新商品の中から、特にチャレンジを感じるアイテムを紹介する『チャレンジみっけ隊』。今回見つけたのは、清酒以外の多様な酵母を起点に、米と麹を用いた酒造りを通じて新たな発酵の表現を探っていく試みです!

「日本酒」って、米や水、麹が主役だと思っていませんか?もちろんそれらも大事ですが、「酵母」に注目したことはありますか?
もし、ビールの酵母やワインの酵母でお米を発酵させたら、一体どんなお酒が生まれるんでしょう…?
そんな、お酒好きの探究心をくすぐる、壮大でワクワクする挑戦が仙台から始まりました。これはもう、見過ごせません!
お米と多様な酵母が織りなす「発酵の探求」
仙台駅ナカにある醸造所「SENDAI STATION BREWERY Fermenteria」が手がける新シリーズ「Yeastology(イーストロジー)」。そのコンセプトは、なんと「多様な酵母を起点とした米と麹の新たな発酵表現の探求」です。
酵母を学び、酵母から学ぶ。Yeastologyシリーズは、清酒以外の多様な酵母を起点に、米と麹を用いた酒造りを通じて新たな発酵の表現を探っていく試みです。異なる酵母が、米と麹という舞台の上でどのように振る舞うのか。微生物たちが織りなす小宇宙(ミクロコスモス)の営みにそっと耳を澄ませ、その声を映す器として、ひとつの酒を醸していきます。

記念すべき第1作目は、クリーンな発酵と洗練された香味をあわせ持つハイブリッドラガー酵母NOVALAGER(ノヴァラガー)を採用した「Yeastologyシリーズ 01 NOVALAGER」。
品目:その他の醸造酒
原材料名:米(宮城県産ひとめぼれ)、米麹(国産米) 、ホップ
精米歩合:60%
アルコール分:5%
小売価格:2800円(税込)
NOVALAGERが生み出す酵素の働きによって、ホップの中に眠っていた香りがそっと目を覚まし、シムコーホップから華やかでフローラルなアロマがふわりと立ち上がります。澄んだ印象の中に、静かな奥行きを感じさせる一杯に仕上がっているのだそう。

また2作目は、発酵の過程で穏やかな乳酸を生み出すPHILLY SOUR酵母を用い、乳酸を添加することなく、発酵そのものから酸味を立ち上げる表現に挑んだ「Yeastologyシリーズ 02 PHILLY SOUR」。
品目:その他の醸造酒
原材料名:米(宮城県産ひとめぼれ)、米麹(国産米) 、ホップ
精米歩合:60%
アルコール分:5%
小売価格:2800円(税込)
こちらは瑞々しい酸に、熟した果実を思わせる香りが重なり、凛とした佇まいの中に、酸と香りがきれいに調和した一杯に仕上がっているのだそう。
ラベルに潜む小さな宇宙船のスケッチを手がけたのは、「SENDAI STATION BREWERY Fermenteria」を運営する勝花藏株式会社の代表取締役、伊澤優花さん。未知の発酵空間「ミクロコスモス(小宇宙)」を舞台に、Fermenteriaチームが宇宙船に乗り込んで探検を繰り広げるコンセプトを表現しています。
「Yeastologyシリーズ 01 NOVALAGER」も「Yeastologyシリーズ 02 PHILLY SOUR」も、どちらも聞くだけで「どんな味なの!?」と興味が湧いてきますよね。まさに、酵母の可能性を探る「新しいお酒の学問」が、ここから始まろうとしています。
Yeastologyシリーズは一度に生産できる量に限りがあるため、オンラインショップにて清酒酵母を使った「Fermenteria 瓶内二次発酵 Sparkling」を含む3本セット(Fermenteria 瓶内二次発酵 Sparkling/NOVALAGER/PHILLY SOUR)のみを販売中です。単品販売は、生産が安定次第スタートさせる予定とのことです。

出典:PR TIMES
「Yeastology(酵母学)」がひらく、日本酒の新たな地平線
今回、我々「チャレンジみっけ隊」がこの『Yeastology』に強く惹かれたのは、単に珍しいお酒というだけでなく、その根底にある「日本酒の再定義」ともいえる野心的な姿勢です。
「米中心」だった酒造りを「酵母中心」から見つめ直す。この視点の転換は、本当に画期的。これまで脇役だった酵母を主役に据えることで、「日本酒とは何か?」という問いそのものを、私たち飲み手にも、そして造り手にも投げかけているように感じます。
「Yeastology(酵母学)」という学問のようなネーミングも秀逸ですよね。これは単なる商品名ではなく、ブランドの姿勢そのものを表す旗印。「これは未知なる酵母の世界を探求するプロジェクトなんだ」というメッセージが伝わってきて、飲む側も「どんな発見があるんだろう?」と、まるで研究に参加するようなワクワクした気持ちで向き合えそうです。
クラフトビールやナチュラルワインのように、多様な選択肢の中から自分の「好き」を見つけたい。そんな現代の消費者のニーズにも、この探求心あふれるお酒はピッタリはまる予感がします。
チャレンジみっけ!
今回見つけたチャレンジは…
- 清酒酵母に限定しない「酵母起点」の発想で、日本酒の定義を拡張しようとしている点(製品カテゴリーの再定義)
- 「Yeastology(酵母学)」というネーミングで探求や実験という世界観を打ち出し、知的好奇心を刺激するブランド体験を設計している点(コンセプト・ドリブン・マーケティング)
- 駅ナカ醸造所という稀有な立地を活かし、多くの人が行き交う場で新しいお酒の文化を提案している点(チャネル・イノベーション)
酵母が変われば、お米から引き出される魅力も無限に広がる。「Yeastology」が、お酒の世界に新しい学問を打ち立てるかもしれませんね!