれは自分の価値観なので、そういった作品が存在しているのはもちろんいいと思いますよ。
作品を描くことについて
ここまでは本を読むことについてうかがってきました。
ここからは作品を書くことについて話を聞いていきます。
まずはキツネ月というペンネームの由来を教えてください!

キツネ月は、その名の通り、“狐憑き”から来ています。
私自身、まるでキツネという動物にとり憑かれているのかってくらい、ちょっと狂ったようにキツネが好きだからというのもあります。
でも狐憑きには悪い意味もあるので、憑きを自分が大好きな月に変えて“キツネ月”にしました。
お名前から「狐憑き」がルーツなのかなとは、なんとなく想像していましたが、
“憑き”を“月”に変えたのは面白いですね。
覚えやすくて、かわいくて、しかも好きなキツネも入っている。いい名前だと思います。
ありがとうございます。ちなみに、上から読んでも下から読んでも“きつねつき”になるんです。そこも、この名前がお気に入りな理由のひとつですね。
あっ、本当ですね! それは気づきませんでした……!
次は、はじめて制作された作品について教えてください。

はっきりと覚えているわけではないんですが、小さい頃は“日記みたいな絵本”を書いて親に見せていた記憶がありますね。
覚えている中で、しっかり“作品になったな”と思うのは『ビードロ玉のオコジョ』というお話です。
ファンタジー小説で、オコジョが主人公なんですが、なんとビードロ玉に閉じ込められているところから始まるんですよ。
ビードロ玉の中で出よう出ようともがくオコジョと、その美しさに惹かれて玉を買う少女、そしてそれを売る商人——三者それぞれの物語なんです。
この作品を書き始めた理由は、どんなところにあったのでしょうか?
動物が出てくる話って、多いように見えて実はすごく少ないんです。
特に大人向けの作品ではあまり見かけませんし、児童向けでも“自分が許せるラインの動物観”で描かれているものは意外と少なくて。
“それなら自分で作ればいいんじゃないか”と思って書き始めました。
それが今も描き続けている理由ですね。
はじめて物語を書かれたのは『ビードロ玉のオコジョ』だとお聞きしましたが、
そもそも絵自体を描き始めたのは、いつごろからだったのでしょうか。
絵はずっと小さい頃から描いていましたね。もちろん絵というよりは落書きくらいのレベルだったとは思うのですが、本当にずっと好きで描いていました。
絵の対象は、最初から生き物だったんでしょうか。
そうですね。小さい頃の話で“自分の家の猫をよく観察していた”と言っていたと思うのですが、実は描いてもいました。
ちなみにはじめて作品として挿絵入の本を書いたのは『きつねのきせつ』です。

ここまで「読む話」でも「書く話」でも、“創作物に登場する動物の許せるライン”について語られていたのが印象的でした。
ご自身で書く・描く上でも、やはりこだわりがあるのでしょうか。

やっぱり自分が好きな動物を描きたいと思っています。
こだわりは“擬人化しすぎないこと”。
動物がしゃべるのはいいけれど、“動物の行動としておかしなこと”は描かないようにしています。
たとえば“肉食動物が草食動物を食べたいと思わない”のはおかしいと思います。
お話を聞いていて『あらしのよるに』を思い出しました。あとは漫画ではありますが『BEASTARS』などはそのあたりがきちんと描かれていますよね。
そうですね。とくに『あらしのよるに』はとっても好きな作品です。
ここまで絵の話と、物語を書く話をうかがってきました。
小説と絵を描くときの違いはあるのでしょうか?

絵のほうがフランクに描けて、小説のほうは、どちらかというと“苦しんで書いている”感じが強いです。
絵は“描こう”と思ったらパッと描けるんですけど、小説は頭の中で物語が完結しないと書かないので、そもそも書く機会自体が少ないですね。
ということは、脳内で何十匹もの動物たちが陽の目を見ないまま消えているわけですね。
そうですね。何なら、何百匹かもしれません(笑)。
絵を描くのがそこまで苦しまないでいられるのは、参考資料がたくさんあるからというのもあります。
写真も検索すれば無数に出てきますし、自分が研究してきた動物の資料も手元にあります。
それに、自動撮影カメラで撮った写真や、動物園に行ったときの写真なんかもよく参考にしていますね。
中には、自分が実際に触れてきた動物の骨格をもとに描くこともあります。
骨格から描く! そんなことができるんですね……。
お話をうかがっていて、研究や自然観察と創作が密接につながっているということを改めて実感しました。
ご自身でもそれらがつながっているなと感じることはありますか。

自然の中を歩いていて、急斜面を登らないといけないときなんかは、自分が動物に近づいたように感じることがあります。
体を動かして、自分の頭で考えながら困難な道を乗り越えるとき、人間も動物と同じだなと思うんですよね。
そのときの“感覚や質感”を、文章に落とし込めるように頑張っています。
自分も山と川がきれいな田舎で育ったこともあって、子どもの頃はよく山に登っていました。
お話をうかがっていて、確かに山の中にいると、人間というより“動物の一匹として数えられているような感覚”になることがあったのを思い出しました。
キツネ月さんが研究する中であった山での感覚が、作品の中にたくさん反映されていると思うのですが、
特に「ここは体験が活かされている」と感じる部分はありますか。
私の作品『透明な遠吠え』の中で、仔鹿が現れて、オオカミがじっとしていたら気づかずに遊んでいるというーンがあるんですが、実はそこは私自身の体験が基になっています。
あるとき、森の中でじっとしていたら、目の前の至近距離まで仔鹿がやってきたことがあったんです。
そのときの光景が、そのまま物語に繋がっていますね。
宮沢賢治の『鹿踊りのはじまり』にも似たような場面があって、とても印象に残っています。

『貝の火』といい、宮沢賢治さんは動物の生態をしっかり描かれているんですね……。
ここまで、お話をうかがう中で、“リアルな動物”というテーマがお話の中で一貫してあるように感じました。
動物を描くときに意識している視点やポイントもやはりそこが大事なのではないかと思ったのですが。

はい。とにかく動物が生き生きとして見えるのものを描くことにしています。
なので静止しているよりは動いているほうが多いです。
魅力的に見えるポーズはいくつもあるんですが、私はあくびや伸びをしているところがとくに好きですね。
確かに、今回展示されている動物の絵はどれも躍動感があって、生き生きとしていますよね。
そんな中でも、個人的に気になったのが“ドリル”と呼ばれている動きでして。
ぼくも田舎で育っていて、山の中に入ることはよくあったんですが、ドリルをしている瞬間には出会ったことがなく……。
実家で飼っている犬がやっているのは見たことがあるんですけど、それ以外の動物では、だいたい捕まっているときとか、あまり生き生きしていない瞬間しか見たことがなかったんです。
だからこそ、「えっ、本当にするの!?」と驚きました。
私は森の中に設置したカメラや、実際に森の中で見たこともあります。どんな動物も割とドリルはしますよ。それこそトートバックやキーホルダーにもなっているキツネはイヌ科ですし、犬と似た感じでイメージしてもらえばいいかなと。
ありがとうございます。そのお話を聞いて、トートバックの絵が脳内で動き出しました(笑)
動物の“かわいさ”だけではなく“生態”そのものを描いていると、一貫してお話ししていただきました。
一方で、ぼくは物語の中における動物の役割として“神秘性”も大きいと感じていて。
その中で、特にどの側面を大事に描かれているのでしょうか?
どれもです。見ている人に、その動物の魅力を伝えたいと思ったとき、かわいいが一番わかりやすいと思うんですが、生態も知ってほしいなと思っていて、それで今回の個展では私が実際におこなってきた研究の結果も展示しているんです。
神秘性については特に描こうとは思っていないんですが、生態を描いていく中で自然と浮かび上がってくるのではないでしょうか。
確かにそうですね。
ある種、それは人間が勝手に動物を見て抱く感情であって、描こうとして描けるものではないように思いました。
むしろ意識的に描こうとすると、それこそリアルではなく、デフォルメされたものに近づいてしまう気がします。
そう考えると、人間と動物では、そもそも“書くときの向き合い方”が違ってきそうですよね。
人間と動物を描く/書くときに意識している違いはありますか。
“あまり悩ませないこと”ですね。
人間は未来への不安や、過去の後悔とかで悩みますが、動物は“今のこと”でしか悩みません。
たとえば道を登れないとか、ご飯が食べられないとか、病気やケガで動きづらいとか――そういうことはあると思います。
でもそれも“成り行き”なんですよね。
そこが人間と動物の大きな違いだと思います。
人間って、感情がとても豊かだと思うんです。
それと比べて動物は、感情が瞬間的に激しいことはあっても、たくさんの種類があるわけではない。
いろんなことを考えたり、複雑に悩んだりという豊かさは持っていないんです。
もちろん、はっきりしたことは考えると思うんですが、難しいことまでは考えないと思います。
なのであまり悩ませないように意識して書いていますね。
ありがとうございます。お話をうかがったことで、キツネ月さんの思うリアルな動物の線引きが見えてきたように思います。
次は作品の制作環境について教えてください。
まずは絵を描かれるときの制作環境はどういったものなのでしょう。
これを言うと驚かれるんですが、私、絵は銭湯の番台のアルバイトのときに描いています。
番台のアルバイトが本当に自由で、本を読んでいても課題をやっていてもいいんです。で、私はその時間を利用して絵を描いています。
実は今回の展示作品のほとんどは銭湯で生まれているんですよ。
てっきりたくさんの資料を前に、それこそ研究室などでこもって描いていると思っていたので、銭湯の番台をしているときと聞いて驚きです!
資料も見ながら描いてはいるんですよ。たとえば番台では写真を見ながら描いています。
昔は「何も見ずに書くほうが良いのでは?」と思っていたんですけど、イラストレーター兼ユーチューバーのさいとうなおきさんが「資料を見ないで描いているプロのイラストレーターなんていない」とおっしゃっている動画を見て、「あ、資料って見ていいんだな」と気づいたんです。
それからは資料をよく見るようにしています。
実際に現地で本物の動物を見たり、定点カメラで撮った映像で見たりと資料が膨大にあるというのがすごいですよね。だからこそ、描かれている絵はどれも生き生きとしていて、動物が自然の中で生きている様子がリアルに感じられるんだと思います。
先ほどは絵についてお話をうかがいましたが、物語の制作環境についても教えてください。
もしかして、こちらも銭湯で書かれているのでしょうか。
いえ、小説を書くときには特にこだわりはないですね。
カラオケでみんなが歌っている中で書いたこともあるくらいです。
頭の中の物語を“出力しているだけ”なので、物語が頭の中で完結していれば、パソコンか紙とペンさえあればどこでも書けます。
強いて言えば、夜に書くことが多いかな、というくらいですね。
絵より小説のほうが書くのに苦労しているとおっしゃっていたので、てっきり制作環境にこだわりがあるのかと思っていました。
全然です。あっ、ちなみに、頭の中で考えるときは、森の中でぼーっとしていることが多いです。
それで、気づけば鹿が近くによってきたりするわけですね……すごい集中力です。
そんなふうに自然と向き合う時間が、創作の根っこにあるんですね。
いまは、どんな物語や動物が頭の中にいるのか気になります。
良ければ、次回作を教えていただけないでしょうか。

実は次回作はこれとは決まってはいないんですけど、これまでのようなイラスト集や、小説、短歌といった同じシリーズは続けていきたいですね。
あとはいろいろ絵を書き溜めていって、その絵を見て物語を書くのもいいなと思っています。
それが100とか200ページ分溜まったら、長めの本にもしてみたいですね。
今後やってみたい新しい表現の形などはあったりするんでしょうか。
今のところ絵や文章以外の新しい表現では考えていないのですが、次は“鳥”を描けたらいいなと思っています。
というのも、わたし、バードウォッチングが好きで。 冬の鴨川にいたカモを観察していたら、10種類くらいいて!
そんなにたくさんの種類のカモがいるなんて知らなくて驚いたんですよね。
その鳥たちをモチーフにしたシールを販売できたらと思っています。
新作の物語も動物の絵も鳥のシールも全部楽しみにしています!
本を広げることについて
ここまで読むこと、描くことについてお話をうかがってきました。
ここからはそうして作られた本を多くの人に向けて広げていく活動についてお話を聞いていきます。
いろいろな活動をされていると思うのですが、まずは自分がキツネ月さんを知ったきっかけでもあるシェア型書店での活動についてお話を聞かせてください。
一乗寺BOOKAPARTMENTでの販売を始めようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
あるとき、ふらっと歩いていたらお店を見つけまして。それで入ってみたんです。
店主さんから説明を聞いて、楽しそうだなと思ったので、棚の予約をして、空いたときに連絡をいただいてそれでスタートしました。
どういったことを工夫されていますか?
陳列の仕方です。棚が30センチ四方しかないので、その中でどう見せるかはすごく考えました。
具体的に言うと表紙が見えるように並べてみたり、本だけじゃなくてグッズも置いてみたりしました。

実際にやってみて、反響はいかがでしたか。
私のことを知らない方が買ってくれたことです。
「かわいい」と言って買ってくださることが多いと、店主さんから聞いて、とても嬉しかったです。
ありがとうございます。
では次に、今回開催されている個展についてお話をうかがいます。
まずは、展示会を開こうと思ったきっかけを教えてください。
実は個展は今回がはじめてなんです。
やっぱり個展って、絵を描いている人にとって一つの憧れでもあるので、「いつかはやってみたいな」とは思っていました。
そんなとき、芦生研究林で植物の保全活動をしている『芦生SasaQuercus(ササクエルカス)』で、このギャラリーの方とお会いして、「個展をやってみたいんです」と話したら、「じゃあうちでやってみませんか?」と言っていただけて。
本当にラッキーでしたね。
今回がはじめての個展だったんですね!
そうなると大変だったこともあったのではないでしょうか。工夫した点なども教えてください!
工夫したのは、やっぱり“並べ方”です。
絵と物語の両方が伝わるようにしたかったので、本に出てくる絵ごとに作品を並べて、近くに本の文章を抜粋して置くようにしました。
大変だったのは会場よりも、会場に行くまでです。
家にストックしていた絵の中からどれを使うか選んだり、キャプションや額装を整えたり、事務的な作業が多くて大変でした……。

苦労しながらやっと開催することができたはじめての個展。
反響や実感はいかがでしたか。
たくさんの人が来てくださったのが本当に嬉しかったです。
私のことを知ってくれていて遠くから来てくれた方もいましたし、通りがかりで立ち寄ってくれた方もいました。
中には海外から来て、絵を買ってくださった方もいて……「この絵がロサンゼルスに行くんだ」と思うと、すごく感慨深かったですね。
ロサンゼルスに渡った絵が、また誰かの目に触れていくのかと思うと、すごく感慨深いですね。
たくさんのキツネ好きたちに愛されることを願っています。
次にイベントでの販売について聞かせてください。
まずは参加しようとしたきっかけからお願いします。
最初に参加したイベントは2023年に開催された、第27回ジオアートワークス企画公募展『もふもふしっぽのきつね達展5』です。


こちらはキツネの絵を描いている方たちの公募グループ展です。
ある日、わたしがXでタヌキの絵を載せたら、このイベントの主催の方からいいねがきたんです。
それで興味をもってサイトやXを見たら、参加を募集していたので、応募しました。

もふもふしっぽのきつね達展、なんともかわいいネーミング!
タヌキの絵もかわいいですね! 主催さんがいいねを押されたのも納得です。
実際にイベントに参加されてみて、反響はどうでしたか。
いろんな人が絵を見てくれて、買ってくれるのが本当にうれしかったですね。
すっかりその感覚にやみつきになって、いろんなイベントに参加するようになりました。
不安もあった中で迎えた初めてのイベント。
でも、そこで素敵なお客様との出会いがあって、それが今につながる大切な体験になった。
不安もあったはじめての挑戦が、気づけば次につながる喜びの場になったというのが面白いです。
これからの本の挑戦者へのメッセージ
ここまでインタビューさせていただき、本当にありがとうございました!
最後に、この記事を読んでくれた“これからの本の挑戦者”へメッセージをお願いします。

私は、思い立ったが吉日でここまでやってきたタイプです。
正直、行き当たりばったりなことも多いですけど(笑)、面白そうだと思ったら“とりあえずやってみる”ようにしています。
イベントもそうで、あまり深く考えずに申し込んでみると、出るために作品を作らなきゃいけなくなる。
そうすると自然と手が動いて、気づけば次のイベントではもっと上手くなってる――そんな循環があると思うんです。
だから、もし「作ってみたい」と思っている人がいたら、まずは外に出してみてください。
協力いただいた会場、記事内に登場した場所/団体様
レンタルギャラリー胡々湾
〒605-0033 京都府京都市東山区夷町155−4
利用時間などにつきましてはHPをご確認ください。
HP:https://g-kokowan.com/
一乗寺BOOKAPARTMENT
〒606-8187京都府京都市左京区一乗寺大原田町23-15
【月・火】定休
【水・木】13:00~20:00
【金】13:00~21:00
【夏期】14:00~20:00
一部、休日や営業時間の変更する場合もあります。最新情報はXかInstagramをご確認ください。
HP:https://ichijojibookapartment.my.canva.site/ichijyoji-book-apartment
X:@BOOKAPA_kyoto1
Instagram:@bookapa_kyoto
ジオアートワークス企画公募展について
2015年より企画公募展として共通の好きなテーマ(オオカミ・キツネ・ドラゴン・野生ネコ科など)でお客様と作家様が集えるサロン型の展覧会を大阪市北区中津の「くまのみギャラリー」にて年3、4回実施。数年に一度東京でも開催。
作品グッズ展示販売の他、お客様のリクエストで目の前で描く有料スケブ(コミッション)や作家が講師のワークショップを開催。
有料スケブ・ワークショップともお客様からの参加費全額作家様お渡し、作家様開催費用・机や椅子、電源使用は無料。
HP:https://www.hookjawgeoartworks.com/
近日開催情報

第37回ジオアートワークス企画公募展
「ドラゴンとまぼろしのけもの達展10」
応募受付:2025年11月1日(土)~7日(金)
開催日:2026年2月7日(土)〜9日(月)
期間中無休・入場無料
13:00〜19:00
9日(月)のみ13:00〜17:00
会場:くまのみギャラリー
〒531-0072 大阪市北区豊崎3-20-9 三栄ビル2F

第36回ジオアートワークス企画公募展
「美しき野生ねこ達展3」
開催日:2025年11月22日(土)〜24日(日)
期間中無休・入場無料
13:00〜19:00
24日(月)のみ13:00〜17:00
会場:くまのみギャラリー
〒531-0072 大阪市北区豊崎3-20-9 三栄ビル2F
芦生SasaQuercus(ササクエルカス)
芦生研究林で植物の保全活動をされている団体。
Facebook:https://www.facebook.com/AshiuSasaQuercus/
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イベントの出展情報
2026年1月18日(日) 文学フリマ京都
2026年1月30日(金)、2月1日(日) たぬきのつどい