未来の盲導犬を育てるボランティア パピーウォーカーを取材!(3)ボブくん

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未来の盲導犬を育てる〜パピーウォーカーの物語〜

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未来の盲導犬を育てるボランティア パピーウォーカーを取材!(3)ボブくん

同じパピーウォーカーでも、過ごす時間のかたちは人それぞれです。
初めて子犬を迎える人もいれば、何頭ものパピーを見送り、そのたびに別れを経験してきた人もいます。

今回お話をうかがったのは、これまで8頭のパピーと暮らしてきたパピーウォーカー、八木さん。

穏やかでマイペースな性格のボブくんと過ごす日々のなかで、八木さんが感じているのは、成長の手応えだけではありません。
「預かる」という立場の重さや、手放すことを前提にした関わり方、そして、それでも続けたいと思える理由でした。

パピーウォーカーとして積み重ねてきた時間の先に、どんな思いがあるのか。
ボブくんとの日々を通して、その声を聞きました。

ボブくんプロフィール

ボブ君 雄犬 11か月 (2025年11月時点)
2026年1月に盲導犬総合訓練センターに入学予定。

出会い

取材にご協力いただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

まずはパピーウォーカーをはじめようと思ったきっかけを教えてください。

以前飼っていた犬が、16歳半で亡くなったんです。そのあと、次の犬のことを考えていたときに、中日新聞でパピーウォーカー募集の記事を目にしました。
せっかく新しく犬を迎えるなら、ただ飼うだけではなく、人の役に立つことができたらいいなと思って。そこで、パピーウォーカーをやってみようと決めました。

今回の子は、何頭目のパピーになりますか?

今回で8頭目になります。

8頭目!? すごいベテランですね。

いえいえ、10頭以上経験がある方もいらっしゃるので、自分ではまだまだ入り口に立ったばかりだと思っています。

最初にボブくんをお出迎えしたとき、どんな気持ちでしたか?

実は、以前16年飼っていた犬が雄だったんです。
その子がかなりやんちゃで大変だったこともあって、正直なところ、少しトラウマのような気持ちがありました。

それで、これまで預かってきた7頭もすべて雌犬で、今回も最初は雌犬をお願いしていたんです。
でも、今回初めて雄犬を預かることになって。正直どうなるかなと思っていたんですが、思っていたよりもずっと穏やかな子で、いい意味で拍子抜けしましたね。

一緒に過ごす日々

ボブくんはどんな性格の子だなと感じますか?

とても穏やかで、落ち着いている子ですね。マイペースな犬です。

ラブラドール・レトリバーといえば、とてもフレンドリーで人懐っこいイメージがあったので、マイペースと聞いて、意外に感じました。
一緒に暮らす中でも、そういった一面が印象に残っているのでしょうか?

そうですね。ボブの“塩対応”なところは、私たちにとっても意外でした。
来客があったときには一応歓迎はしてくれるんですけど、すぐに飽きてひとり遊びをはじめるんですよ。
息子が家に帰ってきたときでも、チラッと見るだけで、そのままひとりで遊んでいたり、寝てしまったりすることもあります。

これまで預かってきたパピーは、もっとフレンドリーな子が多かったので、なおさら驚きましたね。

ある意味、落ち着いていて“塩対応”なところも、盲導犬の素質を感じますね。
預かった最初から、そういった様子だったのでしょうか?

はい、最初からそうでした。これまで預かったパピーは、必ずと言っていいほど遊びに誘ってきたんですが、この子は、こちらから行ってもあまり誘いにのらなかったんです。
最近は少しずつ遊びも覚えて、向こうから来てくれることもありますが、それでもやっぱりマイペースですね。

マイペースなところは変わらないものの、少しずつ遊ぶようになってきたボブくん。
同じように、日々の暮らしの中で成長を感じる瞬間もあるのではないでしょうか?

最初は、歩行練習のときにハトや小鳥に気を取られて、どうしてもそちらに意識が向いてしまっていたんです。でも今では、そういったものにも反応せず、素通りできるようになってきました。

それから、階段も最初は苦手で、背中を向けたり、登るのを拒否したりしていたんですが、今ではちゃんと登れるようになっています。

声をかけ続ける中で、少しずつ変化していくのを見ていると、こちらの言葉を理解して、受け入れてくれているんだなと感じる瞬間があって。そういうときに、成長を実感しますね。

育てながら感じたこと

パピーウォーカーとして、大変だったことや気をつけていることはありますか?

いちばん大変なのは、“預かっている”という気持ちに、きちんとスイッチを切り替えることですね。
将来、この子はお仕事をする犬になります。そのために預かっているんだ、という意識を、常に自分の中で持つようにしています。
かわいそうだなと思ったり、甘やかしてあげたい気持ちが出てくることもあります。でも、そこはぐっとこらえて、自分の気持ちを切り替えないといけない。

盲導犬協会の方から「ペットではないので、甘やかさずにかわいがってください」と言われたときは、正直、最初はどういうことか分かりませんでした。でも最近になって、その意味が少しずつ分かってきた気がします。

たとえば、ハウスの中で「出してほしい」とくんくん鳴いていても、すぐには出しません。気持ちとしては出してあげたいんですが、そこは我慢します。
その代わり、ちゃんと我慢できたあとで、しっかりほめてあげる。これが“甘やかさずにかわいがる”ということなんだと思います。
盲導犬の訓練に入ったときに、この子が苦労しないように。そう思って、あえて厳しく接していますね。

この子に対して大変だと思ったことはないですが、気が緩みそうになるのを引き締めるのは大変です。

反対に、「パピーウォーカーをしていてよかった」と感じる瞬間はありますか?

人との出会いが増えたことですね。
外出先でボブがおとなしくしていると、「お利口ですね」と声をかけていただくことも多くて、そこから盲導犬のことや、パピーウォーカーの話をすることもあります。
そうしたやり取りの中で、人とのつながりが自然と広がっていくのを感じています。

それに、パピーウォーカーをやっていなければ、こうしてインタビューを受けることもなかったと思います。

これまで育ててきた子がいる場合、その経験は今にどう生きていますか?

これまで何頭も預かってきた中で、いろいろなトラブルを経験しました。誤飲させてしまったこともありましたし、リードが外れて走り回ってしまったこともあります。

そうした経験をしてからは、より緊張感を持って向き合うようになりました。「預かっている命なんだ」という意識が、以前よりも強くなったと思います。
慣れてきたからこそ、気を緩めない。今はそれをいちばん大切にしていますね。

巣立ちを前に

これから盲導犬としての訓練がはじまり、巣立っていくことについて、どんな想いがありますか?

もちろん、さみしい気持ちはあります。でも、それ以上に、無事に盲導犬協会へ入学してほしいという思いが強いですね。

日々の中で、少し厳しい口調で声をかけることもありましたが、それはすべて、将来この子が盲導犬として役に立てるように、という気持ちからです。その思いで、一緒に過ごしてきました。

今後、9頭目を預かることも検討されているのでしょうか?

もしお願いできるなら、今度は黒いラブラドールの雌犬を預かってみたいですね。

これまで白いラブラドールを4頭預かってきましたが、実は、その前に黒いラブラドールを預かったこともあります。
黒いラブラドールは、見た目の印象から少し怖がられてしまうことがあって、それがずっと心に残っているんです。

だからこそ、もう一度、黒いラブラドールを預かってみたい。今度は、ちゃんと、怖くないよってその子の良さを伝えられたらいいなと思っています。

これまで預かってきた子のことも覚えていらっしゃるんですね。

はい。1頭1頭、今でも名前も含めて覚えています。その中で、実際に盲導犬として活躍している子も2頭いるんですよ。

そうなると、将来、引退した盲導犬を迎えることも考えられたりするのでしょうか?

今のところ、引退犬を預かった経験はありません。ただ、これから盲導犬を引退する子が出てきたときに、引き取るという選択肢も考えたことはあります。
ただ、年齢の制限もあって難しいというのが正直なところです。

条件が合えば引き取りたいと思うくらい、どの子にも思い入れがありますね。

未来への願い

最後に、パピーウォーカーをやってみたいと思う人に、メッセージをお願いします。

正直に言うと、かわいいだけでは関われないと思います。もちろん責任はありますし、簡単なことばかりではありません。
でも、それ以上に、楽しくて、とても充実した時間を過ごせます。

犬との時間だけでなく、いろいろな方と出会えるのも、この活動ならではですね。
そうした出会いや経験を含めて、やってみて本当によかったと感じています。

取材協力してくださった中部盲導犬協会について

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