応援とは可能性に光を当てること。「朝チア」がビジネスマンを勝手に応援し続ける理由

  1. TOP
  2. 朝活チャレンジャー
  3. 応援とは可能性に光を当てること。「朝チア」がビジネスマンを勝手に応援し続ける理由
朝活チャレンジャー
  • 暮らし
  • 朝活

シェア

X X(Twitter) Facebook Facebook
応援とは可能性に光を当てること。「朝チア」がビジネスマンを勝手に応援し続ける理由

みなさん「朝チア」って知っていますか?

TVやSNS、もしくはどこかの駅前で「おはようございます!」「いってらっしゃい!」とパワフルな声で道行く人たちに朝からエールを送る彼女たちの姿を見たことがあるという方もいるかもしれません。

2009年、たった1人の女性からスタートした「朝チア」。朝チアとは、朝の駅前で出勤・通学途中の方々を”勝手に”応援するチアリーダーのことです。そう、ポイントは勝手に

「朝チア部」として活動するみなさんは、誰かに頼まれたからでも、なにかの宣伝をするためでも、仕事でもなく、自分でやると決めて朝チアをはじめたといいます。

なぜ、彼女たちは朝早くから「応援」を続けるのでしょうか。

朝チア初の部員として入部し、15年以上「朝チア」の活動を続けている代表の朝妻久実さんに、朝チアとの出会いや、朝チアを続ける理由、応援の魅力について聞いてきました!

朝妻久実さん

1983年生まれ、北海道旭川出身。元山陰中央テレビアナウンサー。2010年「全日本女子チア部☆(現:AJO☆朝チア部)」に入部し、その後15年以上にわたり活動を継続。現在は一般社団法人全日本応援協会代表理事を務め「応援の力」を社会に届ける活動に邁進中。2022年「応援の力」を解いた『誰かをちょっと応援するだけでしあわせになる!』を出版。

Instagram

「本当はなにがやりたいの?」友人からの喝で「朝チア」に出会う

2010年、朝妻さんが朝チアに入部したときはお仕事に悩んでいた時期だったそうですね。

学生の頃からアナウンサーになるのが夢でした。大学卒業して2年後、夢だったアナウンサーになるものの1年で契約は終了。フリーアナウンサーとして東京でさまざまなオーディションに挑戦したのですが、想像以上にいい結果に繋がらなくて……。
 
朝チアに出会ったのはメンタルが極限にまで落ちて、自暴自棄になっている時期でした。

朝チアで魅せるハツラツとした朝妻さんからはあまり想像できない姿ですね……! そこからどのように朝チアに出会うのでしょう?

当時の私は「どうせわたしは、誰からも必要とされていない」と、うまくいかないことを他人のせいにしていました。自暴自棄になっている私をみて友人から「あんた、なにもかも人のせいにしているけどさ、本当はなにがやりたいの?」と喝を入れられて。

結構ストレートな……!

そうなんですよ(笑)。でもその一言で「本当はなにがやりたいんだろう……なにをやっていた頃の自分が輝いてたんだろう……」と考えるようになって。大学の頃、本気で打ち込んでいたチアリーディングを思い出しました。
 
あの頃みたいに、本気で誰かを応援できる自分に戻りたい、もう一度チアがやりたいと伝えたら「新宿駅で毎朝、たったひとりでチアをしている女性がいるらしいよ」と友人が教えてくれたんです。

きっかけはご友人の言葉だったんですね。その後すぐに朝チアに入部されるんですか?

いやいやいや……! 私が知っている「チア」は歓迎される場所でやるもの。忙しいビジネスマンが行き交う新宿駅でチアをやるなんて自分にはできないと思いました。

そこから、どのように入部に至るのでしょう?

「自分には無理」と思いつつも、「朝チア」の存在はずっと気になる存在でした。ある時、朝チア初代部長のサイトウさんが「部員募集してます!」とラジオ番組で発言しているのを耳にして。
 
その言葉を聞いて「入る入らないは別にして、とにかく見に行ってみよう」と思い立ち、コソコソと隠れるように見学にいきました。

最初に「朝チア」を見たときは、どう思いましたか?

朝8時の新橋駅で初代部長から受け継いだ「魂のスピーチ」をする朝妻さん

大勢の人が行き交うなか、たったひとりでチアを踊る彼女はとってもかっこよかったです。同時に「やっぱり私には無理だ」と思いました。やっぱり歓迎ムードなんてゼロですし「あんなのメンタル最強の人がやるものだ」と(笑)。
 
でも、その後のスピーチに本当に心を撃たれたんです。

「私は、いつも変われないダメな会社員でした。でも、自分で決めて自分でやることを諦めたくなくて、毎朝ここで日本のビジネスマンを勝手に応援しています。今日ここで私を見かけたみなさんが『こんな奴もいるんだったら、今日は上司にきちんと本音を伝えてみよう』とか『こんな人もいるんだったら、忘れたふりをしていた夢にもう一度だけ立ち向かってみよう』とか『こんな人もいるんだったら、あの人にありがとうの一言を言ってみよう』とか、そんなエネルギーになりたいと思います!」
 
この言葉がすごく自分の心に響いて、立ち去ろうとするサイトウさんに「部員募集してると聞きました。私も一緒にやりたいです」と声をかけました。
 
ここで彼女を見送ってしまったら、私はこのまま一生変われないって、どこかで感じたんですよね。

15年以上「朝チア」を続けてこられた理由

朝チアに所属するみなさん。たった1人の女性からスタートした朝チアも現在は10名以上が所属する団体に

そこから朝チアに入られるんですね。2014年には初代部長が引退され、朝妻さんおひとりで活動していた時期もあったそうですが……。

引退を決めた初代部長からは「続けてもいいし、やめてもいいから、どうするか自分で決めていいからね」と言われました。正直、続けるべきか悩みました。

「続けよう」と思ったのはなぜですか?

初代部長と2人で活動していた頃、ある女性が「会社をリストラされてしまった。でもあなたたちを見ていたら私にも何かできることがある気がした」と言ってくれたことがありました。次にお会いしたときの彼女は、私たちの横で靴磨きを始めてたんです。さまざまな葛藤があったと思うのですが、ご自身で一歩を踏み出した姿にとても感動して。
 
それまでの私は「自分のことを見てほしい」「認められたい」「オーディションに受かりたい」と、ずっとtakeの精神でした。でも「私の応援が、誰かにとって励みになってるのかも」と思えたら、自分の心がすごく満たされていることに気がついて。応援はされる側だけではなく、する側にも力を与えるものなのだなと。
 
朝チアの活動を通してわたしはこういった人生の糧になるようなギフトをたくさんもらったんです。だからひとりになっても、誰かの力になれるならやめずに続けようと思いました。

そんな朝妻さんの想いに共感するように徐々に仲間が増えて、現在は10名以上の部員が所属されていますね。みなさんが「応援」で大切にされていることはどんなことですか?

朝チアは“勝手に”応援がコンセプトなのですが、「勝手に」とは決して自分勝手にという意味ではなく、自発的に応援するっていう意味があります。
わたしたちが朝チアをやるのは、自分たちがやりたくてやってること。だから見返りは求めないということは大切にしていますね。

「おはようございます!」「いってらっしゃい!」と街行く人たちに全力で声をかける朝チア部のみなさん

すてきです。とはいえ、モチベーションを保つのは難しくないですか……?

実は、ちゃんと届いたなって思う瞬間があるんですよ。

足早に去っていく人のなかにアイコンタクトで「ありがとう」って返してくれる方がいたり、歩きながら軽いガッツポーズで応えてくれる方がいたり。「あ、今届いたな」と感じられる瞬間があるんです。

朝チアを15年以上続けていると「どうして続けていられるんですか?」とよく聞かれますが、どちらかというとやめる理由がないという答えが正しい気がしていますね。
私たちの応援が、誰かのエネルギーになっている瞬間を肌で感じられると「あ〜まだまだやめられないな!」と思うんです。

応援とは「人の可能性に光を当てる」ことであり「相手の気持ちに想いを馳せる」こと

誰かを応援するって、みんな一度は経験したことがあると思うんですが、朝チアの応援はちょっと違うような気もしていて。朝妻さんは「応援」にはどんなパワーがあると感じていますか?

応援は、人の可能性に光を当てることだと思っています。無理かもと思ってることを「もしかしたらできるかもしれない」と思わせてくれるものだなって。
 
実は私、就活でアナウンサーの入社試験に70社落ちているんです。絶望のなかでも自分にできることがしたくて、地元のFM北海道に「学生でアナウンサーを目指しているのですが、よかったら訪問させていただけませんか」と電話をかけました。
 
訪問日当日、よく聴いていたラジオ番組のアナウンサーさんが私を迎えてくださったんです。私の就職活動の事情を知りながら「よく来たね。つらかったね」と寄り添ってくれて。
 
最後に「私は朝妻さんだったら絶対にできると思う。だから諦めずに頑張ってみたら?」と言ってくださりました。
 
そのエールで「自分のことをもう一度信じてみたい」と思えて。「あなたならできる」と、私の可能性を信じてくれた言葉が本当にうれしかったですし、力が湧いてきたんです。時間はかかりましたが、夢だったアナウンサーになることができました。

まさに「応援」が朝妻さんの活力になった瞬間なんですね。

朝チア名物の「個別応援」1人ひとりの「今応援されたいこと」にじっくり耳を傾ける姿が印象的でした

私の原点です。「応援」や「チア」と聞くと、華やか!GoGo!ファイト!というような、スポーツやチャレンジに対する鼓舞をイメージされる方も多いかと思いますが、応援の本質は、相手のことを想うことなんですよね。
 
「大丈夫?」「どうした?」「元気ないね」と相手を気にかけること。相手の心は今どこにあるのか想いを馳せること。応援は、相手の状態に合わせたコミュニケーションなんです。

ただそばにいてあげることも応援だし、 マイナスの状態から1mmでも前に進むために手を差し伸べることも、すべてが応援です。

応援はコミュニケーション。朝チアをはじめて朝妻さんご自身にはどのような変化がありましたか。

新しいことにチャレンジする「勇気」を持てるようになりました。

朝の駅前でチアなんて、活動しているわたしたち自身も、突拍子もないことをやっている自覚はあるんです(笑)。「朝チアやっているんだから、大丈夫でしょ!」と自分に言い聞かせる瞬間がありますね。

自分でやると決めたことを続けていることも大きいです。

物事に対して「どうせできない」ではなく「どうしたらできるかな」と考え方が変わりました。思考が前向きになったからか、受からなかった仕事のオーディションが決まるようになって。

朝チアが、朝妻さんの人生そのものを好転させているんですね。

そうですね。やっぱり朝早起きをして、前向きな言葉を自分から出す、大きな声を出すことに、私自身もパワーをもらっている気がします。朝チアの活動日の私は、すっごくエネルギッシュです!

朝チアが目指すのは「応援スパイラル」を巻き起こすこと!

朝妻さんが今、新たにチャレンジしていることはありますか。

朝チアの活動だけでなく、応援の力を広く社会に広げていく活動に邁進中です!
 
脳科学や心理学でも「応援」は人にポジティブな影響を与えるエビデンスが出ていて、どのような力があるのかという講演会や、企業の代表者の方向けにセミナーを行っています。

朝妻さん自身が経験した「応援」の力を広める活動をされているんですね!

朝チアが目指すのは日本に「応援スパイラル」を巻き起こすことなんです。
 
私たちの応援を受け取った人が、次は別の誰かを応援する…。そんな応援スパイラルを巻き起こせたら、世の中がもっといいものになっていくと信じています。
 
だからこそ、朝チアの時間は、その場にいる人たちとのコミュニケーションを大切にしているんです。「おはようございます」「いってらっしゃい」と、応援マインドを言葉にのせて撒いているような感覚です。続けていると、その言葉を拾い上げてくれる方が現れるんです。

最後に、読者に向けて応援のメッセージをいただけたりしますか?

朝チアは、私が前向きに生きていくための糧です。
 
応援はする人もされる人も、そしてその周りにいる人も、前向きな気持ちにさせてくれるものです。何かにチャレンジしているあなたも、ちょっと元気のないあなたも、これから一歩踏み出すあなたも、応援しています!
 
あなたなら、できる!

ありがとうございました!

取材後、実際に朝チアの現場にいかせてもらいました。

「新橋駅のみなさん、おはようございます!」

朝妻さんをはじめ、朝8時の駅前で全力でチアを踊るみなさんの姿にとってもエネルギーをもらいました。

なにより印象的だったのが、「今日あなたがどう生きるかは、あなた自身が決めれます!」という魂のスピーチ。

宣伝でも勧誘でも、仕事でもない。自分でやると決めてその場に立つみなさんから発せられる言葉だからこそ、胸に響くものがありました。

新しい一歩を踏み出したい。ちょっとだけ背中を押してほしい。もしそんな気持ちになったときは、ぜひ朝チアのパワーをもらいに行ってみてください!

AJO 朝チア部

HP:https://ajoen.jp/chiabu/


朝チア基本スケジュール
第1木曜 8時〜 新宿駅南口
第2木曜 8時〜 新橋駅SL広場
第3木曜 8時〜 後楽園駅4b出口/武蔵小杉東口
第4木曜 8時〜 品川駅港南口
最新情報は公式LINEより


取材・執筆・撮影:はせがわみき

シェア

X X(Twitter) Facebook Facebook