イントロダクション
どうも〜こんにちは!「名物書店員を目指している」でおなじみ、いっちーです!

二歩目の記事「いっちーと『はつ恋生活』店内ツアー」はどうだったかな?
お店に来てくれたら、実際にリアル店内ツアーもしちゃいますよ!
実は記事を掲載したあとも、店内にはたくさん変化があって、さらに面白くて楽しい場所になってるんです!
でも、その模様をリアルタイムですべて記事に載せるのはなかなか難しい……!
だから、よかったらぜひお店に遊びに来てください!
うれしすぎて、たぶん店内ツアー2周しちゃうかも!

さて、今回は「名物書店員」の肩書、ちょっとだけ外しちゃいます!
そのかわりにまとうのは――『無類の本好き』という二つ名!
一歩目の記事でも少し触れましたが、ぼくはいわゆる“重度の本好き”。
月に10冊以上、年間だと120冊以上読む生活を、かれこれ10年近く続けています!
そんな日々を送っていると、恋愛本だけでも紹介したい本が山ほどあるんですよ〜。
でも今回は、なんとか! 5冊にまでしぼりこみました!
内容も、語りすぎないように気をつけます。
が……もしテンションが上がって話が長くなっていたら、
「まったくもう、これだからいっちーは〜」と、
昔からの仲みたいにやれやれ顔で読んでいただけるとうれしいです。
それでは、いってみましょ〜!

ーー本連載では、日本初の恋愛本専門店『はつ恋生活』で名物書店員を目指すスタッフ“いっちー”の奮闘を通じて、店舗の様子やおすすめ情報をお届けしていきます。

いっちーの店内オススメ本紹介
紹介する本リスト(敬称略)
・リカバリー・カバヒコ/青山美智子(小説)
・クラスメイトの女子、全員好きでした/爪切男(小説)
・しなのんちのいくる/仲曽良ハミ(コミックエッセイ)
・某/川上弘美(小説)
・光のとこにいてね/一穂ミチ(小説)
記念すべき紹介一冊目はこれ!

リカバリー・カバヒコ/青山美智子 著/出版:光文社
あらすじ
5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。
近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで“リカバリー・カバヒコ”。
アドヴァンス・ヒルに住まう人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。
誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。
(青山美智子 リカバリー・カバヒコ 特設サイト | 光文社から引用)
いっちーの紹介
この作品で、一つだけネタバレします!
カバヒコは動かないし、しゃべりません!
……そりゃそうだろ!と思ったそこのあなた。
いやいや、これ、実はけっこう大事なんです。
だってもし本当に、カバヒコが裏で暗躍していて、触ったところを治してくれていたら――それってもう、まったく別の話じゃないですか!
でもこの物語のすごいところは、「本当にカバヒコに“触ったところを治す力”があるんじゃないか」と思わせてくれるところなんです。
それくらい自然に、静かに、物事がいい方向へ向かっていくんですよ。
まるで神さまのご利益かってくらいに。
もちろん、撫でた瞬間すべてがうまくいくわけじゃないし、「こうなってほしい」と願った通りに物語が動くわけでもありません。
むしろ、「え、逆に悪化してない!?」「カバヒコ、ほんとに効果あるの!?」と思うような場面もあるくらい。
でも――最終的には、うまくいっちゃうんです。
その過程がとても自然で、リアルで、驚かされます。
人の心の揺れや、会話のひとつひとつが本当に生きていて、
「え、作者こそカバヒコなの? 子どもたちの話、隣で聞いてたでしょ?」って思うほど。
物語全体に「作者のこう書きたい」「こう感動させたい」という意図が見えないんです。
だからこそ、登場人物たちが本当にこの世界に“存在している”ように感じられます。
とくにぼくは一人目の話が好きです。
ぜひお店で立ち読みして、少しでも面白そうと思ったらそれを手にレジへGO! してくださいな!
ぼくが作ったPOPはこちら!
ぜひ見に来てね~触ったら願いが叶う!かも。

勢いそのまま2冊目のご紹介!

クラスメイトの女子、全員好きでした/爪切男 著/出版:集英社
あらすじ
「おまえは、女の子と恋はできないだろう」。
突然、父から突然の宣告を受けた少年は、
クラスメイトの女子をひたすら観察することにした。
宇宙一美しいゲロを吐く女の子。
水の飲み方が妖怪みたいな学校のマドンナ。
憧れのプロレスラーそっくりの怪力女番長。
全員素敵で、全員好きだった。
面白くて、情けなくて、ちょっぴり切ない恋の記憶。
読めばきっと、恋をしたくなる!
全21編のスクール・エッセイ。
(Amazonより引用)
いっちーの紹介
2024年7月にはドラマ化もされた話題作!
タイトルを見て「モテまくりのチャラ男の話かな…?」と思ったあなた。
全然違います!
これは、非モテ男子が誰よりもピュアで不器用に、ひたむきに恋をしてきた記録。
まっすぐで、まるで祈りのような恋の短編エッセイ集なんです。
ある日、主人公は親から
「悪いが、お前はモテるような顔にはしてやれなかった。でも、いつか中身を見てくれる人が現れる。それまで、たくさんの女の子の細かいところまでちゃんと見ておくんだ。」といったことを言われます
その言葉を胸に、彼は愚直に、誠実に、女の子たちと向き合っていくんです。
物語の舞台は、昭和の終わりから平成の始まり。
ちょっとダサくて、でも眩しい。
思い出すと顔が熱くなるような、あの“片想い”がぎゅっと詰まった一冊です。
まるで毎回が初恋みたいに、全力で恋をする主人公。
そのときどきの心の揺れはリアルで、まるで身近な友人の話を聞いているような感覚に。
きれいじゃない思い出さえ、美しいと感じさせてしまう著者の筆力。
そして、女の子たちへの熱視線――その細やかな観察眼が、クスッと笑わせ、時にホロリと泣かせます。
POPにも書きましたが、読後はまるで「大恋愛が終わってしまった」ような余韻が残りました。
ページを閉じるのが惜しくなるような、そんな一冊です。

まだまだ加速する本紹介! 3冊目はこちら!

しなのんちのいくる/仲曽良ハミ 著/出版:KADOKAWA
あらすじ
昭和ノスタルジーあふれる思い出漫画「しなのんちのいくる」
おバカだけど憎めないヤンチャ少年「いくる」と
その姉で怒ると怖いけど実は弟思いな「しなの」。
この姉弟を中心に、昭和後期の笑いにあふれる日々を描いたコミックエッセイ。
懐かしい記憶がよみがえり、ノスタルジックな気分へと導かれる。
駄菓子屋、レアシール、お祭りの型抜き、缶蹴り、ドッジボール、5段切替自転車、
ラジカセの録音、メンコ、サイン帳、紙飛行機、野良犬、買い食い、少年ジャンプ…
あの頃僕らはいつも何かに夢中だったんだ。
(Amazonより引用)
いっちーの紹介
あらすじに羅列された単語を見るだけで、なつかしさが胸に押し寄せてきませんか?
この作品は、昭和から平成初期の空気感をぎゅっと詰めこんだコミックです。
生意気だけどどこか憎めない主人公の小学生「いくる」と、
怒ると怖いけど本当は優しい姉「しなの」。
この二人を中心に、懐かしくて、ちょっと切なくて、じんわりとあたたかい日常が描かれます。
ぼくが特に好きなのは、2巻に登場する変わった子「タク」の話。
昔って、変な子がいても、みんななんだかんだ少し面倒がりながらも一緒に遊んでいました。
個性って言葉を使わなくても、ちゃんと認め合っていました。
もちろん、変なことをしたら「変だ!」ってツッコむし、迷惑かけられたら怒る。でも、気づけばまた自然と仲良しに戻っている。
そのやりとりが、妙にリアルで胸に残ります。
読んでいると、「ああ、こんなことあったな」と懐かしくなって、
でも同時に「大人になっちゃったな」と少しさみしくなる――そこがこの作品の大きな魅力です。
そしてもちろん、初恋のエピソードもあります。
3巻80ページの『少しだけ大人になった夏』。
本人は気づいてないけれど、たぶん大人になったとき、
「あれが初恋だった」と思い返すような、
淡くて、切なくて、胸がきゅっとなるお話です。
そのほかの話も、どれもなつかしくて、素敵なエピソードばかり。
お店で見かけたら、ぜひぱらっとめくってみてください。きっと何か、あなたの大切な記憶にふれるはずです。

こちらは店内POPです!
駄菓子屋とハートのPOPはぼく、いっちーが、
そしてキャラクターの絵はカワウソのPOP(二歩目に掲載)を作ってくれたスタッフなんです!
お願いしたら快諾! そしてこの高クオリティ!
カワウソのPOP同様、これだけで見に来る価値のあるPOPになっています!
ちょっと一息つく? 4冊目!

某/川上弘美 著/出版:幻冬舎
あらすじ
ある日突然この世に現れた某(ぼう)。
人間そっくりの形をしており、男女どちらにでも擬態できる。
お金もなく身分証明もないため、生きていくすべがなく途方にくれるが、病院に入院し治療の一環として人間になりすまし生活することを決める。
絵を描くのが好きな高校一年生の女の子、性欲旺盛な男子高校生、生真面目な教職員と次々と姿を変えていき、「人間」として生きることに少し自信がついた某は、病院を脱走、自立して生きることにする。
大切な人を喪い、愛を知り、そして出会った仲間たち――。
ヘンテコな生き物「某」を通して見えてくるのは、滑稽な人間たちの哀しみと愛おしさ。
人生に幸せを運ぶ破格の長編小説。
(Amazonより引用)
いっちーの紹介
これは、愛を知らなかった“某”が、さまざまな人との出会いと失敗を重ねながら、いろいろな形の愛を学び、自立していく物語です。
見た目はごく普通の人間。だからこそ、“某”の奇妙な行動に戸惑い、からかったり邪魔をしたりする人も現れます。
そんな反応に困惑しながらも、“某”は少しずつ「人間とは何か」を学んでいきます。
時には自分勝手になったり、空回りしたりもするけれど、人との関わりの中で愛を知り、やがて過去の自分を悔やむように――その姿はまさに「人間そのもの」。
この物語には、さまざまな“愛”が描かれています。
恋愛だけではなく、友情、家族愛、そして無償のやさしさ。
見た目は大人、中身はまっさらな赤子のような“某”が、それらを一つずつ、傷つき傷つけながら理解し、育っていく様子は、「大人になりきれない人」や「人にうまくなじめない人」にとって、痛いほど響くはず。
まるで、自分が幼い頃に、愛されていたことを知らずにいた日々を、そっと抱きしめ直すような読書体験。
“某”を通して、あたたかく、静かなやさしさに気づかされる一冊です。

ついにラスト! 5冊目!

光のとこにいてね/一穂ミチ 著/出版:文藝春秋
あらすじ
――ほんの数回会った彼女が、人生の全部だった――
古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。
――二人が出会った、たった一つの運命
切なくも美しい、四半世紀の物語――
(Amazonより引用)
いっちーの紹介
ぼくはこの作品以上に、美しくて、なつかしい気持ちになる小説を知りません。
最初から最後まで、決して「きれいな話」ではありません。
けれど、ホコリが窓から射す光の中を舞い、きらきらと反射しているような、そんな空気がこの物語にはずっと漂っています。
二人の恋模様は、よくある恋愛小説とはまったく異なります。
まだ名前のついていないような、あるいは誰かがあえて名前をつけずに、その美しさやはかなさを守っているような――そんな関係です。
あえて言うなら、二人のあいだには「なつかしさ」が流れている。
でも、きっとそれだけじゃない。
読む人によって、この関係に与える名前は変わる。それがこの小説の“正解”なんだと思います。
ただ、やわらかくて、なつかしいだけの物語ではありません。
つらい場面もあれば、悲しい別れもある。
それでも、何事もなかったかのように時は流れ、彼らはそこに佇んでいます。
まるで、幼いころに「ここで待ってて」と言われて、迎えが来るかどうか不安になりながらも、ただじっと待ち続けていた、あのときの気持ちとまなざしを――もう一度、静かに思い出させてくれるような物語です。
POPはこちら!

おわりに
名物書店員への道、三歩目!いかがだったでしょうか?
本への愛があふれすぎて、ちょっと熱く語りすぎちゃいましたね……。
みんなの「やっぱりな~」って顔が目に浮かびます! ごめんなさい!

でもでもでも!読んでみたい本、ありましたよね!?
今回紹介した本たちは、まだまだ語り足りないくらい素敵なんです。
できることなら全部の本で読書会やりたいくらい!
「この本読んだことあるよ~」って方は、ぜひお店でぼくとお話ししに来てくださいね。
もちろん、今回紹介した以外にもたくさん素敵な本があります。
来店の際には、ぜひ「おすすめの本ある?」って気軽に聞いてみてください!
……もしかしたら、いっちーの本占いも体験できるかも?
熱くなりすぎないように、次こそは「名物書店員」らしく対応します!(たぶん)

ご来店お待ちしております!
今回紹介した本はこちら(敬称略)

・リカバリー・カバヒコ/青山美智子(小説)
・クラスメイトの女子、全員好きでした/爪切男(小説)
・しなのんちのいくる/仲曽良ハミ(コミックエッセイ)
・某/川上弘美(小説)
・光のとこにいてね/一穂ミチ(小説)
次回の「名物書店員への道 四歩目」は、
『店内で初恋エピソード&SNSで恋愛短編小説を大・大・大募集!』
をお届け予定です!お楽しみに!