イントロダクション
HAPPY! 三度の飯より“本”と“言葉”が大好き、いっちーです!
と名乗っておきながら、さっそくほかの好きなものの話をしちゃうのですが、
実は、ボードゲームも大好きなんです!
大学時代には、毎日のようにボードゲームばかりしていましたし、
初恋♡生活で、短歌のボードゲーム会を開催したことも!
そんな私・いっちーが今回取材するのは、“1up!”さん。
なんと大学生でありながら、自作のボードゲームを制作し、
ゲームマーケットなどで販売されている方々なんです。
「いつか自分でも作ってみたいなあ」と密かに夢見ているいっちー、
さっそく取材を申し込んでみたところ――なんと、まさかの快諾! 本当にありがとうございます!
それではさっそく、いってみよー!
1up!さんプロフィール

京都の芸大生が立ち上げたボードゲームの企画制作プロジェクトです!
日常の中で面白くないと感じることをゲームによって改善することで、世界をより明るく楽しいものにしたいと考え、制作しています。
これまで制作されたゲーム



それぞれのゲームについてや、購入ページは記事の最後にまとめてあります。
第1章:出会いと衝撃ーーはじめての“ボードゲーム体験”
本日は、取材にご協力いただき、ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
Q1. まずは、お二人それぞれのボードゲームとの最初の出会いを教えてください。
小さいころからもともといくつかはやっていたので、最初がどれかは忘れてしまいまして……。今でも印象に残っているものになるのですが、『ナンジャモンジャ』です。

『ナンジャモンジャ』紹介
『ナンジャモンジャ』は、頭と手足だけの謎生物ナンジャモンジャ族が描かれたカードが中央の場に次々とめくられるたびに、その人のセンスで特徴を捉えた名前を付け、それを全員で覚え、以降、めくられたらその名前をいち早く叫ぶことで溜まったカードを獲得し、集めた枚数を競うゲームです。
商品ページ
https://sugorokuya.jp/p/nanjamonja
販売元:すごろくや
高校生のとき、自由時間にプレイしたんですが、終始笑いが絶えなくて!
みんなでワイワイやって楽しかったのことが今でも記憶に残っています。
ナンジャモンジャ! いいですよね。最近はナンジャモンジャのおしりバージョンが発売されて話題です!
ルールが簡単で、初心者でも楽しめるいいゲームですよね。自分も、初めての人とボドゲをするときはこのゲームを選ぶことが多いです。
私は『人狼ゲーム』がボードゲームとの最初の出会いです。
小学校の休み時間や放課後に遊んだんですよね。最初は簡単なルールから始めていくんですけど、慣れてくると役職を増やして、ルールを複雑にしていくんです。なので全然飽きなくて、暇さえあればずっとやっていました!


『会話型心理ゲーム 人狼COMPLETE』紹介
人間になりすましている狼はだれだ!?
基本役職から個性的な上級役職まで、全てが詰まったシリーズ最大パック!
司会者をランダムで決定できる司会者カードも収録!正体を隠して人間に紛れる「人狼チーム」と、言動から推理して人狼を暴く「市民チーム」の生き残りをかけたチーム戦。
加えて、どちらのチームにも属さず、正体を隠しながら単独勝利を狙う第三の勢力も多数収録。
全28種の役職で飽きることのない複雑な展開が楽しめるほか、基本役職のカードが複数枚あることで2グループの同時プレイも可能。
だれが味方で、だれが敵か。
会話による駆け引きから、騙すスリルと見破る快感を味わえる!
商品ページ
https://www.gentosha-edu.co.jp/book/b611154.html
販売元:株式会社 人狼
お二人とも学生時代にボードゲームと出会われたんですね!
Q2. お二人がこれまで遊んだボードゲームの中で、「これはおもしろい!」と思った作品を教えてください。
私が面白いと思ったゲームは『ミッドナイトカクテル』です。

『ミッドナイトカクテル』紹介
手札の見えない暗闇のBARで、自分と同じカクテルを持つ相手と乾杯を狙う 推理×戦略ゲーム。
ここは月灯りだけで営業する、真っ暗闇のバー。
このバーでは、自分と同じカクテルを持つ相手と乾杯をすると
なぜか幸運が訪れるという不思議な噂が。
しかし、店内の明かりはほとんどなく、
誰が何のカクテルを飲んでいるかは見えません。
さあ、バーで交流をしながらカクテルを推理し、
自分と同じカクテルを持つ”運命の相手”と乾杯できるでしょうか?
商品ページ
https://liquorgamersclub.jp/
発売元:LIQUOR GAMERS CLUB
お酒を題材にしたボードゲームなんですが、プレイヤー同士が敵にも味方にもなるのが面白いんです。
乾杯したら得点になる、というのもユニークですし、先の展開が読めないので、ポイントが取れたときはすごくうれしいし楽しいんですよね。
私が面白いと思ったゲームは『テストプレイなんてしてないよ』です。

『テストプレイなんてしてないよ』紹介
ゲームの目的はズバリ「勝利すること」。カードに書かれた「○○すれば勝利する」という条件を満たすか、他のプレイヤー全員を敗北させればOK。しかし、なかには「××すれば敗北」するといったカードもあるので要注意。
他人にドラゴンやレーザーを押し付け、子猫の待ち伏せを避け、プレゼントを手に入れよう! 場合によっては10秒でゲームが終了することも!?
あってなきがごとしのルールを根底からくつがえす「混沌」拡張パックも同梱。
ゲームの合間に、パーティーのお供にぜひお楽しみください。商品ページ
https://www.groupsne.co.jp/products/bg/playtest/playtest.html
制作=グループSNE
これは、これまでのボードゲームの常識、ルール設計をくつがえしたすごい作品なんです。
このカードを引いた人の勝利、みたいにすぐに終わるカードなんてものもあるんですよ!
それはすごいですね! ルールがカードに書かれたとおりになるというのも面白いです……。
タイトルの通り、本当にテストプレイをしたのか、これ?ってなります。
Q3. 次は、最近気になっているボードゲームやずっと好きなバイブル的な作品を教えてください。
文具ゲームズさんが出された『まっくらダンジョン』です。

『まっくらダンジョン』紹介
ノートに書いた自作ダンジョンを冒険するローグライク文具ゲーム。
地下迷宮を手探りで探索する1人から遊べるローグライクゲームです。 上下左右ABのコマンドで主人公を操作し、暗闇に潜むモンスターを倒しながらダンジョンに散らばったレリック(秘宝)を集めましょう。 クリアファイルと5mm方眼ノートで遊ぶ「文具ゲーム」です。
商品ページ
https://booth.pm/ja/items/4298876?srsltid=AfmBOopJgANvrfGu3t_QEe7n3Gb29LAwS95Cd77JsIovtJXEg1yLBBiK
販売元:BUNGU GAMES
このゲーム、実はまだやったことはないんですが、私たちがボードゲームを作るときのコンセプトである“日常を面白くする”と通じているところがあって、とても気になっているんです。
ClaGlaさんの『教祖爆誕 たった今くだった神託で君を救うよ。』です。

『教祖爆誕 たった今くだった神託で君を救うよ。』紹介
『たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。』初のスピンオフ作品!
プロポーズの次は…神のお告げ!?
「壺」「邪悪な」「は見ています」「クーリングオフ」「聖なる」「最終戦争」など、さまざまなワードが書かれたカードを組み合わせ、即興で神のお告げを作るワードパーティゲーム!
シリーズ累計30万部の大ヒット作『たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。』のルールはそのままに、全く別の世界観が楽しめます!
商品ページ
https://www.clagla.jp/view/item/000000000121
発売元:ClaGla
『たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。』では告白の言葉を考えるゲームだったのに対して、『教祖爆誕』では神様のお告げの言葉を考えるんですよ。
人生で告白の言葉を考えたり口にすることはあっても、神託を考えることや口にすることってないじゃないですか。そういう日常ではできないことを体験できるというのも面白いなと思って、気になっています。
第2章:個人の挑戦 ーー 「作り手」になろうと思ったワケ
ボードゲームとの出会いは、特別な場所ではなく「日常のすぐそば」にあったお二人。
学生時代、休み時間や放課後に、友達と夢中で遊んだボードゲームの記憶。
そのときに感じた「楽しい」という感情が、今の制作やコンセプトへとつながっているように感じます。
この章では、「遊ぶ側」から「作る側」にもなったお二人が、
その一歩を踏み出したきっかけや、これまでに制作してきたものについてうかがっていきます。
Q4. ボードゲームをただ遊ぶだけではなく、「自分でも作ってみたい」と思ったきっかけはどのようなものがあったのでしょう。
ヴィレッジヴァンガードなどのお店でボードゲームが並んでいるのを見て、「いつか自分の作ったゲームも、ああいう場所に並んだら面白いな」と思ったことが、作り手を意識するようになったきっかけです。
先ほど、初めて触れたボードゲームとして『ナンジャモンジャ』を挙げましたが、それよりももっと小さいころから、クレーンゲームやすごろくが好きで、遊ぶことはずっと身近な存在でした。
そうした経験もあって、大学ではゲームデザインを学んでいます。
世の中には、こんなにもたくさんのボードゲームがあるんだと知ったことが、きっかけです。
それまでの自分は、ボードゲームにはそこまで種類があるものだと思っていませんでした。
YouTubeでゲーム実況を見始めて、お店で目にしているゲームは、膨大にある中のほんの一部にすぎないんだと知って、強い衝撃を受けたんですよね。
しかも、作っているのは大きな会社だけではなく、個人や小さな会社も多い。
それを知って、「自分も挑戦してみたい」と思うようになりました。
Q5. 実際に作ってみて、どのような壁にぶつかってこられたのでしょうか。
一番多かったのは、同じような作品にならないようにすることでした。
先ほど立石が「世の中には本当にたくさんのボードゲームがある」とが言いましたが、それはうれしいことと同時に、その中でオリジナル性を出さないといけない、ということでもあるんです。
最初は、いろいろなボードゲームを遊びながら、「いいところ」を取り入れていくところから始めました。
実際、私たちが制作した『無課金』も、すでに似たタイプの作品があり、そこからどう個性を出して差別化を図るかで悩んだんですよね。

それを、どのように解決されてきたのでしょうか。
カラオケにこもって、さまざまなボードゲームの要素を参考にしながら、設定した条件を少しずつ変えて、何度もテストプレイを重ねていきました。
そのたびに足りない部分が見えてきて、それを一つずつ解決していく中で、「これだ」と思えるアイデアが生まれてきたんです。
そうして見つけたポイントのひとつひとつが、この作品ならではのオリジナルになったと思っています。
Q6. 制作していて「これが楽しい!」と感じる瞬間はどんなときでしょうか。
いいアイデアが出て、そこから発想がどんどん広がっていく瞬間ですね。
気づくと没頭していて、「ああ、いまゲームを作っているな」と実感できる時間でもあります。
一気に完成に近づいている感じがして、大変ではあるんですが、それ以上に楽しいです。
Q7. これまで作った作品の中で、特に印象に残っているものはありますか。
一番最初に作った『モンスタークレーマー』です。

それまでにも試作品はいくつか作ってきましたが、プロジェクトとして本格的に動かし、販売まで行ったのはこの作品が初めてでした。
試行錯誤の連続だった分、思い入れのある作品です。
Q8. ボードゲームは、どのような順序で作られていくのでしょうか。
まず、私たちがボードゲーム制作をするうえで大事にしているのが、「日常をゲームで面白くすること」です。
そのため、日常の中で面白くないことや、少し困ってしまうことから発想することが多いですね。
たとえば『モンスタークレーマー』は、身近にいると正直困る存在じゃないですか。
でも、それを「いるよね、こういう人!」と笑いながら楽しんでもらえたらいいな、というアイデアからスタートしました。
そこから、まずはボードゲームカフェに行って、さまざまなボードゲームを試遊します。
どんなゲームがあるのかをリサーチしながら、使えそうな要素をピックアップしていくところから制作を始めています。
「日常をゲームで面白くすること」というコンセプトからアイデアをとらえ、既存のゲームから使えそうな要素を抜き出しつつ、オリジナリティも加えていく。
ボードゲーム制作は、足して引いてを繰り返しなんですね……!
Q9. 箱やカードなどのデザインはどのようにして制作されているのでしょうか?
制作に必要なものはいくつもあって説明が難しいので、今回はカラーやイラスト、紙や箱のデザインにしぼってお話しします。
『モンスタークレーマー』では、黄色と黒という“危険”を連想させる配色でいこうと考え、その方向性を先生に見てもらいながら指導を受けました。
先生もチームの一員なのですね!
はい。私たちの活動には、マネジメントやデザインをチェックして下さる先生がいて、その先生と一緒に作り上げているんですよ。
イラストについては、通っている大学が芸大ということもあり、デザインやイラストが得意な友人がたくさんいます。そうした人たちにイメージを共有して、制作をお願いしています。
紙のデザインについては、印刷会社をいろいろ調べて、『紙が薄すぎるのは嫌』など条件を出しながら、できるだけ安く、でも納得のいくものを探していきました。
カードの角を丸くしたり、箱を詰めたり、キャラメル箱を組み立てたりといった作業も、自分たちで行っています。
先生は、私たちがやりたいことや、まだ言葉になっていないイメージを汲み取って、形にしてくれる存在ですね。
第3章:チーム1up!誕生ーーそれぞれの得意分野とチームの色
こうして話を聞いていくと、お二人の制作は、
「思いついたアイデアを形にする」だけではなく、
試行錯誤を重ね、他者の力を借りながら磨き上げていくプロセスそのものだったことが見えてきます。
個人の興味や衝動から始まった挑戦は、
やがて役割分担や協力関係を生み、
一人ではたどり着けなかった形へと広がっていきました。
この章では、そんな制作の積み重ねの中で生まれた
チーム「1up!」の成り立ちと、
それぞれの得意分野、そしてチームならではの色について、話を聞いていきます。
Q10. チーム『1up!』はどういった経緯で始まったのでしょうか。
私たちの京都芸術大学にはちょっと変わった授業があるんです。
それが“ねぶたを作る授業”で、私たちと先生、三人とも、そこで出会いました。それぞれ学科も違っていたので、ねぶた制作が終わったあとは一度バラバラになってしまったんですが、「また何か一緒にできないかな」と思って。それで、プロジェクトとして立ち上げたのが『1up!』なんです。
ただ友人でいるだけでなく、プロジェクトという形を選んだのはどうしてでしょう?
私たちが制作することが好き、というのが一つですね。
ただ、だらだらと一緒にいるだけじゃ、せっかくの大学生活が無駄になってしまいます。どうせ集まるなら「お互いに成長できることをしよう」ということになって、お互いに好きだったボードゲームを制作することにしたんです。
Q11. チーム名「1up!」の由来を教えてください!
理由は二つあります。まず、それぞれが活動を続けていく中で成長できるように、という“ステップアップ”の意味です。
そしてもう一つが、私たちのやっている活動がボードゲーム制作なので、 「ゲームっぽいのがいいな」というところから、『1up!』という名前になりました。
Q12. 実際に活動する中で、お二人の関係性はどう変化されていきましたか?
ずっと仲良しで、あまり変わらないですね。そもそも、ねぶたの授業のときからずっと一緒にいたので、ボードゲームの活動を始める頃には、互いの特性や不得意なこともある程度わかっていました。なので、お互いの足りないところを補い合うような関係です。
仲が良すぎて、制作途中でおしゃべりしてしまうことも時にはありますが、やるときはやる二人だと思っています。
それは仲良しですね! しかし制作中、意見が分かれることもあるのではないでしょうか?
意見が分かれることは、全然普通にあります。でも私たちは「自分の意見のほうがいい!」みたいに、強く自己主張することがあまりないんです。
互いに、そっちの方向に行きたい理由を聞いて、中間を選んだり、納得できた理由のほうを選ぶようにしています。たいてい理由を聞いたら納得して「じゃあそれでいこう!」となっているので、喧嘩にはならないですね。
Q. 13 活動の中で「これが『1up!』らしさだな」と思った瞬間はありますか?
ゲーム制作とはちょっと違うんですが、即売会などのイベントに行くときに、テンションが上がる格好をすることですね。
お客様に商品を楽しんでもらうためには、売っている自分たちのテンションが低いとダメだと思っています。
まずは自分たちが思いっきり楽しむ。そのために、二人で服装を統一したり、好きな格好や気合の入った格好をするんです。」
確かに、即売会では作り手の空気感も伝わってきますよね。
ただ制作するだけでなく、“お客様に受け取ってもらう”ところまで大事にされているのが素敵だなと感じました。
一応、ゲーム制作のことも一つお話ししておくと、一つのイラストにさまざまなデザインのパターンを作るようにしていることですね。私たちは学生とはいえ、芸大生ですから、クオリティに妥協はしたくないと思っています。
Q14. 作品づくりで特にこだわっている部分はどこですか?
テーマ設定です。“日常をゲームで面白くする”というのは絶対にぶれないようにしています。
というのも、膨大にゲームがある中で、ほかのゲームにはルール設定だけではなかなか勝てません。なので私たちは、テーマ性でお客様が“おっ”となるように意識しているんです。
さきほど、“お客様に受け取ってもらう”ところまで大事にしているとおっしゃっていただきましたが、まさにそこを意識していて、そのテーマ性が、よりシンプルに、よりわかりやすく伝わるよう工夫もしています。
例えば『モンスタークレーマー』は、販売するときに大きな旗を出して、「モンスタークレーマーだって! 面白そう!」といった感じで、関心を引くようにしているんです。
お話をうかがって、テーマをどう伝えるか、受け取り方まで含めて設計されていると知り、細部までのこだわりに驚きました。
Q15. そうした制作姿勢を、チームで続けていく中で、ボードゲームを「一人で作る」のとは違う、“個人では得られなかった発見”はありましたか?
全然違う学科で、授業も仕事もそれぞれ違う人たちなので、クリエイティブ視点やマーケティング視点など、いろんな視点で制作できるのが面白いですね。意見もたくさん出ますし、自分一人では思いつかないけれど、聞いたら“いいね!”と思えるものにたくさん出会います。
例えば、林さんはゲームデザインをやっているのでゲーム性の視点、立石さんはASPとしてプロデュースの視点、先生はデザインの視点から意見を出してくれます。そうした違う視点が重なることで、チームで作る面白さを実感しています。
第4章:リアルな反応ーー届いた声と、心に残るエピソード
こうして話を聞いていくと、チーム『1up!』の制作は、「思いついたアイデアを形にする」だけのものではありませんでした。
制作が好きという純粋な動機から始まった二人の挑戦は、テーマを定め、伝え方を考え、互いの得意分野や異なる視点を持ち寄ることで、少しずつ輪郭を持っていきます。
意見が分かれることも、試行錯誤も、すべては作品をより良くするためのプロセス。その積み重ねの中で、一人ではたどり着けなかった形や発想が生まれていきました。
チームで作るからこそ生まれる色、空気、そして姿勢。それらが『1up!』という名前のもとに結実していることが、今回の取材から見えてきます。
そして次に気になってくるのは、こうして丁寧に磨き上げられた作品が、実際にどのように受け取られてきたのかということ。
この章では、即売会やイベントの現場で届いた“リアルな反応”や、心に残っているエピソードについて、話を聞いていきます。
Q16. 実際にあったお客様の反応を教えてください。
『モンスタークレーマー』については、「こういうクレーマー、いるよね~」と言ってもらえることが多いです。
『無課金』も、「こういう体験、したことある!」と反応してもらえることがあって。人の日常にリンクして、共感してもらえるところが、面白さにつながっているという実感があります。
「面白い」「なるほど」と言ってもらえることが多いですね。特に、複数人で来てくれた方にルール説明をしているときに、お客様同士が「お前もこういうとこあるよな~」と言いあったりしていると、ゲーム性を理解してもらえた気がして、すごくうれしいです。
Q17. いただいた反応の中でも印象に残っている感想やエピソードはありますか?
2024年の東京ゲームマーケットですね。初出店だったのですが、そこで『モンスタークレーマー』を販売したときのことが特に印象に残っています。
お昼頃に一度立ち寄ってくれたお客様が「また来ます」と言って、私たちのブースを離れたんですよね。
でも、そのあと本当に戻ってきてくれて!
「全部回ったけど、これが一番面白そうだった」と言ってくださったんです!
それはうれしいですね。実際に足を運んで、選んでくれたうえで戻ってきてくれたというのは、作り手としても大きな手応えだったのではないでしょうか。
そうなんです。購入してくださった方が、YouTubeなどで発信してくださったこともありましたね。
「自分たちの知らない人にまで作品が届いているんだ」と感じられて、とても印象深かったです。
Q18. お客様の反応で、「ボードゲーム制作をやっててよかった」と感じた瞬間を教えてください。
やっぱり「買います」や「ください」と言われた瞬間ですね。自分の作品にお金を出して買ってもらえるというのが、すごくうれしくて。ああ、やっててよかったな、と思える瞬間です。
手に取ってもらえたときですね。自分たちが考えたアイデアを、「面白そう」と思ってもらえたことが伝わると、自分で作ったものがちゃんと届いたんだ、という実感があります。
第5章:これからの挑戦ーー未来の作品づくりと目標
即売会やイベントの現場で返ってくる言葉は、数字や評価では測れない、確かな手応えとして二人のもとに残っていました。
「こういうクレーマー、いるよね」「全部回ったけど、これが一番面白そうだった」。
そんな何気ない一言一言が、自分たちのテーマやアイデアが、誰かの日常とつながった証として胸に刻まれていきます。
作品を手に取ってもらえた瞬間、そして「買います」「ください」と言われた瞬間に感じる喜びは、迷いながら続けてきた制作の時間すべてを肯定してくれるものでした。
こうしたリアルな反応の積み重ねが、二人にとって「続けていく理由」そのものになっていることが、取材を通して伝わってきます。
では、これらの経験を経た今、二人はどんな未来を思い描いているのでしょうか。
第5章では、これから挑戦していきたいことや、未来の作品づくりについて話を聞いていきます。
Q19. 今後、どんなボードゲームを作っていきたいですか?
“日常をゲームで面白くする”というテーマは、これからも変えずに大事にしていきたいです。そのうえで、これまであまり遊んでもらえていなかった年齢層や、コミュニティの人たちにも手に取ってもらえるようなゲームを作っていきたいですね。
Q20. 将来の夢や、チームとして目指していることはありますか?
社会人になってからも、定期的に集まって活動を続けていきたいですね。
今後は、ネット販売や、企業の方に委託して販売するといった形にも挑戦していきたいと思っています。ちなみにネット販売については、近々始める予定です。
Q21. もし「わかさ生活」「初恋♡生活」「えほん生活」「謎解き生活」とコラボするとしたら、どんなボードゲームを作ってみたいですか?
まず『初恋♡生活』なら、恋愛の中で感じる“しんどさ”を、少しポジティブに変えられるようなゲームを作ってみたいですね。
『えほん生活』は、子ども向けのものに挑戦してみたいです。年齢でいうと、2歳くらいから遊べるようなものですね。私たちはこれまで小学生くらいまでを想定したゲームは作ってきましたが、その下の年代はまだ作ったことがなくて。挑戦したことのないターゲットなので、すごく面白そうだなと思います。
絵本を使った遊びもできそうですし、アナログならではの“触れる”楽しさを大事にしたいですね。
例えば本の中に出てくる“ふわふわの雲”をイメージしたカードとか。もふもふしたカードがあって、絵本をより立体的に感じられるゲームとか面白いんじゃないかなと。
『謎解き生活』については、正直、今のところはっきりしたアイデアはまだないんですが……。
ただ、リアルな行動につながっていくようなカードゲームは面白そうだなと思っています。「これから私たちはどうする?」みたいに、選択や行動を促す形の謎解きは、『謎解き生活』らしさが出るかもしれません。
第6章:メッセージ
第5章で語られたのは、これまで積み重ねてきた経験を土台にしながら、これからどこへ向かっていくのかという、二人の視線の先でした。
“日常をゲームで面白くする”というテーマは変えずに、これまで出会えていなかった年齢層やコミュニティへと、遊びの輪を広げていきたい。その言葉からは、作品づくりを一過性のものではなく、続いていく営みとして捉えている姿勢が感じられます。
社会人になってからも活動を続けたい、ネット販売や委託販売にも挑戦していきたい——そんな具体的な目標の中には、現実を見据えながらも、創作を手放さない意志がにじんでいました。
そして、「もし作るとしたら?」。
あくまでお題として投げかけただけの質問でしたが、二人の表情は一気に真剣なものへと変わります。その場で次々とアイデアが飛び交い、「あーでもない」「こーでもない」と言いながら、自然と研磨するところまで話が進んでいきました。
その熱のこもった視線と会話からは、取材を通して何度も感じてきた“ボードゲームが好き”という気持ちが、ひしひしと伝わってきます。
これまでの歩みと、これからの挑戦。その両方を見据えた先にあるのは、きっとまだ言葉になっていない想いです。
最後の第6章では、そんな二人から、これからボードゲームを作る人や、挑戦しようとしている人へのメッセージを聞いていきます。
Q22. お二人にとって、ボードゲームとは?
自分の伝えたいことを、世の中の人に伝えるための手段ですね。本や映画など、いろいろな方法はあると思うんですけど、そのなかでもゲームは自然と笑顔になれるところがあると思っています。
また、嫌なことも、考え方や見方を変えれば楽しくなるよ、ということを説教臭くなく、楽しく伝えられるのもゲームならではですね。
私はゲームのことを“人の反応や、ゲームをしている場そのものをデザインするもの”だと思っています。
作っているときも、「こういうふうに楽しんでくれたらうれしいな」「こう考えてくれたらいいな」と想像しながら作っていますし、実際に触って楽しんでもらえるのは、テレビゲームなどにはないボードゲームのもつアナログならではの良さだと思います。
Q23. 最後に、これからボードゲーム制作に挑戦したい人へ、メッセージをお願いします。
難しく考えすぎないのが大事です! 自分が純粋に「面白い」と思ったものや、「好き」と思ったものを突き詰めていって、その中にルールを詰めていくといいと思います。
そもそも自分の好きなものから始めると、楽しく続けやすいと思います。
先生から言われた言葉なんですが、「自分の癖(へき)を出せ」という言葉が、まさにその通りだなと感じています。
自分なりのこだわりを持ってほしいですね。キャラクターデザインでも、ルールでも、なんでもいいと思います。こだわりがあるからこそ、買ってもらえたり、共感してもらえたりして、うれしい瞬間につながる。
「ここが好き」と言ってもらえるような、自分だけのこだわりを持ってほしいです。
まとめ
取材を通して見えてきたのは、
チーム『1up!!』のボードゲーム制作が、
単なる「作品づくり」ではなく、
人の日常や感情と、まっすぐ向き合う行為だということでした。
身の回りにある“ちょっと困ること”や“言葉にしにくい違和感”をすくい取り、
それを笑いや共感に変えていく。
そのためにテーマを磨き、伝え方を考え、
ときには立ち止まり、試行錯誤を重ねてきた二人。
“日常をゲームで面白くする”。
その言葉は、決して軽いキャッチコピーではなく、
二人が何度も確かめながら歩いてきた、制作の軸そのものなのだと、強く実感させられました。
これから先、まだ出会えていない人や、
まだ遊んだことのない年齢層へと、
『1up!!』のゲームは広がっていくでしょう。
その一手一手が、
誰かの日常を、ほんの少しだけ楽しくしていく。
そんな未来を想像させてくれる取材でした。
SNS・リンク
販売
https://1up-project.booth.pm/
作品の詳細

作品名:モンスタークレーマー
【内容・特徴・おすすめポイント】
迷惑客を撃退せよ!
モンスタークレーマーを倒して、ポイントを競い合うカードゲームです。カードデザインはシンプルながら、ネーミングはクスッと笑えるような内容になっています。協力 or 見捨てる要素などがあり、友人やコミュニティで遊ぶと盛り上がります。
ストーリー
あなたは初めてのアルバイトで「不満天国 九条店」の採用が無事決まりました!ところが、ここはモンスタークレーマーがたくさん集まるブラックな職場…。さあいよいよ初勤務です。アルバイト仲間と協力してモンスタークレーマーを撃退しましょう!
■プレイ人数:3〜6人
■プレイ時間:10〜15分
■対象年齢:8歳〜
■価格:2,000円
■発売時期:2024秋

作品名:無課金
【内容・特徴・おすすめポイント】
無理のない課金でライバルを倒せ!
キャラLvとスキルLvをあげて、ライバルと競い合うカードゲームです。
毎ターン4つの選択肢「課金」「チクる」「集中」「お手伝い」からカードを選び、これを7ターン繰り返します。「課金」選択時に、他プレイヤーが「チクる」を選択していた場合、信用Lvを失います。親の信用を得ながら、他プレイヤーにバレないようにLvを目指します◎
ストーリー
小学生の僕は、7日後に友達とゲームをすることになった。
それまでに強くなりたーい!!
課金をすれば、簡単に強くなれるけど、、、
課金しすぎると親にバレて、ゲームが没収されちゃう。
無理のない課金(無課金)で、7日後に備えよう!
▪️プレイ人数:2〜4人
▪️プレイ時間:10〜15分
▪️対象年齢:8歳〜
▪️価格:2,000円
▪️発売時期:2025秋

作品名:おひとり様
【内容・特徴・おすすめポイント】
ソロ活してるのだーれ?みんなの偏見大喜利ゲーム!!
◯◯(場所)で××(行動)していそうなおひとり様を当てる大喜利ゲームです。
カードの裏表に場所と行動がそれぞれ記載しているのみで、ゲーム内容もシンプルです。コミュニティや友人と是非偏見で盛り上がってください!
▪️プレイ人数:2〜4人
▪️プレイ時間:10〜15分
▪️対象年齢:8歳〜
▪️価格:2,000円
▪️発売時期:2025秋