ゲーム開発Vtuberユニット「ぴくせれ~ど!」インタビュー後編:ホラーガチ勢が開発する新作『かくれ鬼』に込められたこだわり

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ゲーム開発Vtuberユニット「ぴくせれ~ど!」インタビュー後編:ホラーガチ勢が開発する新作『かくれ鬼』に込められたこだわり

ゲーム開発Vtuberユニットが手掛けるホラーゲーム『かくれ鬼』とは

身体をぷるぷる震わせながらこの原稿を書いています。

ゲームライターのタダツグです。

これは寒さからくるものなのか、はたまた〆切への恐怖からくるものなのか……。

さて、ゲーム開発者として作品を制作する傍らで、Vtuberとしても活動している「ぴくせれ~ど!」のメンバー3人と仕事の先輩として彼女たちを導く「ぶらっくぴくせれ~ど!(Black Pixelade)」のお2人をお迎えしてのインタビュー企画の後編。

インタビュー前編はこちらから。

今回は、彼女たちが制作を手掛けるホラーゲーム『かくれ鬼』へのこだわりや、開発エピソードをお聞きしていきます。

「ぴくせれ~ど!」公式Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/@pixelade_channel

参加メンバー

ぴくせれ〜ど!

朱珠ウララさん

うーたまぽよさん

七縹ななはさん

ぶらっくぴくせれ~ど!(Black Pixelade)

ニャンディ・ステラさん

詩々鼠ちるさん

夜の廃墟で肝試し? ガチ勢がホラーゲームを作るとこうなる

前編では「ぴくせれ~ど!」の誕生秘話や、メンバーの人となりについて教えていただきました。後編では、皆さんが開発に携わっている『かくれ鬼』にスポットを当てていきたいと思います。

皆さんが本作を手掛けるにあたって、最もこだわっている部分はどこになりますか?

チーム全体でまず最初に考えたのは「夜の学校の怖さの共有」でした。学校というものは多くの皆さんが通ったことがある場所なので、体験を共有しやすいんですよね。そんな日常の延長であるはずの学校が、「夜」になることで一気に見え方が変わったりする。そういう日常のなかの非日常というか、異世界感とでもいうべき不思議な違和感の表現というのは開発コンセプトとしてあります。

夜の学校っていうだけで怖いじゃないですか。それでいてちょっとワクワクする部分もあると思っていて。そういうところをフックにしたくて、いろいろと試行錯誤しています。

事件に巻き込まれる子どもたちのデザインがすごくかわいいのも印象的でした。こんなかわいい子たちが神隠しにあって大変なことに……。

『かくれ鬼』ポスター画像

プレイヤーにスッと感情移入してもらえるよう、主人公たちはできるだけかわいくしようと話し合って、今のデザインに仕上がりました。子どもたちに感情移入すればするほど、彼らが怖いと感じるものへの共感も大きくなると思うので。

夜の学校というと……音楽室のピアノとか、理科室の標本とか。そういう「怖いパーツ」みたいなものも共通認識としてありそうですね。

そういった小道具的なものもできるだけ盛り込みたいんですよ。これはエンジニアさんとの相談になるんですけどね。

開発にあたって、実際に夜の廃墟に肝試しに行ったりしました。私として正直ちょっと嫌だったというか、めちゃくちゃ怖かったんですけど(苦笑)、実際に自分たちで体験したからこそわかった部分もたくさんあって。今となっては行ってよかったなって思ってます。

やっぱり最初は嫌だったんだね(笑)。

怖かったので(汗)。
でも、たとえば独特の暗さとかライティングとかは参考になったんですよね。「ここにこういった光が当たると、こんな影が落ちるんだ」といったリアリティは、現場で体験したからこそ理解が深まった部分です。懐中電灯を持って廃墟の中を回ったんですけど、思った以上に光が届かないんですよ。ほんと、一寸先は闇というか、少し先ですら全然見えない状態で……。

教室のシーン。確かにこの暗がりは不安を煽ります。

自分も暗がりは苦手なので聞いてるだけで怖いんですが……(汗)。

あそこで味わった恐怖感は、しっかりゲームに落とし込みたいです。でも、あまりにもリアルに寄せすぎると、光が全然届かないから「何も見えない!」となって、ゲームとしての面白さが半減すると思うので。そこらへんのさじ加減はメンバー内で相談しつつ決めていきたいです。リアリティとゲームらしさを両立させつつ没入感を深めていきたいな……と。

光の処理って本当に奥が深いんですよね。古い学校ならではのホコリっぽさとか、そういう「空気感」みたいなものは、恐怖の表現に欠かせないものだとわかりました。あの肝試しでの体験は本当に貴重だったので、こだわりを詰め込んでいきたいです。

子どもたちがかわいいのに対して、鬼がめちゃくちゃ不気味なのも怖さにつながってますよね。実際にゲーム画面でも見せていただきましたが、まさか鬼があんなに大きいとは思ってませんでした。

鬼! ドアと比べると、その大きさがよく分かります。

そのギャップもこだわりポイントではあります。子どもたちがかわいいぶん、鬼はできるだけ不気味にしようとデザインしましたので。

動きのアニメーションにもこだわっています。子どもたちの走り方は小走りというか、デフォルメされたかわいさがあるんですが、一方で鬼の走り方は歩幅やモーションをまったく別ものに変えていまして。鬼って現実に存在する生き物ではないので、私たちとは動きの制約自体が違うと思うんですよね。それを念頭に入れて、不気味さが際立つモーションを模索しているので、暗がりで追いかけられたらきっと驚いてもらえると思います。

鬼に追いかけられるななな。逃げて!!

『かくれ鬼』は人間側だけではなく、鬼側も操作できるっていうところも重要なんです。自分が恐怖を植え付けられたものを自身の手で操作すると、また少し違った世界が開けると思います。

マルチプレイならではの楽しさもあるでしょうし製品版を遊べる日が楽しみです。
ちなみに開発中のちょっとしたエピソードなんかもお聞きしていいですか? じつはちょっとした心霊現象に遭遇したり……みたいな。まあそう都合よく何かが起こるとも思ってはいませんけど(笑)。

それが……実際にちょっとあるんですよね。ちょうど肝試し体験に行った後から開発機材にトラブルが出たり、動画配信中に不具合が発生したりといった、原因不明の現象が……。

なにそれ怖いッ!!!

いずれも「ものすごく困る!」ってものではないので、イタズラ好きな何かがついてきちゃったのかも……なんて話しています(笑)。いやあ~、不思議なことってあるものなんですね。

そんな楽しそうに言われましても……。あまりにも頻発するようなら何か対策を考えた方がいいかもしれませんね。なんだかこっちのほうがビビってしまいました(苦笑)。

え、カニさん!? 今、電話しました?

いや、していないですよ。さっきからずっとみなさんのお話を聞いているので、そもそもスマホに触ってないです。

でも確かに着信履歴に「DEKIRU!編集部カニ」って書いてある……(パニック)。

心霊現象ですか? インタビュー中にきましたね!!

やだ、怖いッ!!

あ、DEKIRU!編集部内に同じ苗字のメンバーがいるので、そっちじゃないですか?

!!

ちなみにインタビューはじめる前に電話したんですけど、カニさんの着信履歴に残ってますか?

ないですね。たぶん、タダツグさんは最初から別のメンバーにかけていたんだと思います。

なーんだ(笑)。

ぽよさんは残念そうですね(笑)。

そういうことか……。マジで何か出たかと思いました(苦笑)。

開発者とVTuber。2つの顔を持つからこそ感じられること

『かくれ鬼』はゲームイベントへの出展なども積極的に行われているようですが、プレイヤーさんの生の声が聞けるというのはいかがですか?

とても貴重な体験だと思っています。イベント出展でプレイヤーさんと一緒に『かくれ鬼』のマルチプレイで遊んだりもするんですが、私たちが考えてもみなかったプレイをされたり、応援の言葉をいただけたりして、いつも本当に新鮮なんですよ。

グラフィックやキャラのモーションを褒めてもらえるとやっぱりうれしいですね。開発者冥利に尽きるというか、モチベーションがググッとアップします。

みなさんはVtuberとして、ある意味タイトルの広告塔的なポジションで前に出るわけですが、それが結果的に開発者としてのモチベーションにつながるのはとても素敵だと思います。

まさに「ゲーム開発Vtuberユニット」ならではの体験をさせていただけていると感じていて。「二足のわらじ」に思われるかもしれませんが、両方の活動が地続きになっている部分があると思っています。どちらにも全力投球しながらこれからも活動を続けていきたいですね。

配信でコメントを書いてもらえたり、SNSなどでファンアートを描いてもらえたりするのもうれしくて。見つけたらみんなでずっと眺めていたりします(笑)。

コメントやご意見も、必ずしもいいことばかりではなく、時にはちゃんと厳しいお言葉をいただくこともありますが、わざわざそれを書いてもらえること自体がありがたいんですよね。無関心が一番怖いですから、リアクションをいただけることにはすごく価値があると感じます。

ちなみにこのお話を聞いているのは2025年の12月。
ここで「ぴくせれ〜ど!」の皆さんに、2026年の野望をお聞きしてもよろしいですか?

2026年の野望……やっぱり「バズりたい」。これに尽きます!

すごくシンプルな野望が元気よく飛び出してきましたが(笑)。つまりは有名になりたいってことですか?

はい。「ぴくせれ~ど!」としてもそうですし、来年発売を予定している『かくれ鬼』もそうですが、ちゃんと世の中に受け入れてもらって、多くの皆さんに楽しんでもらえるコンテンツになれたらいいなって思います。

そのためにも、まずはしっかり開発を進めて、『かくれ鬼』をちゃんと発売させないといけないのですが……。やっぱりバズらせたいっていうのはメンバー内の共通認識としてありますね。「ぴくせれ~ど!」って配信やイベントで楽しそうなことやってるけど、このユニットが作ったゲームもちゃんと面白いよねって言われるようになりたいです。

「ぴくせれ~ど!」って名前を聞いたら、「ああ、あのゲームを開発してるユニットだよね」ってすぐにわかってもらえるくらい浸透させていきたいです。

後輩たちからすごく頼もしい言葉が出てきました。先輩としてはいかがですか?

5人で一緒に登っていきたいって思いは、ちるたちのなかにもありますよ。「ぶらっくぴくせれ~ど!(Black Pixelade)」もがんばります。

では最後に、今ゲーム開発者になりたいと思っている人やVtuberとしての活動に興味がある方へ向けてアドバイスなどもらえたりしますか?

私たち自身もまだまだ駆け出しのひよっこなので、アドバイスというのもおこがましいですけど……。やっぱり自分が「面白い!」と思ったことや「これがやりたい!」って感情を大切にしてほしいなって思います。

これはゲーム開発やVtuberに限ったことではないと思いますが……何か新しいことに挑戦しようとすると、大きな壁にぶつかることも多いと思うんです。それでも諦めずに熱意をもって挑戦し続けることが、何よりも大切だと私たちは思っていて。失敗を恐れて立ち止まったり、足踏みしたりしているくらいなら、いっそ前に出てしまった方がいい。人の目なんて気にせずに、自分のやりたいという気持ちを大事にしてもらいたいと思います。そこから始まるものがきっとあると思うので!

4カ国語を勉強して今この場に立っているニャンディさんが口にした言葉となると、すごく説得力がありますね。力強いメッセージだと思います。皆さんが開発を進める『かくれ鬼』のリリースが楽しみです。本日はお忙しいなかありがとうございました!

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