新商品の中から、特にチャレンジを感じるアイテムを紹介する『チャレンジみっけ隊』。今回見つけたのは、過去を掘り起こして未来を創る「幻の中世ビール」です!
中世のビールって、どういうイメージがありますか?
ビールの原料といえば「ホップ」を思い浮かべる人がほとんどだと思いますが、実はホップが使われるようになるまで、ビールには「グルート」と呼ばれるハーブやスパイスのブレンドが使われていました。
「幻の中世ビール」は、この歴史を掘り起こし、約1000年前の中世ヨーロッパで造られていたビールのレシピを現代の技術で再現するという、まさに歴史とロマンを感じる挑戦です。
約1000年前のビールを現代に蘇らせた挑戦

「幻の中世ビール」は、その名のとおり中世ヨーロッパで中世ヨーロッパで修道院を舞台に造られた「グルートビール」を再現したビールです。当時知識人だった修道士や僧侶たちは醸造知識にも優れていたために、香味剤である「グルート」を使用してビールを造り、栄養補給や医療にも利用をしていました。グルートは薬草などを独自に配合したもので、味付け、香り付け、腐敗防止など当時様々な役割を担っており、現代におけるビールの香り付けなどに使われる「ホップ」の代わりとして利用されていました。
今回の商品では、オレンジピールやコリアンダーシードといったスパイスを使用して、ハーブの爽やかさとビールに欠かせない苦味を両立。軽やかな飲み心地を表現し、「ピルスナー」や「ラガー」といった軽やかなタイプのビールの味わいにハーブの爽やかさが乗り、普段味わうビールとは違う香味をつくりだしています。

「中世のビール」は現在、KURAND株式会社が運営する、日本酒や梅酒など、全国のユニークな酒蔵と共同開発した商品を扱うオンラインストア「クランド」にて、クラウドファンディングを通じて発売されています。
KURANDは、過去にも「人類のビール史から外れたビール」や「日本ワインのパイオニア」など、ユニークな視点でお酒の新たな楽しみ方を提案してきました。今回の「幻の中世ビール」は、その挑戦の集大成ともいえるでしょう。
出典:PR TIMES
なぜ今、中世のビールなのか?

ホップの代わりにハーブやスパイスを使ったビール。一見、奇抜なアイデアに思えるかもしれません。しかし、この「幻の中世ビール」は、ただ珍しいだけではない、深〜いチャレンジが隠されていると我々編集部は見抜きました。
ビールの主流は、ホップの苦味や香りを活かしたものがほとんどです。特にクラフトビール業界は、ホップの種類や組み合わせで差別化を図るのが一般的。そんな中、あえてホップを使わないという選択は、まさに常識を打ち破る挑戦といえます。
この商品は、歴史を遡ることで、現代のビールにないユニークな味わいを創出しています。グルートという香味剤は、ホップが流通しなかった中世の知恵。その知恵を現代に蘇らせることで、新しい価値を生み出しているのです。この発想は、商品開発に携わる全ての人にとって、大きなヒントになるのではないでしょうか。
過去の知恵や文化を現代の技術でアップデートする。一見、古く見えても、そこに隠されたユニークな発想や素材にこそ、イノベーションのヒントが隠されているのかもしれません。
チャレンジみっけ!
今回見つけたチャレンジは…
- ホップを使わないという、常識を打ち破る独自の方向性(差別化戦略)
- 歴史や文化を現代に再解釈して新しい価値を生み出す点(リバース・イノベーション)
- 過去の知恵や技術を現代に蘇らせることで新市場を開拓する可能性(ニッチ市場開拓)
過去の知恵や文化を現代の技術で再現する発想は、ビール業界だけでなく、様々な業界に新しい風を巻き起こすかもしれませんね!