タイトルが『ぽ』や『へ』や『ぽぽぽぽぽ』!? へにゃらぽっちぽーさんにインタビュー!

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「本」の挑戦者たち
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タイトルが『ぽ』や『へ』や『ぽぽぽぽぽ』!? へにゃらぽっちぽーさんにインタビュー!

イントロダクション

HAPPY! 三度の飯より「本」と「ことば」が大好き、いっちーです!

今回取材させていただいたのは、『ぽ』や『へ』、『ぽぽぽぽぽ』といった不思議なタイトルの本を制作し、文学フリマやコミティアで販売している作家、へにゃらぽっちぽーさん!

数年前、いっちーがはじめて文学フリマに行ったとき、そのタイトルと作者名に度肝を抜かれて、思わず購入。
内容もとっても面白くて、「どんな方なんだろう……いつか話を聞いてみたいな」とずっと思っていたんです。
そしてなんと今回、その思いがついに叶いました!

それじゃ、いってみよ~!

今日はインタビューを受けてくださり、ありがとうございます。よろしくお願いします。

こちらこそ、よろしくお願いします!

まずは“本を読むこと”について、いろいろお聞きできたらと思うのですが。
幼少期はどのように過ごされていたのでしょうか。

今回、取材のお話をいただいて、いろいろ幼少の頃を思い出してみたんです。
そのときにどうしても「ドラえもん」の存在があったんですよね。

ドラえもん! それは漫画ですか? アニメですか?

どっちもです。
私は5歳まで田舎に住んでいたんですけど、近くの本屋さんで買って読んでいました。
その一冊を、ぼろぼろになるまで何度も読んだ記憶があります。
家にはVHSで録画したドラえもんの大長編があって、それもよく観ていましたね。

へにゃらぽっちぽーさんのやわらかな世界観は、たしかにドラえもんとも通ずるところがあるような気がします。
次の質問は、“はじめて読んだ本”や“読書にハマるきっかけになった本”についてなのですが、やはりドラえもんになるのでしょうか。

そうですね。小さい頃からいろいろ読んではいたんですが、そのなかでも『ドラえもん』は大きいと思います。

ただ、はじめて読んだ本という意味では、やっぱり小さい頃は絵本も読んでいました。
たとえば『はらぺこあおむし』とか『三びきのやぎのがらがらどん』とか。
ドラえもん以外にハマった本で言うと、『ミス・ビアンカの冒険』とか。
『シャーロック・ホームズ』のシリーズや、『もしかしたら名探偵』も好きで読んでいましたね。

はらぺこあおむし(Amazon.co.jp)

三びきのやぎのがらがらどん(Amazon.co.jp)

ミス・ビアンカの冒険(Amazon.co.jp)

もしかしたら名探偵(Amazon.co.jp)

それらの本たちとは、どんなふうに出会われたんでしょう。

特別な出会いってわけじゃなくて、昔から学校の図書室とか図書館に行くのが好きで、よく本を読んでたので、その中の一冊といった感じですね。

図書館でシリーズものだとずらーっと並んでることが多くて、それを見ると「読んでみたい!」って思っちゃって。とくに『シャーロック・ホームズ』は当時から名前を知ってたので、手に取りやすかったです。

最初に読んだホームズの話は、『まだらの紐』です。そこからハマってシリーズを読むようになりました。
中でも一番好きな作品は『ボヘミアの醜聞』ですね。

シャーロック・ホームズの冒険(Amazon.co.jp)

※『ボヘミア王のスキャンダル』というタイトルで収録

漫画に小説まで! 小さい頃から本を読むのが好きな子どもだったんですね……。
そういった小さい頃の経験で、今の作品づくりに影響してると感じることはありますか。

やっぱりドラえもんですね!
もちろんこれまでたくさん本を読んでいて、無意識に影響を受けている作品もあると思うんですけど、やっぱりドラえもんがルーツかなと。
なんてったって、今でも読み返すことがあるくらいですから!

ここでもドラえもん! やっぱり根っこがそこなんですね!
特に、どんなところがつながっていると感じますか。

“テンポの良さ”ですね。
少ないページ数の中で、アイテムの説明もキャラクターの味もあって、ちゃんと起承転結がある。
それでいてテンポが良いのが『ドラえもん』のすごいところです。

自分の作品は短編なので、とくにそういったところが影響を受けていると思いますね。

テンポ感がドラえもん譲りと聞いて、なんだか納得です。
さくさく読めて、ほっこりして、ちょっとかわいい。そんな感じもどこかへにゃらぽっちぽーさんの作品と通じている気がします。
 
ここまではドラえもん中心に話をうかがってきましたが、
次は、最近読んだ本の中で、これ良かったな、面白かったなというおすすめの一冊を教えてください。

円城塔の『去年、本能寺で』です。

去年、本能寺で(Amazon.co.jp)

戦乱の世にシンギュラリティ到来!? 歴史とSFが交差する珠玉の全11篇。

アシカガ・ショーグネイト崩壊後、AIは長足の進歩を遂げる。軍事AIが合戦を司り、文事AIが詩歌、楽曲の生成に勤しむ世界で、つわものたちは何を思惟するのか? 歴史小説のはずが、ミステリあり、スペースロマンあり、アイドル活劇あり、異世界転生まであり! 何でもあり! 円城ワールド全開の奇想迸るSF時代劇!

(Amazonより引用)

挙げてみて思ったんですが、彼も影響を受けた作家の一人かもしれません。
好きでよく読む作家なのですが、なんといっても語り口が軽妙なのがいいんですよね。
他に影響を受けた点で言うと、身もふたもない話をしているところ。それでいて真面目な話をするところかなと思います。

あらすじを読むだけで、“身もふたもない話をしているところ、それでいて真面目な話をする”がどういうことかよくわかります。
まさに“円城塔ワールド!”って感じがたまらないですね。

ここまで本の話を聞いていると、本以外にも影響を受けたものがあるのでしょうか。
たとえば、最初にドラえもんのお話をしていただいたときもアニメを観ていたとおっしゃっていましたよね。

時代というのもあると思うんですけど、ひとつは『エヴァンゲリオン』ですね。
といっても、リアルタイムで観ていたわけじゃなくて。放送から3〜4年くらい経ってから、レンタルショップで借りて観たんですよ。
毎週アニメを追うのがちょっと苦手でして。だからよくレンタルショップで借りてまとめて観ることが多かったです。

かといって、アニメにすごくくわしいというわけでもないんですけどね。

どういったアニメ作品を観られていたんでしょう。

『エヴァンゲリオン』の他は『フリクリ』とかですかね。
最近だと配信ですが、米澤穂信の『小市民』シリーズとか、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』とか。

これらの作品の共通点は“キャラクターがそれぞれ好き勝手に動いてるところ”です。
そのドタバタした感じも影響を受けているかもしれませんね。

庵野秀明さんやカラー作品を好まれて視聴されていたんですね!
『小市民』は自分もリアルタイムで見ていました。たしかにどの作品もキャラクターがそれぞれ独自の考えをもって動いていて、それがストーリーをいろんな方向にもっていくのが面白いですよね。

次は、アニメから本に話が戻ってしまうのですが、へにゃらぽっちぽーさんが本を選ぶときのポイントを教えてください。

これまで読んできた好きな作家の本や、その作家が紹介している本を読みますね。
それで面白ければ、その作家の別の作品も読むようになります。

あとは、好みの合う友人からの紹介ですね。“このひとが面白いというのなら、きっと面白いだろうな”といった感じで読んでいます。

今でも本屋さんで、気になる本を探されるのでしょうか。

はい、本屋は好きなのでよく行きますよ。
でも、全体を見て回ろうとすると時間がかかっちゃうので、決まった作家の棚や、好きなレーベルやジャンルの棚を見ることが多いですね。
たとえば、早川文庫や創元推理文庫、ミステリ・フロンティアなどはよく見ます。

本を書くことについて

ここまでは、本を読むことについてお話をうかがってきました。
ドラえもんが根底にあるということがわかって、そこからミステリやロボットもののアニメなど、幅広い作品に触れつつも、やっぱりすべてがドラえもんにつながっているという流れがとても印象的でした。

ここからは、本を書くことについてお話を聞いていきます。
 
まずやっぱり気になるのは「へにゃらぽっちぽー」というこのお名前! どんな由来があるんでしょう。

最初はただの挨拶だったんです。「へにゃらぽっちぽー!」って、こう片手を挙げて言う感じの。

その挨拶を続けていたある日「へにゃらぽっちぽー兄さん」という言葉を思いつきまして、そこから「へにゃらぽっちぽー兄さん」という概念が頭の中に生まれたんですよね。

まさかの挨拶がはじまり! この「へにゃらぽっちぽー」には、どういう意味や経緯があったのでしょうか?

それがですね……
「へにゃらぽっちぽー」が生まれた経緯も意味も、実はよくわからないんですよ。

えええ! まさかの“誕生不明”!
でも、なんとなくそのゆるさも、へにゃらぽっちぽーさんっぽい気がしますね。

名前は自然発生とのことですが “本を書くこと”についてはどうだったのでしょう。

へにゃらぽっちぽー兄さんは「兄さん」ということなので、妹もいるなって思ったんです。
それは多分「へにゃぽちゃん」だなぁとか、そんなことを考えていたら書いてみたくなりまして。

それで書いたのが『ぽ』の巻頭に収録されている『ぐるぐる』という作品です。

『ぽ』より引用『ぐるぐる』

できた作品を印刷して、紙になった自分の作品を見て「やっぱり紙といえば本だ!」と思ったので、本にすることにしました。

名前と同じく、作品も自然に生まれてきたんですね!
実際に本が完成したとき、どんな気持ちになられましたか。

完成したときは、やっぱりうれしかったです!
手に取ってぱらぱらめくった瞬間、「本になってる!」って感動しましたし、読んでいるうちに、「やっぱりへにゃらぽっちぽーは愉快だな」って思いました。

あとは段ボールを開けたときの話なんですが、『ぽ』の表紙がずらっと並んでいて、それがとても愉快で面白かったです。
これは今でもそうで、新刊の箱を開けるときはウキウキします。

段ボールを開けたら『ぽ』の字がいっぱい……。想像するだけでふふっと微笑んでしまいます。

そんな愉快な「へにゃらぽっちぽー」ワールドですが、制作するときに大切にしているテーマやメッセージはありますか?

よくぞ聞いてくれました。
実は……ないんです!

えっ! テーマやメッセージが、「ない」!?

はい。ありません。
私は「意味をつけようとしてつけたくない」んですよね。
勝手に意味ができてしまったり、ついてきてしまうものではあると思うんですけど、自分から設定はしません。

といっても、「絶対に意味をなくそう!」と思っているわけでもなくて。
自分が“身もふたもない物語”が好きなので、書いていると自然とそうなっていくんです。

修正するときに「読者にこう思ってもらおう」といった作者の考えが入ってしまわないのでしょうか?

まったくないですね。
というのも読者のためというよりは自分のため。自分が読んで“しっくりくる”ように直しているからです。

キャラクターやストーリーの流れを変えるというよりは、“文章の感覚”が自分に合うように整える感じですね。

たとえるなら、陶芸作品を作るのに近いです。磨いたり、削ったり、足したりと、形を整えたりするときって、買ってくれるひとのことを考えて、というよりはいかにその作品が良いものになるかを考えるじゃないですか。

なるほど! お客様目線ではなく、“自分が納得するかどうか”というわけですね。
 
メッセージやテーマがないとなると、作品のアイデアはどのように生まれるのでしょう。

なんとなくです。ふとしたときに思いついたことをスマホのメモに書くようにしているんですが、“アイデア”というよりは“単語”に近いですね。
たとえば“大仏さん”が出てくる話があるんですが、それも大仏という単語のメモから作りました。

メモした当時も多分なんとなく“大仏”のことを考えてたんだろうなっていうくらいの、ゆるいアイデアです。

思いついたアイデアは、そこからどう形になっていくのでしょう?

その場で深く考えずにパーッと書くこともありますし、書きかけのままぽーんとほったらかすこともあります。
それで、たまにそのメモを見返して、書きたくなったら書くといった、これまたゆるい感じでやっています。

執筆はそのままスマホでされているんでしょうか。

はい、基本はスマホです。
ある程度形になって、本にまとめる段階になったらWordやPDFにしますが、それまではスマホだけで書いてますね。

というのも、パソコンだと「さあ書こう!」って気持ちをつくるまでが大変で、
開いて、起動して……ってなると、もうその時点で腰が重くなっちゃうんですよね。
でもスマホなら、ふと思いついたときにすぐ書けますし、ごろごろ寝転びながらでも、移動中でも書けます。
自分の性格的に、その“気軽さ”がすごく合ってるんです。

たしかに、『ぽ』には“パソコンでじっくりカタカタ”というより、“スマホでごろごろしながら書いた”といわれたほうがしっくりきます!
修正では、スマホとパソコンどちらを使用しているんですか。

両方使っています。スマホだと横書きですが、Wordだと縦書きになりますよね。
他には印刷して読んでみたり、上下を逆さまにして読み直したりもします。
そうやって“いろんな形で見る”ことで、ミスを見つけやすくなりますし、意外な発見もあるんです。

『ぽ』や『へ』や『ぽぽぽ』について

へにゃらぽっちぽー兄さんはへにゃへにゃと、へにゃぽちゃんはにゃぽにゃぽと、いろいろなひとたちがやいのやいのとしています。わくわくと、にこにことしてしまいます。
「ぽ」は短編集なので、一冊でいろいろなお話を読むことができるすぐれものなのです。べんりだなあ。

文学フリマWebカタログ+エントリーより引用。

『ぽ』より引用『へにゃらぽっちぽー教』

ここまではへにゃらぽっちぽーさんの読むということ、書くということについてお話をうかがってきました。
ここからはついに『ぽ』や『へ』『ぽぽぽぽぽ』『へにゃぽ』といった作品たちについてのお話を聞いていきます。
 
まずはこのタイトルについて教えてください!
いったい、どういった経緯で『ぽ』をはじめとした不思議なタイトルになったのでしょう……。

まず、答えからお話すると、この『ぽ』は、へにゃらぽっちぽーのぽ、です。
いざ“本にする”となったときに作者名だったり、タイトルだったり、絶対に必要なものってあるじゃないですか。

『ぽ』になったのは、一作目ができたとき、今後も書き続けるだろうな、そうなるとまたタイトルを考えないといけなくなる。それが面倒だと思ったのがはじまりです。
『ぽ』だったら二作目は『ぽぽ』三作目は『ぽぽぽ』でいいし、という感じで決まっていきました。

あとはあまりタイトルに意味をつけたくなかったというのもありますね。
ちなみに、作者名のほうは、この本がへにゃらぽっちぽーの話だから、作者名もへにゃらぽっちぽーでいいか、となりました。

まさか面倒だったからというのが理由だったとは!
それがある日『へ』になったり『へにゃぽ』になったのはどうしてなんでしょう。

あるとき、買ってくれたひとから「どこまで買ったかわからない」というちょっとした苦情がきたんです。自分も、これ以上『ぽ』が増えていくと、管理が難しくなるなと思って、『ぽぽぽぽぽ』で終わりました。

でもやはりタイトルに意味はつけたくないし、へにゃらぽっちぽーが出てくるお話なのは変わらないし、やっぱり面倒くさいしで、じゃあもう次は『へ』でいいやって感じで『へ』が生まれました。

その頃、年一で新刊を作っていたのもあって、5年くらいは持つだろうなとも思いましたし、ちょうどおならの話もでてくるので、今思うと『へ』がベストでしたね。

ただ、『へ』も『へへへへへ』まで来てしまったので、次は『ら』や『に』や『ぶ』かなぁと考えているところです。
その点『へにゃぽ』というタイトルは理由が明確で、単純にへにゃらぽっちぽーの妹のへにゃぽちゃんが主人公だからです。

こちらも面倒だったからが理由なのが面白いですね! 次はどのひらがなになるのかも楽しみです。
 
これらの作品はどんな読者に届けたいと思って作られたのでしょう。

メッセージやテーマと一緒で、誰かに届けよう、こういう読者に向けてという思いはありませんね。
でも、読んで楽しんでもらえたらいいなとは思っています。

あとは自分がいろんなところに出店しているので、いろんなまちにへにゃらぽっちぽーの本があるというのが面白い、愉快だなーと思いますね。

へにゃらぽっちぽーがいろんな街のいろんな場所にひっそりと存在しているのを想像して、ふふっとなりました。
 
次は作品の制作にあたりこだわった点や工夫した点を教えてください。

すべて一話完結にして話のつながりを作らないことで、どの作品からでも読めるようにしています。
なのでテキトーな一冊を選んで、テキトーに開いた短編を読んでいいんです。

たしかに、『ぽ』の巻頭『ぐるぐる』でも、へにゃらぽっちぽーが何者かといった説明は一切なされません。その後に登場するキャラクターもほとんど説明がなく、登場人物たちの関係性はへにゃらぽっちぽーとへにゃぽちゃんが兄妹ということ以外はほぼないですよね。

これがあえてだったんだと知って驚きです。

次はこの作品を販売しようと思ったきっかけや、販売する際のエピソードを聞かせてください。

『ぽ』ができたとき、長机にへにゃらぽっちぽーが並べられている図を想像して「この本が売ってたら愉快だな」と思ったからです。

たしかに。自分もブースいっぱいに『ぽ』や『へ』が並んでいるのに驚いて購入したのを覚えています。

ありがとうございます。
私にとって即売会は本屋さんごっこなんです。そもそもが、へにゃらぽっちぽーごっこですしね。

誰に頼まれたわけでもなく勝手に描いて、勝手に作って、勝手に売っている、というのもふくめてへにゃらぽっちぽーらしいし、愉快だなぁと思っています。

ここまでお話をうかがってきて、“へにゃらぽっちぽーらしさ”とはなにかが少しつかめてきたように思います。
 
これまで文学フリマやコミティアなど、たくさんの場所で販売されてきたと思うのですが、販売する際にした工夫や大変だったエピソードがあったら教えてください。

実はですね。これといって大変だと思うことも売れるためにした工夫もないんですよ。

あっでも、昔と今の販売ブースを比べて、洗練されたなーとは思います。
例えば、へという形の置物が増えたんですよね。あとは陳列の仕方も整ってきたなと思っています。

陳列の仕方が本当にユニークですよね。それこそ、段ボールを開けたときのお話のように、平積みでばーっと『ぽ』や『へ』たちが並んでいるのが印象的です。もしかしてこれが工夫では?と思ったのですが。

はい。あえて平積みにしています。でもこれは工夫というわけではないんですよね。

もちろんおっしゃっていただいたように『ぽ』や『へ』が並んでいるのが面白いというのもありますが、実は段や面陳列のセッティングが面倒だったり、平積みにしたら、売れてもしばらくは補充する必要がなくて楽だからだったりします。

ここでも面倒というのが理由なのが面白いです。
本にした時点で「これはなんだろう」と思ってもらえるようになっているので、シンプルな陳列のほうがあっているのかもしれませんね。
 
これまで実際に読んだ方から寄せられた声や感想で印象に残っているものはありますか。

たくさんあります。まずは「古代の神話のようだ」といわれたことですね。

神話って現代から見るとめちゃくちゃじゃないですか。身もふたもない感じというか。神様がそれぞれの行動原理があって、自分勝手に動いている感じとか。そういうところをへにゃらぽっちぽーからも感じたらしいです。自分が観もふたもない話が好きなので、うれしい感想でしたね。

次に「脈絡がない」と「読んだ後に何一つとして情報が増えない」というのは確かにと思いました。これもへにゃらぽっちぽーらしくていいなと思います。

どれも素敵な感想ですね。「脈絡がない」や「読んだ後に何一つとして情報が増えない」と自分が言われたら、絶対にへこんでしまいますが「そこがいい」「へにゃらぽっちぽーらしい」となるのが、この作品ならではです。

そうですね。あと一つ面白い感想というか、反響がありまして!

あるとき、ブースに親子で来てくれたことがあったんです。そのときにもってきてくれた『ぽ』がぼろぼろだったんですよね。自分も小さいときに『ドラえもん』をぼろぼろになるまで読んでいたので、それくらい読んでくれたんだというのがうれしかったです。

それは素敵ですね!

それだけじゃないんです。なんとへにゃらぽっちぽーのトイレットペーパーくんが出てくるはなしでトイレトレーニングを済ませましたと言われたんですよ!

トイレットペーパーくんの話はたった5行くらいの作品なんですが、まさかそれがトイレトレーニングにつながるなんて考えてもいませんでした。

こういった感想も含めて愉快だなぁ、へにゃらぽっちぽーらしいなぁと思いますね!

『ぽ』より引用『トイレットペーパーくん』

これからの本の挑戦者へメッセージを

ここまでへにゃらぽっちぽーさんについて、読む書く売るといった方面からお話をうかがってきました。
『ぽ』や『へ』や『ぽぽぽぽぽ』などの作品同様、愉快で面白い話ばかりでした。
 
改めてへにゃらぽっちぽーさんにとって「本」とはどんなものか教えてください。

作られた一つの世界だと思います。書いたひとが作った世界を堪能できるのがいいなと思いますし、自分で書くひとは好き勝手に世界を作ることができるのも魅力です。

最後にこれからの本の挑戦者へメッセージをお願いします!

これはとても難しい質問ですね……。
先ほど話したように自分はテーマやメッセージを届けたくて書いているわけではないので。
なので、自分が読者の立場で思っていることを話します。

私は、そのひとが「好き勝手に作った世界を読みたい」と思っています。

文脈がどうとか、他作品との類似性だとか、ジャンルのお約束ごととか、読者の顔色をうかがうような作品ではなくて、そのひとが好きなものを好きなように書いたものを読みたいんです。

なので共感できるような作品よりは、新しくて、読んでワクワクするようなものを書いてほしいです。
他のひとを書いているものを自分が描く必要はありません。自分が読みたい文章がどこかにあるなら、それを読めばいいですからね。

もちろん作品を書く上で多少の共感部分はあると思いますし、無理に変なことをしようとすると、逆にそれが透けて見えて冷めてしまうこともあると思います。

なので何も気にせずに好きなものを好きなように書いてほしいですね。

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今後の出展予定

2025年
11月30日(日)新潟コミティア
12月14日(日)みちのくコミティア

2026年
1月18日(日)文学フリマ京都
2月8日(日) 文学フリマ広島
2月15日(日) 山奥で同人即売会
5月4日(月・祝) 文学フリマ東京

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連載

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