『社会を元気にしたら会社も元気になった』著者が語る、わかさ生活の社会貢献活動が“度が過ぎている”理由

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『社会を元気にしたら会社も元気になった』のヒミツ
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『社会を元気にしたら会社も元気になった』著者が語る、わかさ生活の社会貢献活動が“度が過ぎている”理由

わかさ生活の社会貢献活動を題材にした書籍『社会を元気にしたら会社も元気になった 「最高」の経営戦略は社会貢献だった』。本書の著者である谷垣吉彦さんは、取材を通して感じたという、わかさ生活が社会貢献活動に注ぐ“度が過ぎた熱量”の真意に迫っています。

多くの企業が社会貢献をブランディングやCSR(企業の社会的責任)の一環として捉える中、わかさ生活の活動はなぜそこまで「本気」なのか。そして、なぜその熱量が「最高の経営戦略」として機能しているのでしょうか。

今回は著者である谷垣吉彦さんに、取材を通じて見えてきたわかさ生活による社会貢献活動の真の姿について、深く掘り下げてお聞きしました。

著者プロフィール

谷垣吉彦(たにがき・よしひこ)

1965年に大阪で生まれる。小説家を志し、大阪ミレニアムミステリー賞を受賞。選考委員長だった黒岩重吾氏からは「直木賞を目指せ」との言葉をいただいたことも。その後、リアルビジネスの面白さに強く惹かれ、ビジネス書を中心とするブックライターに転身。これまでのべ2000人以上をインタビュー、 100冊以上の書籍を手がけてきた。

30年以上にわたるライター業の中で関わってきた業種は医療、不動産、物流、税務等、非常に幅広い。経営者や士業の方々と深く関わる中で積み上げた知見を活かし、独自の視点で企業や経営者の本懐を読み解く。

継続性こそ、活動の「真の熱量」を証明する

−−谷垣さんは、これまで数多くの企業経営者を取材されてきた中で、わかさ生活の社会貢献活動には「継続性」という大きな特徴があることを指摘されていますね。一般的な企業が災害支援などをスポット的に行うのに対し、わかさ生活は、新潟県中越地震から東日本大震災、そして能登半島地震に至るまで、10年以上にわたって支援を継続されています。この「息の長さ」を目の当たりにして、どのような印象を受けられましたか?

谷垣: 一般的な企業の支援は、どうしても緊急性の高いタイミングの寄付や物資提供など、スポットになりがちです。しかし、わかさ生活さんの場合は、災害の発生後、泥だらけになって瓦礫撤去に参加され、その後の心のケアも含めて関わるなど、本当に息の長い活動を継続されている。この点が、まず他の多くの企業とは違うと感じました。

−−活動の根底には、創業者である角谷建耀知(かくたに けんいち)社長の壮絶な生い立ちや、過去に人から受けた恩を返したいという「恩送り」の強い想いがあることも、書籍の中で明かされています。一方で、谷垣さんは当初、わかさ生活の社会貢献活動の目的は「より大きく目立つため」と考えたと述べられています。

谷垣: そうですね、営利企業である以上、社名の周知やブランディングを考えるのは当然のことです。私も最初は「どこかで経済合理性があるはずだ」と考えていました。しかし、取材を進める中で、この会社が活動に費やしているコストや労力が、一般的に考えられる「ブランディング効果」を明らかに超えていることに気づいたんです。

本業と同等か、それ以上の熱量で取り組んでいる。これは、「誰かに良く見られたい」といった世俗的な欲を満たすためではない、「やらずにはおれない」という内なる衝動、信念がなければできないことだと確信しました。

−−つまり、社員教育や会社のイメージアップといった経済合理性以上の意義が、活動の継続性を支えているわけですね。

谷垣: まさにその通りです。社長自身も、私が「なぜこんなに熱心なんですか」と尋ねたときに、「なんででしょうね」と深く考え込まれた。個人的な信念や恩返しの想いという、マニュアルにはなり得ないものが根底にあるからこその活動なのだと感じました。

社員に浸透する「物語の力」と「反射的行動」

−−わかさ生活の社会貢献活動が、社員や社会を巻き込む大きな力を持っているのは、活動の根源にある「物語(ストーリー)」が深く関係しているため、と書籍では解説されています。谷垣さんが大切にされている「Tell By Story(物語で語れ)」という考え方に基づくと、わかさ生活の活動はどのように見えるのでしょうか?

谷垣: 私はライターとして、単に「良い活動をしています」と事実を伝えるだけでなく、「なぜそれを始めたのか」という背景にある物語を語ることが、人々の心に深く刺さると考えています。

わかさ生活の場合、角谷社長の人生の壮絶な物語−−例えば、阪神・淡路大震災の際に長男のミルクのための水を求めてさまよった経験と、その時に受けた見ず知らずの人からの親切という、「恩」の物語が深く結びついている。この物語が活動の原点になっているわけです。

−−その「物語」が社員の皆さんに浸透している証として、2024年元旦の能登半島地震の際、休み中の社員が「仕事始めに何かしなきゃと反射的に思った」というエピソードを非常に印象深く感じました。

谷垣: ええ。あのエピソードは本当に驚きました。社員の方は、「仕事だから」ではなく、「会社の文化として、災害が起きたら動くんだ」という意識が、もう骨身に染み込んでいるんです。

これは、単なる社員教育の成果というよりも、長年にわたる社長の「せずにはいられない」という本気の行動と、その背後にある物語を、社員が共有し、共感していることの証拠です。これが、わかさ生活の活動の強さであり、他社にはない大きな特徴だと感じました。

権威付けをしない、角谷社長の「フラットな人物像」

−−取材を通じて見えてきた角谷社長の人物像についても伺わせてください。谷垣さんは、一般的な「経営者像」には当てはまらない、独特のキャラクターを持っていると感じられたそうですね。

谷垣: そうですね、私がこれまでに会ってきた多くの経営者の方とは、全部が大きく異なっていました。

特に印象的だったのは、「人をフラットに見る」という点です。肩書きや役職で判断せず、「ケンちゃん(角谷氏)と仲間たち」のような、平面に描かれた同心円の中心に社長がいるようなイメージです。パート従業員の方を抜擢して「人事をやってみないか」と声をかけるエピソードはその象徴ですね。

−−なるほど。その「フラットさ」は、「私はどこどこの誰々と知り合いで」 といった権威付けの話があまり出てこないという点にも表れているようですね。

谷垣: まさにそうです。一般的な大きな会社の社長さんだと、「誰との繋がりがある」という話をされる方が多いのですが、角谷社長からはそういった印象はあまり受けませんでした。肩書きではなく、その人自身が持つ能力や可能性、そして人とのご縁を大切にする姿勢が強い。このフラットな関係性が、社員の皆さんが自ら考えて行動することを促す社風を作り上げているのだと思います。

−−その一方で、経営者としての直感力や判断の早さについても言及されていますね。

谷垣: ええ。私は角谷社長を一種の「天才」だと感じました。感性が非常に鋭く、商品や人を見たときに、一瞬で状況を捉える。もちろん、日々の勉強や情報収集というベースがあってこそですが、その直感力とスピード感は、非常に優れていると感じました。

自律的な行動を促す、大変さとやりがいの両立

−−社長と社員の「距離が近い」という社風は、社員の皆さんにとって、具体的にどのような影響を与えているのでしょうか。取材を通して感じられた社員の印象について教えてください。

谷垣: 率直な感想として、社員の皆さんからは「大変さとやりがいの両面」を感じました。

わかさ生活の組織は、間に何層も管理職が入るピラミッド型ではありません。そのため、社長から直接指示が飛んできたり、お話をする機会が多くあります。角谷社長が持つ膨大な情報量や経験値に追いつき、「自分で考えて動くこと」を常に求められるのは、特に若い社員の方にとっては非常に大変だろうと感じました。

一方で、キャリア採用の方でも、「自分でやりたい」と思ったことをすぐにやらせてもらえる裁量の大きさがあります。これは、大きなやりがいに繋がります。私が会った社員の皆さんはすごくフレッシュで、自分の頭で考えて行動している方が多いという印象を受けました。

−−それは、社員の皆さんが自ら企画・運営に携わる「わかさ生活ラジオ」の制作や、広報物・ポップの「手作り感」といった、活動の細部にまで現れている姿勢ですね。

谷垣: まさにそうです。社員の皆さんが自律的に動く社風こそが、あの熱量の源泉の一つであり、社会貢献活動が、社員の成長という側面からも有効な「経営戦略」として機能していると感じます。

経済合理性を超えるからこそ生まれる「善意の繋がり」

−−今回の取材で、わかさ生活の活動が「度が過ぎている」からこそ、かえって「愛される」理由が明確に見えてきたかと思います。企業が経済合理性を超えて活動することには、どのような意義があるとお考えですか。

谷垣: 一般的な企業の社会貢献は、期待されている役割を「少し超えるぐらい」の、合理的な範囲に留まりがちです。しかし、わかさ生活のように、合理性を大きく超える熱量を注いでいるからこそ、人々の心に強く記憶されるのだと思います。この「超えること」が、感動を生み、ブランド力を高める鍵です。

そして、もう一つ重要なのが、「善意で繋がるハードルの低さ」です。ビジネスで繋がるのは、損得が絡むので非常に大変ですが、社会貢献活動という「善意の旗」を掲げて繋がろうとしたとき、そのハードルはぐっと下がります。通常では取引が難しい企業や事業者とも、割と良い形で繋がれるという、非常に大きな価値があるんです。

−−それは、このメディア「DEKIRU!」のコンセプト「あらゆるチャレンジャーを応援する」にも通じる考え方ですね。共通のテーマで取材や発信を行うことが、新しい「善意の繋がり」を生み出すきっかけになる。

谷垣: ええ。この本を作る活動から、「企業がもっと広く、社会と繋がるためのヒント」をいただいたように感じています。

新商品の開発に見る「サステナブルな復興支援」

−−能登半島地震の支援活動では、主力商品には使えない能登産のブルーベリーを買い取り、新商品の開発を進めているというお話がありました。これは、寄付という一時的な支援ではなく、経済活動を通じて継続的に支援する、サステナブルな復興支援の仕組みですね。

谷垣: そうですね。単に支援物資を送るだけでなく、被災した農園の経営を立て直すために、売上の安定という本質的な課題に手を差し伸べている。主力製品「ブルーベリーアイ」の原材料とは異なる能登産のブルーベリーを、可能な限り買い取るという決断をされた。
そして、その能登産ブルーベリーを活かして、本社ビルのカフェで提供するアフタヌーンティーのスイーツなど新しい商品の開発を進められています。

−−これは、能登の農園にとっては安定的な販路となり、わかさ生活にとっては、原材料の供給をお願いできる「有り難い存在」となる。まさに、企業ならではの強みを活かした支援であり、「企業・社員・社会の三方よし」を実現する活動ですね。

谷垣: ええ。角谷社長はしばしば「私たちはボランティアじゃない」と言われます。ボランティアではなく、継続できる「仕組み」で支援する。この姿勢こそが、「最高」の経営戦略の核であると思いました。

まず「一歩踏み出す」こと

−−最後に、この書籍を手に取るであろう、経営者や若い世代の読者に向けて、谷垣さんからメッセージをお願いします。

谷垣: 経営者の方々には、まずは「社会貢献活動に取り組んでみる」ことを強くおすすめしたいです。初めは理念がなくてもいい。「とりあえずやってみる」ことで、社員の意識が変わったり、善意で企業同士が繋がるなど、想像もしなかった良い効果が生まれる可能性が非常に大きいからです。ぜひ、この本に書かれている実例を参考に、関心があれば何でもいいのでトライしてみてください。

そして、これから就職活動をする若い方々には、会社選びの際に「社会貢献」を評価する視点を持ってほしいです。収入だけでなく、「幸福の追求」や「存在価値のある会社」を求めている若い世代は増えています。社会貢献という観点から会社を選んでみたり、あるいは入社後に「こういうことやってみようよ」と新しいことを提案してみるなど、まずは「自分で考えてみる」きっかけにしてほしいですね。

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